大好きな本と文具に浸る時間 その2 1年後の自分へ手紙を書く編
さて、本を読みながら寝落ちし、朝起きたらチェックアウト2時間前。
朝ごはん返上で、チェックアウトギリギリまで本を読んでいた。借りた本も元の場所に返さなければいけないので、ちょっとバタバタしたが、何とか時間には間に合った模様。チェックアウトしてからも、少しフロント周りの本棚を見た。
BOOK HOTEL神保町では、事前にアンケートに答えて、選書をしておいてもらえる宿泊プランもあるそうなので、また泊まれる機会があったらやってみたい。(今年はどこかで選書してもらう体験をしてみたいと思っている。)
何より、今回は、読書を目的として宿泊するという経験ができて良かった。
この日、もう1つ楽しみにしていた予約があった。
1年後の自分に手紙を書けるお店「自由丁」に行ったのだ。
以前他でも見た事があったし、先日ちくわぶさんの記事で拝見して、やっぱりやってみたいな、となった。
これまでも、誕生日にアナログのノートに、1年後の自分へのメッセージを書いたりしたことはあるのだけれど、アナログな分リマインダーがないので、丁度1年後に読み返すことはあまりなく・・・1年後の自分への手紙の意味がないというか・・・。そんな感じで、このようなタイムカプセル的な体験には憧れがあった。
1年前の自分は、まだ例の沼落ち彼とも出会っておらず、去年から今年の1年間で経験したことは本当に濃密だ。
年を取れば取るほど時間の感じ方は早くなっていくというけれど、去年から今年の1年間に関しては、密度が濃すぎて、私はそれより前の年よりも長~~~~~く感じた。(敢えての~使い。)
起きた事、反射的に行動したことを考えると、これまでの人生の1年の中でもかなり充実度が高かった年だったのは間違いない。途中から人生味わってるなーとなった自覚がある。
実は、自由丁に辿り着いて受付をすると、私はどうやら間違ってもう一軒の系列店「封灯」の方を予約していたらしかったことが分かった。お店の方は、封灯の方は飲み物やスイーツの種類も豊富で、もう少しライトにお手紙を書ける感じなので、今からそちらに行っても良いし、丁度予約が空いているからこのまま自由丁で手紙を書いても良いと提案してくださった。
2店舗の違いを詳しく聞いてみると、「封灯」の方がやや気楽に手紙を書ける感じで、しっかり自分と向き合って1年後の自分に手紙を書くなら「自由丁」の方が希望のコンセプトに近かったので、そのままこちらでお世話になることにした。
今年は、これからの人生のスタンスを決める年にしたいと思っているので、誕生日でも、記念日でもなんでもないけれど、決意を込めて1年後の自分への手紙を書いた。と、格好つけて言ってみたけれど、その実、そこまで決意って感じの内容にはなっていない。最近の心境と、素直な心持ちと、来年の自分を追い込まない程度に励ます言葉を選んだ。レターセットには、手紙を書くヒントになるような質問が書かれたカードと詩のカードが同封されている。
筆記用具も沢山準備されていて、この日私がお借りしたのは、TETZBOという真鍮製のボールペン。他所で見た事がなく、手に持ってみると重みがあり、短いけれど重心が筆圧の強い私の手にしっくりと来た。
この出会いがまた後で面白い展開になる。
1時間ほどかけて手紙を書いたり、置かれている絵本や詩集を見たりしていたら、あっという間に終了時間が近づいてきた。私より先に2組のお客さんが手紙を書いていたが、どちらも2人連れだった。それでも書いている間はひたすら黙々。
中に封入するものが出来上がったら、仕上げは、シーリングスタンプで封をする。仕上げのシーリングスタンプのところはマンツーマンでお店の方が対応してくださるので、しばらく他のお客さんの様子に聞き耳を立てつつ、ディスプレイされている本を手に取ったり、本棚を見たり、ちょっと読んでみたりしていた。
シーリングスタンプ。文具女子博でも専門店を見かけるし、近年は初心者向けに100均でもシーリングスタンプのキットが売られている。インクと同じで、ワックスの色も多種多様だし、道具を揃えだすとハマりそうなので、これまでは手を出していない領域だ。あと、何となく、火で蝋を溶かす作業が家で安全にできるかななどと思い、これまではシーリングスタンプ風シールやシーリングスタンプ風スタンプで我慢してきた。(ライター使えば良いのでしょうが、未だに地面に落とせない室内でマッチを使うのは怖い人←)
私の番が回ってきた。ここでは好きな色のワックスを4粒選ばせてもらえる。ワックスを収納しているケースが、またツボ。お聞きしたら、閉業した活版印刷屋さんで使われていた箱らしい。
ワックスは1分ぐらい溶かして流し、上からスタンプをそっと置く。
固まるのも早い。
色の組み合わせはちょっと想像ができない。スタンプの柄も選ぶことができるのだけれど、ここは折角なので自由丁柄にする。
ちょっと想像したのとは違う感じになったが、初めてやった割には綺麗なスタンプになったと思う。お店の方に文具が好きという話をしたら、近くにカキモリさんの店舗があることを教えて下さった。自由丁の筆記具もカキモリで整えられた品とのこと。
カキモリといえば、かつて私の中では、いつか行ってみたいお店だったのだ。でも、蔵前にあることを認識していなかった。
10年以上前にカキモリさんが出張されていた百貨店の文具関係のイベントで、オリジナルノートを作ったことがある。書くことはずっと好きだったけれど、当時は、まだそこまでで文具好きを押し出して生きていなかった。確か、親戚に贈り物をするためか何かの用で、数年に1度あるかないか、珍しく母親について百貨店に行ったときに遭遇したイベントだった。まだ学生だった私が作るにはちょっとお高めのノート。親の前でも、あれが欲しいとかそういうことはほとんど言ったことがない。でも、相当逡巡した顔をしていたのだろう。滅多に一緒にデパートに来ることもないからと、母がプレゼントしてくれたのだ。いそいそと、気に入った表紙を選んで、中に挟む紙も順番を考えて、、そんなことを急にぶわーっと思い出した。ノート自体は大事にしているのに、カキモリさんのことをすっかり忘れていた。
(後日、母にこの話をしたら、そんなことあったっけ?とすっかり忘れられていた。)
話は自由丁に戻る。
今回私は1人で訪れたし、写真を撮って同封するというオプションはつけなかったのだけれど、知らぬ間に手紙に向き合っている時の写真を撮ってくださっていた。自分が物を書いている姿なんて、写真に撮られたことがなかったので、照れ臭かったけれど、良い記念になった。店内が素敵なので、なんだかただの後ろ姿が絵になる。
自由丁には、知らない人と本を交換できるというシステムもある。交換で持ち帰れる本には、本を置いて行った人のコメントが挟まれているものも多い。今回は、自分がおすすめする本を手持ちできなかったので、やらなかったが、この仕組みも面白いなと思った。
そんなこんなで、自由丁を後にしたのは13時半前。
この時点で、私の中には午後の予定で2案ほどあった。
案1. 大河ドラマの「べらぼう」を見ていて、久々に自分の中で吉原ブームが来ているので、吉原神社の方を散策して、御朱印をいただく。
案2.坂本龍一さんの展覧会に行く
G-darkさんの記事を読んでいてこれまた素敵と思っていた。
この時点で夕方帰ることを考えても、あと行けるのは1か所。
さてどうするか。。やや伏線は書いているが。
その3へつづく。