役員直下から”マネージャーを主体にした組織”への移行を目指してー社内人材の育成に必要だったマネジメントトレーニングへの投資
スペースシェアのリーディングカンパニーとして成長を続けている株式会社スペースマーケット。2014年1月の創業当初から、一貫してスペースシェア事業を柱にし、「スペースシェアをあたりまえに」というミッションを掲げています。
同社では外部人材に頼らず、社内からマネージャー層を引き上げるなど、今年から意識的に人材育成に注力していこうというフェーズでした。しかし一方で、全社共通のマネジメントの型が定まらず、属人化してしまうといった悩みを抱えていたそうです。
課題解決を目指してEVeMのマネージャープログラムを導入した同社に、どのような変化が起こったのか。執行役員兼人事カルチャーグループマネージャーの佐々木正将さんと、同グループの組織開発担当の青山正史さんにお話を伺いました———。
事業は伸長しているが……「100人の壁」を突破できるか危惧していた
ーーーまずは貴社の事業内容と、EVeMの導入前に抱えていた悩みや課題感を教えてください。
佐々木様(以下、敬称略):弊社の柱となっている事業は、あらゆるスペースの貸し借りができるプラットフォーム「スペースマーケット」の運営です。創業した2014年1月当初から、新しいチャレンジを生み出し、世の中を面白くするきっかけをスペースシェアによって作り出すことを目標にしています。
もともとは法人向けのシェアビジネスとして立ち上げたのですが、徐々に個人ユーザーの利用が伸びていきました。そんな折に、コロナ禍に突入。一時は売り上げが落ち込んだものの、テレワークや少人数の集まり、ECサイトに掲載する商品の撮影、推し活やスポーツ関連の利用といった、新規の需要による利用が急増していったのです。もともと、扱っていたスペースの種類が多岐にわたっていたため、利用トレンドの大きな変化にも対応することができました。
コロナ禍を乗り越え、現在事業は比較的堅調に伸長しています。ですが、このままの体制だと事業拡大における「100人の壁」を突破できないのではないかと危惧していました。いまこそ組織構造を変え、マネージャーの育成に力を入れなくてはいけないと検討を始めました。
マネジメントを意識した組織変革も難航。会社には見本となる“型”がなかった
ーーーなぜ「100人の壁」を突破するために、マネージャーの育成が大事だと思われたのでしょうか?
佐々木:コロナ禍を経て、ハイブリットワークなど働き方の価値観が多様化したと実感しています。よい傾向である一方、マネジメントの難易度が高まっているように感じます。世の中全体を見渡しても、おそらく今後「マネジメントをやりたい」という人材は不足してくるのではないかと思います。そうしたなかで、いま慌てて付け焼き刃的に外部人材を入れたところで、長い目でみたときに会社を成長させることが難しくなっていくのではいかと感じたのです。だから我々は、社内人材からマネージャーを育成し、マネジメントに余力を持たせていくことが重要だと考えました。
ーーーマネージャーの育成が急務だったのですね。課題解決のために、具体的にどのような施策をとりましたか?
佐々木:まず、役員の直下に社員を配置し、役員全員がマネジメントを担当するような組織構造に変えました。ところが、弊社のような50人程度の会社規模だと、役員もプレイングを担いますから、どうしても事業成果に直結する業務のほうが優先されがちになってしまう。時期やフェーズによっては、マネジメントへの注力が弱まり、丁寧さが欠けたり、抜け漏れが発生してしまうことも。そこで役員直下ではなく、マネジメントの担当者をしっかり立てる必要があると考え、社内から8名をマネージャーに擁立しました。
青山様(以下、敬称略):とはいえ、当時は会社にはこれといったマネジメントの型がなく、ちゃんとした型を学んだ人材もいないという状況でした。自分も含めて、それぞれが前職などで経験してきた独自のスタイルを用いているような状態だったのです。もしスタイルがハマらなければ、メンバーの不満につながってしまうことも。あまりにも「属人的すぎる」という課題が露わになったのです。
育成に力を入れると言っていたが、突きつけられた現実。マネージャーの現在地の把握で、課題解決への道筋が見えた
ーーーEVeMのマネジメントトレーニングを選んだきっかけや、決め手はありましたか?
