物語が終わるということ
皆さんこんばんは。お久しぶりです。今日は満月、4月の満月はピンクムーンと言って恋愛運にも効果があるとか。皆さんは見えているでしょうか。
前回の投稿から約1年。長い間何も書けていなかったのですが、書きたいこと、やりたいことは積もっていくばかりなのでまた投稿を再開したいと思います。
今回は、最近読んだ本に関してです。読書感想文、のようなものだと思っていただけると。
小さい頃から読書が大好きなのですが、中高生の頃からずっと追いかけているシリーズがいくつかありまして。
太田紫織さん著の「櫻子さんの足元には死体が埋まっている」がそのひとつです。
先月最終刊が発売され、やっと読むことができたのですが、久々に本を読んで泣いてしまいました。
全部で17冊にわたるこのシリーズ、語り始めるととにかく長くなりそうなので、今回は最終刊を読んだ感想にとどめますね。
最終刊を読む
小さい頃から読書が好きな私なのですが、何年経っても、何回経験しても、「最終刊」を読むということには慣れません。
その物語の世界に没頭してしまう質なので、これで終わってしまうと思うと胸がぎゅっと締め付けられるんですよね。
物語の中の人物たち、そしてその世界は「ここで終わり」ではないのに、ストーリーとしては終わってしまう。それが寂しいような悲しいような。でも結末が楽しみで仕方ないような。胸がいっぱいになります。
ということで、ずっと読んでいたシリーズの最終刊となると泣きそうになるのはいつものことなのですが。
今回は、本当に胸がいっぱいになって涙が出てしまいました。
櫻子さんの足元には死体が埋まっている 櫻花の葬送
実は、本屋さんに行ってこの本の帯を見るまで、そしてサブタイトルを見るまで、最終刊だとは気が付いていなかったんですよね。最新刊が出ているらしい!という情報しか得ていなかったので…。
前作の流れから考えて終わりが近いことは分かっていたのですがこれで終わるとは…。
櫻花の葬送、題名を見て「あ、終わるんだ」としみじみしていまいました。
家に帰って早速本を開いてみて、案の定没頭してあっという間に読み終わってしまいました。
これまでの点がつながって、ひとつの「かたち」を織りなして、物語の終わりへと向かっていく。
終わって欲しくない、でも読み進めたい…、そんな不思議な気持ち。
最終章の終わりまで後少し。そんなところまで来て、見覚えがある文章にたどり着きました。胸がギュッと締め付けられました。
それは、このシリーズが始まって一番最初に出てきた場面。最初に読んだ時から、時系列的に後の方の場面だとは分かっていましたが、まさか最後だったとは思いませんでした。
全ての話が終わって、再び読む場面。この場面にたどり着くまでに起きたことが分かっている分、初めて読む時には感じなかった悲しいような、寂しいような、鮮やかな世界にセピアのフィルタをかぶせたようでした。
「死」と「時間の流れ」、そして「生きる」こと
「死」の色が濃いこのシリーズ。
しかしその「死」を通して、「生きる」ということを深く考えさせられます。(これについてはまた次回、深く掘りますね)
今回もまた、櫻子さんの言葉に胸を打たれたわけですが、今回は特に「生きる」ということへのメッセージが強くて刺さりました…。
ネタバレになるので台詞は引用しません。実際に読んでみてください。
何が起きたとしても、何があったとしても、人それぞれに正義があって、「正しい」と思うことをしていて。結果として道を踏み外すことがあったり、人を傷つけてしまったり。苦しくて、救われたくて、逃げたくなることもある。
でも、どんなことがあっても生きないといけない。命があるから。
他でもない櫻子さんが言うからこそ、胸に深く突き刺さる言葉、想いでした。
そして最後、主人公たちが選んだ未来は、「別れ」の色を持ちながらも輝いていて、とても美しかった。
「生きる」
辛いことがあって、悲しいことがあって、死にたいと思ってしまったこと。
私もあります。
そう思った時に、支えになった言葉があるし、もちろんその時死ななかったからこそ今がある。
しかし、櫻花の葬送での言葉は、その時の言葉以上に、生きないと、と言う思いをくれました。
死にたいと思ったことがある人、大切な人を失ってしまった人、「死んだ時間」を生きていると感じている人…。
そんな人には、是非この本を読んでみてもらいたいです。もちろん、そうでない人も、きっと読めば新しい視点を得ることができると思います。
感染症で多くの人が命を落とし、意識していなくても実は「死」がすぐそばにある今だからこそ。
櫻子さんの「死」「生」、そして「未来」に向ける想い、触れてみてください。
最後まで読んでくださりありがとうございました!
「櫻子さんの足元には死体が埋まっている」、この本が私の価値観に大きな影響を与えた話はまた次回。読んでいただけたら嬉しいです。
見出し画像は「みんなのフォトライブラリー」より星神侑兎さんのお写真をお借りしました。ありがとうございます。