息子からの電話
昼間、突然自宅の電話が鳴った。
ナンバーディスプレイを見ると、知らない番号だ。
誰からだろう?
私は、普段あまり鳴ることの無い自宅の電話を、恐る恐る取った・・・。
電話の主は息子だった・・・。
私「もしもし?」
息子「あっ!えっと、父さんかな?」
私「ああ・・・、そうだが?どうした?突然?」
息子「あっ・・・。えっと・・・。母さんはいる?」
私「ん?あ、ああ・・・。ちょっと待っちょれ・・・。」
私は家の中に向かって大声で叫んだ。
私「おーい!母さん!母さん!!サトシから電話だぞ!!おーい・・・。」
家の中からは誰からも返事が無い・・・。
私は受話器を握り直し、息子にこう言った・・・。
私「そういえば・・・。母さん・・・。この間、死んだんだったな・・・。俺、ボケたかな・・・?お前、もしかして、俺が心配で電話してくれたのか?」
息子「・・・あ、ああ、と、父さんがちょっと心配だったから・・・。大丈夫?父さん・・・。」
私「そうか・・・。ありがとう・・・。ちょっとボケが進んだのかな・・・。でも心配はいらんさ。お前さえ元気なら・・・。」
息子「ありがとう、父さん。ところで、ちょっと相談があるんだけどいい?」
私「なんだ?他人行儀だな。今は俺とお前二人きりの家族じゃないか。遠慮するな。」
息子「じゃあ、ちょっと甘えさせてもらうね。仕事でどうしてもすぐに200万円必要になって、すぐに振り込んで欲しいんだけど・・・。」
私「なんだ、そんなことか。家に取りに来ればいいじゃないか?鍵は持ってるし、カードの場所も知ってるだろ?」
息子「いや、俺は今、会社を離れる訳にはいかないんだ。」
私「そうか。でも、お前、うちの八百屋で働いてるだろ?何で会社なんかに行ってるんだ?」
息子「や、やだなぁ。父さん、八百屋じゃ食っていけないから、俺が会社に勤めることになったんじゃないか。もう忘れたの?」
私「おお、そうじゃったかの?俺はそんな大切なことも忘れてしまったのか・・・。すまんなぁ・・・。それで、今はどこにおるんじゃったかな?」
息子「東京の○○○って会社だよ。そんなことも忘れたの?」
私「そうかそうか。今は東京におるのか。それはスマンかった。」
息子「じゃあ、今から言う口座に振り込んでね。メモの準備は大丈夫?」
私「大丈夫じゃよ。この会話は最初から全て録音されているからな。後で聞き返せば大丈夫じゃ。」
息子「な、何!?と、父さん、この会話、ろ、録音していたの!?や、やだなぁ・・・」
私「何を言ってるんじゃ?お前が振り込め詐欺対策で、全ての会話を録音してくれる電話機を買ってくれたんじゃないか?」
息子「えっ!?」
私「もちろん、この会話データも警察に持って行くつもりだけどね。他に何か質問は?」
電話はそこで突然切れた。
勘の良い方は、初めの方で気付いたと思いますが、これは振り込め詐欺の電話です。
息子はまだ小学生!
働いてる訳が無い!
ちなみに息子の名前は「アツシ」。
愛称は「あっくん」だ。
「サトシ」では無い! ← ポケモンからお名前を拝借しました
妻も当然生きています。
勝手に殺すなと言われそうだけど、相手の反応に応じて対応を切り替えておりますので、今回はこのような展開に・・・。
一応、個人情報をちょっとだけ守っているつもりなのですが・・・。
なかなか神経を使います。
最初の頃と比べるとだいぶ慣れたけど、平日の昼間に家にかかって来る電話は、大体こんな電話だ。
とても面倒だ・・・。
ちなみに、全ての会話を録音出来る電話機は本当です。
正確にはFAX機能付きの迷惑電話防止電話機で、会話の内容やFAXの画像をSDカードに保存出来るのです。
メモの必要無いので、とても便利です。
個人的には色んな意味でお勧めです。
さて、一応警察に相手の電話番号と会話の内容をコピーして報告しておこうか・・・。
実害が無いから、捕まえて貰ったことは無いけど・・・。
一応、他の被害があった時に参考になるらしいから、実害が無くても報告だけはして欲しいらしいけど・・・。
面倒だなぁ・・・。
いつも「今度は騙されたフリをして捜査協力をお願いします」って言われるんだよなぁ・・・。
これでもいつも精一杯騙されたフリをしてるんだけどなぁ・・・。
40代のナイスミドルが高齢者のフリをするのは、さすがに無理があると思うんだけどなぁ・・・。
振り込め詐欺の人も、声の若さでもっと早く気付いて欲しいなぁ・・・。
やれやれ・・・。
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