【映画感想】室井慎次 生き続ける者

 ※ネタバレはしていないつもりですが、全体的なカラー、感触を書いているつもりです。感じたことを強く書いてるため、内容や結末を予想できてしまう可能性もあります。そのため、映画を観終わった後に読んでいただくことをおすすめします。

 学生の頃、私は踊る大捜査線が大好きだった。  元々、青島のような真っ直ぐで邪気のない瞳を持ったキャラクターに惹かれてしまう性格もあり、私にとってこのドラマは、当時の自分を勇気づけてくれたものだった。
 そういった意味で、私は室井慎次に似ていた。室井慎次に自己を投影し、上に行きたいと努力していた。
 その後のスピンオフも全て観た。踊るのキャラクターは全員魅力的で、私をハラハラドキドキさせてくれた。しかし、結婚や出産、病気などが重なり、私は踊る大捜査線を忘れていた。

 そんな中、ある日映画館で、『室井慎次 敗れざる者』が上映されることを知り、何気なく観に行った。そこで私の踊る大捜査線への熱がまた再燃することとなる。(夫に興奮しながら、ドラマ版から一緒に見てくれるようお願いしたほどだ。無論、夫もハマった。) 
 今作は、重い雰囲気とテーマでありながらも、踊るのユーモアさが散りばめられており、後編に向けてどんな展開が待っているのかとワクワクした。何より室井慎次、は警察を辞めたあとも室井慎次であった。 

初日、朝イチで映画館に駆け込んだ。

その後、後編を観た。
 混乱した。
 とても怖かった。ずっと私は怖かった。
 通常の踊る大捜査線が、青島が主人公の物語であるとしたら、今作は室井慎次が主人公の物語である。
 ストーリーは室井慎次の心が投影されたかのような色合いだった。室井慎次には、世界がこのように見えている。それを私たちは追随していくこととなる。
 皆さんはこの世界をどう思っただろうか?どう感じただろうか?
 怒りだろうか?諦めだろうか?無力感だろうか?嘲笑だろうか?恐怖だろうか?愛おしさだろうか?

 私は室井慎次を体験した。
 私は怒った。私は苦しんだ。私は闘おうと思った。守りたいと思った。室井慎次は、こうして生きてきたのだと思った。

 最高の映画だった。
 そして、不思議な感覚だが、「見つけてくれてありがとうございます。」とも思った。
 この映画を観たあと、もう一度踊る大捜査線を見返したい。きっと今までとまた違う視点を持って楽しく観ることになると期待している。


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