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【レトロゲーム回顧録】空牙2001(ウルフファング)その2

ウルフファングの撤去に始まった不安と焦り
 
7月のある日、隣町の50円で遊べるゲームセンターからウルフファングが撤去されてほぼ同じ時期に空牙も撤去されたのが始まりで、これを境に私は何か強い不安と焦りを感じる様になっていた。
4月から「ストリートファイターⅡ‘(ダッシュ)」が入荷して店に並び、私は技を出すためのコマンド入力が中々上手くいかない事や、連続技の出し方が全く理解出来ず対人戦において相手を一方的にハメ倒す行為に強い嫌悪感を覚え、それが重なって対戦格闘ゲームに最初から全く馴染む事が出来なかった。
いつも楽しみしていたウルフファングがいつの間にか、ゲームセンターから撤去されるかもしれない強い焦りと不安が少しずつ募っていき、やがて大きなストレスに変っていくのにそれほど時間は掛からなかった。
ゲームが撤去される前に、ゲームの最終ミッション5-A、コードネーム「オーディン」生還率:01%、をなんとかしてクリアをしなければならなかった。それがたとえ大量のお金を使ってゲームをコンティニューしまくってゲームクリアを目指す事になっても……。
 
ウルフファング5-Aコースのクリア、そして撤去
 
日々の不安とゲームがいつ撤去されるかもしれない強い焦りが遂に我慢の限界を迎え、ゲームのクリアに思い立った私は、ある日の土曜日、専門学校の帰りに市外にある駅前ゲームセンターに寄ってゲームがまだある事に少し安堵し、両替機で大量の100円玉を用意して、私の最高の愛機である虎徹を使って最後の戦いに挑んだ。
この何か月前にミッション4-B、コードネーム「ウードガルズ」生還率:30%、ボス名、対衛星用レーザーキャノン、「グングニル」とミッション5-B、コードネーム「フレイ」生還率:05%、ボス名、ガードシステム、「ノルン」をコンティニューしまくって1度クリアしていたので、このコースはスルーする事にした。
ミッション1、コードネーム「狼牙」生還率:100%をノーミスクリア、ミッション2、コードネーム「強襲」生還率:80%、ボスである強襲型ホバークラフト「モビィディック」はミッションそのものが簡単でノーミスでクリア出来たが、ミッション3-A、コードネーム「風の墓標」生還率:50%から急に難しくなりボスの重装機兵「プロトタイプ」で苦戦した。
事前にゲーメストの攻略記事を読んでいたものの、流石はハードコースと呼ばれ生還率の低さは伊達ではなくゲームのクリアは一筋縄ではいかなかった。
ミッション4-A、コードネーム「ラグナロックⅡ」生還率:20%では、ミッションの道中やボスの重駆逐機兵「ヨトゥン」の攻撃や重力破砕砲に手を焼き敵に倒され何度もコンティニューを繰り返してゲームを進めた。                                                                                                
やっとの思いで5-Aにたどり着きゲームのメインテーマ音楽である「WOLFFANGー“狼牙”(BGM1)」の曲をゲームセンターの騒音の最中になんとか聴けた時は、落ち込んだ気持ちが奮い立ち少しモチベーションを持ち直した。
悪戦苦闘の末に「飛空戦艦ラグナロックⅡ」を抜けた後に、待ち受けていたラスボスである重装備大型装甲機兵「フルングニル」の攻撃は厳しく特に、ファンネルの様な兵器が変則的なレーザー攻撃に翻弄されて、何度もコンティニューを強いられる事になったがどうにかゲームをクリア。
大量のお金を使って見たエンディングの演出と音楽の出来は良く、明るいエンディング曲とネームエントリー曲を聴きながらゲームをクリアした事に満足をして、ゲームセンターを後にした。
それからしばらく経ってゲームは私が良く行く隣町の駅前のゲームセンターからゲームは遂に撤去され、私は寂しい思いと名残惜しい気持ちでいっぱいだった。
 さらばウルフファングさらば我が最高の相棒にして我が愛機の虎徹、君の事は絶対に忘れないよ……。
しばらくの間私はゲームのことが忘れる事が出来なかった。ゲームが撤去された寂しさを紛らわせるために、よくウルフファンとタンブルポップカップリングされたゲームCD音楽を聴いた。
 時代はシューティングゲームやアクションゲームのジャンルから変わり始めて対戦格闘ゲームのブームが始まろうとしていた……。
 
