ヒゲとメガネと翼の折れたエンジェル
ある方のメガネを新調した投稿を見て、私もメガネを新調したくなった。
このメガネも随分長い付き合いだな・・・
早速、私は我が家の財務大臣である妻へ懇願した。
私「あー、このメガネもそろそろ替え時かなー?そろそろイメージチェンジしたいなー。ナイスミドルに相応しいメガネにしたいなー。このヒゲに似合うメガネってどんなメガネだろうね?」
妻「・・・」
あれ?
無視された?
華麗にスルーされた?
今流行りの忖度が必要なのか?
私「あー、メガネを変えたらきっと素敵な旦那様になるんだろうなー。君も一緒にメガネ替えたらどうだい?」
妻「ヒゲ・・・」
私「!?」
これは日本語の会話として成立しているのか?
私はメガネの話をしていた。
なのに、妻は「ヒゲ」と呟いた。
何かがネジ曲がっている。
とても同じ空間を共有しているとは思えない。
おそらく、私と妻は異なる世界を見ているのであろう。
私は妻の真意を探ることにした。
私「ヒ、ヒゲって何のことかな?」
妻「ヒゲ、嫌い」
私「!?」
なんだ?
唐突に何を言い始めたのだ?
私「ヒゲが嫌いなことと、メガネ、何の関係があるの?」
妻「ヒゲを剃らないと、メガネ買わないってこと!」
私「はぁ!?」
妻「ヒゲ、嫌いだからとっととヒゲ剃って!メガネの話はそれから!」
私「ええぇ!?」
妻「ヒゲに似合うメガネなんてトンでも無い!」
私「!?」
妻は私のヒゲが嫌いだ。
そもそも毛深い人が嫌いだ。
なら、何で結婚したんだ?
私はすぐにヒゲが生えるし、体中毛深い。
特に、背中から肩の辺りにかけて長い毛が生えており、個人的には「翼の折れたエンジェル」と呼んでいる。
そんな、素敵なムダ毛も妻は大嫌いだ。
やれやれ、また不毛な論争に突入しそうだ。
私「多くの人達にとってこのヒゲはオイラの目印になっているのだよ!オイラにとっては名刺のような物だよ!オイラのアイデンティティだよ!それでも剃れと!?」
妻「他人と家族、どっちが大事?」
私「そりゃあ家族だよ!」
妻「だったらヒゲ剃って!」
私「む、息子さんの意見も尊重すべきでは?」
息子「ヒゲはいらないニャン」
私「はぁ!?」
息子「ニャンニャン!」
くどいようだが、息子は霊長類ネコ科だ。
しかも、家の中でしかニャーニャー言わない、かなりネジ曲がった内弁慶だ。
妻「答えは出たようだねぇ(笑)」
私「ヒ、ヒゲだけは!ヒゲだけはぁ!!何卒!何卒ぉ!!」
妻「ヒゲ剃らんとメガネ買わんからね!!」
私「くっ!」
今まで何度も繰り返された論争だ。
ヒゲの普及と啓蒙活動を目指したNPO法人を設立するまでは、私はヒゲを剃るつもりは無い。
世の中の毛深い人達がマイノリティとして切り捨てられる社会ではなく、堂々と生活出来る社会の構築が必要なのだ。
私「き、今日のところはメガネを諦めてやる!でも、ヒゲは剃らないからな!」
妻「今度夜中にこっそり剃っとくね(笑)あっ!ヒゲはちゃんと描いておくからね!油性マジックで!」
私「どうか止めてください・・・」
息子「ニャンニャン」
私「・・・」
これは、昨夜の話だ。
今のところはヒゲは健在だ。
どうか、いつまでもヒゲを剃られないことを切に願います。
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