佐々木:実は以前から、EVeM代表の長村(禎庸)さんのnoteを拝見していました。読むだけではなく、社内のマネージャーが個別のフィードバックに活用するなど、note記事を教科書のように使わせていただいていたのです。導入を検討するにあたり、予算の捻出で悩むところもあったのですが、自分と似た原体験を持っている長村さんのマネジメント経験談に強く共感し、信頼できそうだと感じたのがひとつの決め手になりました。
また、“役員直下”から“マネージャーを主体にした組織”へ移行するにあたり、権限委譲とマネージャーの育成強化が課題でしたが、どうやって期待値を伝え、どう権限を渡していくのか手探り状態だったわけです。 その点、EVeMさんならフォーマットをもとにすぐに実践できることと、トレーナーからのフィードバックが受けられることにも期待しました。
ーーー受講を開始してすぐに、新たな気づきがあったとうかがいました。
佐々木:そうなんです。弊社の選抜メンバーが受講を始めてすぐに、現実を突きつけられることになりました。社内において「成果・活用・育成・調整」のウエイトがそれぞれ何%を占めているかという診断を受けたところ、育成のウエイトがめちゃくちゃ低くて……。私自身散々マネージャー育成の大事さを訴えてきたつもりなのに、私中心にまったく言行一致していなかったんだな、と(苦笑)。しかし、マイナスポイントがきちんと可視化されたことで、課題解決への道筋も見えてきたと思います。
共通言語ができたことで、マネージャー同士に対話が生まれ、主体性のある組織へと変化
ーーーマネジメントトレーニングを受講した後は、社内にどんな変化が起こりましたか?
佐々木:これまでは役員中心で動きがちだったので、マネージャーから役員への個別相談がとても多かった。今回の受講を機に、共通認識や共通言語ができたことでマネージャー同士の対話が生まれ、マネージャーを中心としてチームが動く場面が少しずつ増えてきています。役員間でも、マネージャー育成に対する解像度が上がり、権限委譲に向けた進め方の共通理解を持つことができました。
ーーー青山さんは実際に受講されてみて、いかがでしたか? 感想をお聞かせください。
青山:型を学び、自分の中にインストールできたことで、試行錯誤しながらやっていた自分のマネジメントが間違っていなかったと認識できたことが大きかったです。それに加えて、新しい型を知ることもできたので幅も広がりました。特に、個人にあわせたコミュニケーションやアサイン方法は、日々の業務に直結する部分だったので、すぐに実務に落とし込むことができたのもうれしかったですね。
先々の人材育成や組織パフォーマンスを見越して、早めの導入がベスト
ーーーEVeMのプログラムをどんな人におすすめしたいですか?
佐々木:私たちはマネージャーが8名まで増えたタイミングで導入しましたが、2〜3名ほど立った時点で受講したほうがいいのではないかと思いました。
人事という領域は、どうしても採用が優先になりがちです。それはもちろん重要事項ですが、採用を重ねてもパフォーマンスが上がりにくいケースもあるでしょう。どんなに人を増やしても、育成やマネジメントが足りなければ組織は成長していかない。先を見越した組織パフォーマンスの向上や人材育成のためにも、ミドル人材が複数人立ったタイミングで、早めに型やノウハウを学ぶべきだと実感しました。
自社が代名詞になる世界線を目指して。組織づくりとマネジメントの領域にも力を
ーーー2024年には創業10周年を迎えます。スペースマーケットとして、今後どのような組織づくりを目指していきたいですか?
佐々木:会社の中長期方針としては、あらゆる人や企業が「場所を探すなら・運用するならスペースマーケット」だと認識している世界観に辿り着きたい。そのためには、人材とテクノロジーの活用が重要だと考えています。
実は今春、スペースマーケットでは3回目となる VALUE(行動指針)刷新を行ないました。その名も「Atto指針」といいます。この名称には「私たちに求められるのはアッと言わせる成果、圧倒的な成果。そのための行動指針」という意味が込められています。この指針に基づき、ハードスキルだけでなく、組織づくりやマネジメントの領域にも重きを置いて、柔軟かつ強い組織を作っていきたいですね。
青山:自分は組織開発に携わっているので、まずはマネージャーがアウトプットを繰り返して自己理解を深めていくことができる環境づくり、そしてマネージャーが次のマネージャーを育成できる組織づくりをしていきたいです。率先して「マネージャーになりたい」という社員が出てくるようになったら、会社がより活性化していくのではないかなと期待しています。
佐々木様、青山様ありがとうございました!
EVeM HERO INTERVIEW
インタビュイープロフィール
※上記の部署名、役職はインタビュー当時(2023年11月時点)のものです
▼株式会社スペースマーケット 様について詳しく知りたい方は、下記からご覧ください。
▼EVeMの法人向けプログラム(マネ型)についてのご相談・お問い合わせは、下記からお気軽にご連絡ください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?