ウルフファング何故か中古のファミコンショップに入荷
 
 ウルフファングは数か月後に、どういう訳かゲームセンターではなく私が偶然立ち寄った中古のファミコンショップに再入荷していた。
最初にゲームと再会した時は嬉しさと懐かしさより、何故中古のファミコンショップにゲームが入荷したのか理解に悩んでしまったが、ゲームに再会出来た事に嬉しくなりゲームを楽しく遊んだ。
その後ファミコンショップは閉店してしまい、30年以上経った今現在別のものに変ってしまったが、今でも時々この近くを自転車で通ると、当時ゲームを楽しく遊んだ事が懐かしい思い出になっている。
 
ウルフファングの再入荷に喜ぶ
 
ウルフファングが撤去されて何か月か経った後に同じ隣町の駅前に隣接した場所にゲームセンターに再びウルフファングが入荷した。
この時のゲームのプレイは前回の反省を踏まえてスペシャルコースには一切手を出さずゲームのクリア目指してゲームを遊んだ。
1コインクリアを目指す為にミッション3-B、コードネーム「漆黒の牙」生還率:70%、ボス名、大型イオノクラフト「EB1」を倒してクリア後にミッション4-D、コードネーム「イグドラシル」、生還率:40%、ボス名「ガンドールⅡ」を選択していたが、途中からミッション4-C、コードネーム「ミズガルズオルム」、生還率:30%ボス名、潜水艇「スティングレイ」の所に行く事を積極的に選ぶことにした。
理由は簡単で海中ミッションである4-Cには厄介な敵である敵中型装甲騎兵「バーサーカー」(ファンの間からはドムと呼ばれている)は出て来ないのが主な理由で、この頃になると昔に比べると少しゲームが上手くなった程度だった。
その内にミッション5-C、コードネーム「ソール」、生還率:10%のラスボスであるガード重装甲機兵「ムスベル」まで行ける様になったが奮戦むなしくあえなくゲームオーバー。
5-Dのラスボスである重装甲機兵「フリムスルス」まで進んだが奮戦むなしくあえなくゲームオーバーなってしまい。5-Cや5-Dのラスボスまで進める様になったが、結局どちらのラスボスにもまったく勝つ事が出来ず、その後何年か経って市内のゲームセンターにゲームが再入荷した時にも再び挑戦したが、この時にもどちらのボスにもあと一歩の所で勝てなかった。
しかしゲームの方は楽しく、ゲームの中で最高の相棒で我が愛機である虎徹と共にゲーム画面の中を駆け抜けていくのだった……。
 
ウルフファング、次世代機に移植
 
   ウルフファングが発表されて約4年後、当時ゲーメストは家庭用ゲーム機雑誌であるゲーメストEXを出版しており、ある日の休日に本屋でゲーム誌を立ち読みしていた時に、ウルフファングが初代プレステの移植を知った。
掲載されていたゲームの紹介ページは僅かだったが、司令官とオペレーターや男女のパイロット達の貴重なイラストが良く出来ていて、有名な声優さん達がキャラクター達を演じておりゲーム誌は、ウルフファングの記事が書いてあっただけという単純明快な理由だけでゲーム誌を購入。
家に帰って自室でゲーム誌を読んで初代プレステに移植された事は少し?正直驚いてしまったが、私が当時持っていたゲーム機はセガサターンを持っていて、ゲーム欲しさに新たにゲーム機本体を買う気はなく、ゲーム誌を読んでゲームに思いを馳せていた。                         
約1年後にセガサターンに移植された事に正直嬉しくなり、ゲームショップでゲームを購入。 
家に帰って自室でゲームをプレイした時、私にとっては最高の相棒にして自分の愛機である虎徹と再会した時は嬉しさと感無量の気持ちでいっぱいになり、移植の再現度の事はあまり気にしなかった。
セガサターン版のウルフファングを購入した後、いつでも愛機と一緒に画面上で所狭しに縦横無尽に動かせる事とお金の事をまったく気にする事なく、何度もコンティニューして遊べるようになったことが私にとっては何よりもうれしかった。
 
