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日本のオーバーツーリズムを考える

 2週間ほど日本に戻っていましたが、今回は特に外国人観光客や労働者が増えたなあという印象が残りました。日本はどうしたんでしょうか。

 成田空港に着いて、いつもながら外国人は多いのは仕方ないなあと思いましたが、地元の駅に到着しても外国人が多い。僕の東京の家は東京西部のほうで、これまであまり外国人はいなかったのですが、今回は以前より見る確率が増えた。

 そんな事を感じながら、今回の旅では富士山を見ようと、山中湖と河口湖に行きました。ここは、昔から観光客も来るところで、最近は特に河口湖はオーバーツーリズム(観光公害)に悩まされていることも知っていました。

 御殿場から路線バスで山中湖に向かったのですが、乗客のほとんどが外国人。欧米からの人が複数いましたが、ほとんどがアジア系。中国語や広東語、タイ語が飛び交っていました。山中湖も結局は山梨の田舎ですから、おじいさんおばあさんがバスに乗ってきたりして、地元の人が使うのに座れないこともあったりと。。。

 山中湖に着いてもバス停にはアジア系の人たちが長蛇の列を作ってバスを待っている。そもそもバスの便数が少ないので、到着時間に集中するのは仕方ないと思いますが、それにしても前には見なかった光景かもしれません。

 河口湖にもバスで行きましたが、車中はすべて外国人。河口湖駅の前は、もう日本人の影を見ることがほとんどないほど外国人観光客で賑わっています。駅近くには上記の記事にあるようにローソン前はここも外国人だらけ。コンビニに入っても店員までが外国人が働いていたりして、ここはどこの国なんだろうという錯覚に陥るほど。日本人にも英語で話しかけられたりとしました。

河口湖にもモスクが。。。

 たぶんこの光景は外国人にはわからないでしょう。舞台は日本ですが、人がほとんど外国人になっている状況で、昔から地元に住む人はこの変わった光景に不満というか落胆というのがあるには違いない。実際、僕もここまで外国人が街に増えるのはいかがなものなのかと思っています。京都や東京でも外国人はとにかく多いですが、昨今はかなりの田舎にまで食指が伸び始めている。それと同時に、外国人観光客の質が以前と比べて明らかに異なっていると感じるのは僕だけではないでしょう。

 マレーシアは、何度もお伝えしているとおり、三大民族がいて、さらに観光立国なので、世界からの外国人が多い。そのため、マレーシアの風景は外国人がいたところで何の違和感もなく、地元の人もそれが普通だと受け入れている。そもそも多民族社会なので、アラビア人がいても、アメリカ人がいても光景に違和感がないのです。

 一方で、日本は江戸時代に鎖国をして、アメリカのマシュー・ペリーが黒船で来航してから開国しましたが、それでも地方にまで外国人が来たのは、平成まで稀だったのではないでしょうか。ところが、近年の円安や格安航空が世界から来ることによって日本にも多くの外国人が押し寄せてきました。

 さらに、SNSの発達に伴い、そこの写真を取ってSNSに載せるためだけにやってくる人やその周辺をちょこっと取材したりするYoutuberといった人たちが多くなったと言っていいでしょう。特に日本のマナーをまったく理解せずにルール違反を繰り返す悪質外国人も多く、個人的にはこういった人には来てほしくないのが正直なところです。そもそもある国に行くのに、その国の挨拶も知らない観光客というのは、個人的には信じがたい。

 政府はオーバーツーリズム対策のために出国税を引き上げることを検討しているそうです。

 それはそれでいいと思いますが、思い切って入出国税を1人1万円ぐらいまで上げたらいいと思います。昔は「日本は高いから行けない」という人が多かったのですが、今は「日本は安いから行きたい」という人のほうが多い。実際そうなってしまっていると思いますが、国内では外国人料金も設定したらいいのでは? 宿泊税も外国人料金を設定すれば、ある程度は質の悪い観光客は消えていくと思います。

 現在はとにかくエアアジアの乗客と同じで、「誰でも来てしまう」という状況ですが、文化性の高い日本をある程度守るためには、しっかりと日本を理解してくれる富裕層をターゲットにしたらいいのです。ここはマーケティングの仕方によると思いますが、ブータンのように気軽に行けない国にしてしまえば、質の悪い外国人はいなくなるでしょう。

 僕は右翼でも何でもないですが、少なくとも地方の原風景(原風景については下記をご参照のこと)は守りたいとは考えています。時代の流れによってそういった原風景というのは、だんだん無くなっていくのは仕方のないことなのかもしれませんが、現在のように急激に変わっていくのは不愉快に思うのです。現在、ヨーロッパで外国人を排斥する右翼が盛んですが、オーバーツーリズムに悩むヨーロッパでも、やはり昔ながらの風習や文化を保っていきたいという気持ちが国民の中に芽生えてきているから右翼勢力が強くなってきているのでしょう。本来は日本もそういう方向になるはずなのですが、どうも日本の政治の場合はちょっと趣が異なるようで、またここが難しい。

 いずれにしても、今の観光客の人数は多すぎなのです。確かに日本経済は深刻なほどひどい状況で、観光客に頼らざるを得ないことは否めません。そのためか、2030年までにインバウンドの訪日観光客数を6000万人にすると言っていますが、果たしてそんなに必要なのですか。2000万人の富裕層だけ来てもらったほうがいいのでは? 日本は十分、高付加価値を富裕層に提供できるだけの力はあります。そういった価値をわかってもらえる観光客だけに来てもらったら、日本人も外国人もウィンウィンなのではないでしょうか。

 その辺りを日本政府はしっかりと考えてもらいたいものなのですが。

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伊藤充臣
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