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多選の制限と石丸さんへの質問
1.背景と目的
2025年1月,石丸さんが新たな地域政党「再生の道」を設立しました.1月15日(水)に会見を行い,その内容を説明しています.トップページに掲載されている内容は以下のとおりです.
目的:地域政党として,広く国民の政治参加を促すとともに,自治体の自主性・自立性を高め,地域の活性化を進める
目標:2025年6月の都議選に向けて候補者を擁立する
綱領:多選の制限(2期8年を上限とする)
記者会見等での質問,ニュース番組でのコメンテータの感想などを一通り確認すると,批判のほとんどは,政治理念・政策・党議拘束が示されていないことに終始していたように思います.本稿では,①政治理念・政策・党議拘束が示されていないことの意味,②私が再生への道について質問したいことを述べたいと思います.
2.政治理念・政策・党議拘束が示されていないこと
さて,仮に,再生の道の応援を受けて都議会選に当選した議員が,8年後に,「多選は制限されているが,地盤もできたしもう1回議員に挑戦したい」と考えた場合を想定してみます.この場合,再生の道から脱退しなければなりません.
もし,多選の制限以外のなんらかの義務(政治理念・政策・党議拘束)がある場合には,その義務が自らの政治信条とがあわなくなった,簡単に言えば,「石丸さんのやり方(再生の道のやり方)にはついていけない!」と宣言して脱退することが可能になります.そうすれば,3期目の選挙に立候補することが可能になります.つまり,政治理念・政策・党議拘束が脱退の言い訳に使われる可能性があるのです.
他方,多選の制限以外に義務(政治理念・政策・党議拘束)がない場合には,再生の道から脱退した場合,多選の制限という綱領に反したことが明らかになります.他に「再生の道」を辞める理由がないからです.つまり,義務をたった一つ(多選の制限)に絞ることで,再生の道から脱退することは多選の制限に反旗を翻したことが明らかになります.これは,3期目の選挙に立候補する際に,かなりのダメージになることが予想できます.
民間企業で新たな人事制度を導入する際には,様々なケースを想定します.職能資格を導入する場合,従業員はどのような行動をとるのか,MBO(目標管理制度)の面談を年1回から年2回に増やした場合,従業員はどのような行動をとるのかを真剣に考えます.様々な可能性を検証する中で,新たな人事制度のメリット・デメリットを確認してきます.このような思考に慣れていれば,多選の制限を打ち出す際に,他に何らかの義務(政治理念・政策・党議拘束)を課すことは筋が悪いことがすぐに想像できると思います.ちょっと厳しい言い方ですが,上記のことは,石丸さんの記者会見を見れば容易にわかることです.この点に言及できない記者やコメンテーターにはショックを受けました.
3.石丸さんへの質問
今回,参考資料に掲載した動画で,西田亮介さんが石丸さんに①なぜ,このようなことを思いついたのか,②参考にした過去の事例はあったのかを聞いていました.私もこの点についてはもっと深く聞きたいと思いました.私は,他に以下のような質問を是非石丸さんに投げかけてみたいと思いました.
(1)2期8年について
これは私が最も知りたいことですが,多選の制限の上限として,1期4年を上限とする選択肢もあったと思います(3期12年は無いと思います).なぜ,2期8年にしたのでしょうか? 1期4年にした場合と2期8年にした場合でどのような違いがあると考えたのでしょうか?
また,「2期8年を上限とする」と書かれていますが,1期4年で辞める人(別分野に移る,他の政治活動に移る)の割合はどの程度だと想定したのでしょうか?
(2)小さな義務について
政治理念や政策など思想信条的な方向性を打ち出すことはデメリットが大きいことを理解していますが,小さな義務を課すことは理論的には可能だと思います.例えば,①1年毎に政治活動の報告をYouTubeにて合同で発表する,②再生への道の議員同士で定期的に討論会を行うなどです.小さな義務を課すことは考えたのでしょうか? 小さな義務だから今回は必要ないと考えたのでしょうか? 議員の中から自発的に動き出すほうが理想だと考えたのでしょうか? 小さな義務が大きな義務に変容し,脱退する言い訳に使われる可能性を考慮したのでしょうか?
(3)一次選考について
エントリーシートの項目が公開されていたほうが,応募が増えると思うのですが,エントリーシートの項目は公開されないのでしょうか?
(4)二次選考について
一般に適性検査には「性格検査」と「能力診検査」がありますが,どちらを重視しているのでしょうか? また,相対評価と絶対評価のどちらでしょうか?
二次選考の通過者は公表と書かれていますが,公表される前に本人の意思確認はあるのでしょうか? つまり,①適性検査を受ける段階で合格したら公表されることを覚悟しなければならないのか,②適性検査を受けて合格した場合,3次選考を受ける意思を確認してから公表するか,の違いです.①は候補者が2次選考を受ける際の覚悟のスクリーニングになり,②は2次選考を受ける応募者の母数を増やすことにつながります.
(5)三次選考について
15分のプレゼンテーションと書かれていますが,質疑応答は何分ぐらいですか? また,対面とオンラインのどちらを想定していますか?
15分のプレゼンテーションで要求される項目はありますか?
要求項目があった場合,①公開範囲(候補者のみか,視聴者にも公開されるのか),②公開期間(1次選考時点か,直前までわからないのか)を教えてほしいです.
また,面接で評価するポイントは事前に公開されないのでしょうか?
公開される場合,①公開範囲(候補者のみか,視聴者にも公開されるのか),②公開期間(1次選考時点か,直前までわからないのか)を教えてほしいです.
4.最後に
石丸さんは,徐々に情報を提示することの意味を強く意識されている方なので,今後上記の質問に対する答えが明らかになると思います.その時を楽しみにしています.