ライフパックの出現条件に目から鱗
 
 ライフパックの出現条件には条件があり、固定で出現する場合とゲーム中の得点をプレイヤー自身が得点を調整して出現させる方法があり、機体によってはシビアな得点調整が重要になっている。
 ケーブルTVを見ていた時にあるチャンネルで「シューティングゲーム攻略軍団参上!」という番組で、私は毎回いつも楽しみにして見ていた。次回の放送でウルフファングが放送される事になった時は嬉しくなり、放送する日をとても心待ちにしていた。
番組でのゲームの攻略はスペシャルモードで進められて、その時のプレイヤーさんの説明で初めてライフパックの出現条件の事を説明して、ライフパックが固定で出現する場合とゲーム中の得点をプレイヤー自身が得点をシビアに調整して出現させる方法を初めて知った。
プレイヤーさんの見事な腕前にスペシャルモードを攻略する姿に感嘆するしかなくライフパックの出現条件を知った時の驚きは大きく、ゲームでの得点調整はプレイヤー自身がシビアに行わなければならない事に、私は目から鱗が落ちるほど大きな衝撃を受けてしまった。
 
装甲機兵、立体化の長い道のり
 
 ウルフファングの主役機である装甲機兵のスタイルは良く、64種類の機体にそれぞれに名前が付いており1992年の発表から当時多くのロボゲーマー達から熱い支持を受けるほど人気が高かった。
 2009年4月、タカラトミーアーツよりSRシューシューティングヒストリカ3が発売、7月にTFCシューシューティングゲームヒストリカ3 SPが発売、10月にSRビデオゲームロボティクスから本作のフィギュアとして発売された。
  機体のラインナップはTYPE54「彗星」1Pカラー(ヒストリカ3・3SP)、TYPE22「王牙」2Pカラー(ロボティクス)、TYPE09「雪風」(ヒストリカシークレット・3SP)、また、ヒストリカ3SPには4脚パーツが単独で追加。
膝、股関節、腰周り、肩関節のジョイントが可動して一部の装甲機兵を再現して楽しめたが、ファンが望んでいた本格的な装甲機兵の立体化による再現には、それから約15年の年月を待たねばならなかった。
 
装甲機兵、待望のプラキット化!お楽しみはこれからだ!
 
 2024年プラモデルメーカーであるPLUMより1/35スケールの装甲機兵のプラモデルが発売。
ラインナップは、TYPE01「蒼龍」(10月発売)、 TYPE02「天雷」(12月発売)、 TYPE03「火龍」、 TYPE04「神龍」になっておりカラーリングは1Pカラーになっている。
4種類の手持ち武器がそれぞれ付属、それぞれ猟兵が1体付属、PLUM SHOP限定購入特典にはパイロットがそれぞれ1体ずつ付属、4種類の機体を全部揃える事が出来ればゲーム同様に64種類の機体を組み換え可能でゲーム発表から30年以上たった今でも、人気の高さがうかがえる。
 ウルフファングのファンである私も何日も悩んだ末に、模型店に注文して「蒼龍」を買う事にした。プラモデルは無事に購入して、今は同じ模型店で「天雷」を購入。
いつか4種類の機体が全部揃えて64種類の機体を組み替えて遊べる事に今からとても楽しみにしています。
 
鋼の牙を持った狼達の歓喜の咆哮の叫び声を聞け!ウルフファング令和の時代にまさかの復活!
 
