ふわっと香る君の気配
冬はやっぱり寒い。
見上げる空は星がいっぱいで感動と切なさが込み上げる。
長いこと上を向いていたから首が痛くてゆっくり前に視線を移す。
「………。」
何かを感じた気がしたが目の前には誰もいない。
「またか。」
最近こんなことがよくある。
誰もいないのに誰かがいるような、そしてその気配は何となく君の香りがする。
僕が作る幻覚かな?
僕はそんなに寂しがりなわけじゃないんだけどな。
でも、早く戻ってきて欲しい。
こんなに近くに感じるのに抱きしめることもできないなんて……寂しくなってしまうよ。
この冬が明けたら君は戻って来るだろう。
君のように優しい香りの春を連れて僕の心を温めてくれるだろう。
それまでは耐え抜く。
この寒くて厳しい環境も君の春の為なら守ってみせる。
冬がなければ春も来ないからね。
君が春を連れてくるまで僕はこの気配と香りで我慢するよ。
だから君に会ったらまず僕を抱き締めて。
寂しかったなんて言わないけれど、本物の君とその温もりで僕の心を埋めてくれ。
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