ある時、「ウルフファング・スカルファングサターントリビュートBoosted」が発売されることを知ったのだが、残念ながら私はニンテンドースイッチを持っておらず、ゲームソフトを買うか買わないか何日も考えて悩んだ末にゲームショップで通常版を予約して、発売日と同時にゲームを購入。
本当は特装版BOXについているオフィシャルファンブックが買いたかったのだが……。
押しの機体と共に令和の時代に蘇った鋼の狼達と一緒に画面狭しに一騎当千の活躍を思う存分楽しもうじゃないか。
 
 ウルフファングは、世界観・ストーリー・ゲームの演出など隙の無い高い完成度だが、ゲームの難易度は高く、行き当たりばったりのアドリブプレイでは、簡単にゲームオーバーになってしまいゲームを本当にクリアする事を目指すのであれば64種類の機体それぞれのパターン作りの構築が非常に重要になる。
特にライフパックの出現条件はシビアで、プレイヤーには厳しい得点の調整と管理が必要になっており、この事が重なってゲームの方は必然と難易度が高くなり、ゲームを本当にクリアする事を目指すのであれば、機体ごとのパターン作りが非常に重要になりゲームが上手くなれば本当に遊べる作品になっている。
シューティングゲーマー達やロボゲーマー達からは人気が高かったが、経営するゲームセンターにとっては、長時間遊べるゲームはインカムにおける収入面の効率が悪くゲームの難易度の高さも相まってゲームセンターから撤去されるのも早く、ゲーメストのハイスコア集計において早い段階で永久パターンが発覚して打ち切られた。
また隠しモードであるスペシャルモードにおいても同様にして永久パターンが発見されてしまうと早々にしてハイスコア集計が取り止められてしまった。
1992年に初代スト2の続編である「ストリートファイターⅡ‘ダッシュ」が発表され、不運にも対戦格闘ゲームブームと重なってしまい人気が思うように上がらない事等、様々な要因が重なりゲームは早々にゲームセンターから撤去され、様々なゲームメーカーが対戦格闘ゲームを発表した事がこの時代の大きな転換点と言える。
ゲーム誌の「ゲーメスト」の企画で1992年に行われた第6回ゲーメスト大賞」において読者投票により大賞2位を獲得、ベストアクション賞5位、ベスト演出賞3位、ベストVGM賞7位、ベストキャラクター賞では装甲機兵が11位を獲得した。
 1998年に刊行されたゲーメストムック『ザ・ベストゲーム2』でもウルフファングは総勢64種類にものぼる機体には、それぞれ「吹雪」や「武光」といった名前がつけれていたことに当時は驚かされ、マルチストーリーや難易度の異なるゲームを楽しめることも人気を獲得しており、アクションゲームに求められている必要なゲーム性を備えている事など肯定的に評価されている。
移植においては、2003年にWajor Waveシリーズアーケードヒッツウルフファングは初代プレイステーションに廉価版が再発売、2010年にプレイステーション3とプレイステーションポータブル(プレイステーションネットワーク)にダウンロード(ゲームアーカイブス)され、2012年にPlayStation Vita(プレイステーションネットワーク)にダウンロード(ゲームアーカイブス)された。
2024年の10月にシティコネクションから「ウルフファング・スカルファングサターントリビュートBoosted」が発売され、ニンテンドースイッチ、PS4、PS5、Xbox One、Steamでプレイ可能。ゲームの主役の機体である装甲騎兵は2009年に何度か立体化され、2024年には待望のプラモデル化を果たす事になった。ゲームは発表から30年以上経ち装甲騎兵のデザインとスタイルは今現在見ても全く色褪せていない。
64機の機体それぞれに名前が付いており、64種類ある装甲機兵の名前の由来をそれぞれ調べて見ると一層愛着感がわき、自分だけの愛機を見つけてロボットアニメ的な演出を思う存分時間を忘れてゲームを楽しんで遊ぶこと、それがウルフファングの本当の魅力かもしれません……。
 
気が付けばウルフファングの発表から30年以上経ちました。
 
鋼の牙を持った狼達は今でも戦い続けている。
 
貴方の中に鋼の鼓動が今でも聞こえますか?



  • 執筆 現地改修

  • ©DIGITAL butter/EUREKA project

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