「団塊Jr.」達が子供を産めなかった理由
「団塊Jr.」とは、文字通り、「団塊の世代」の子供達の世代のことだ。
戦後、「団塊の世代」に次いで人口が多い世代である。
みんな、不思議に思わないだろうか?
「団塊の世代」の子供達の「団塊Jr.」の世代があれば、「団塊Jr.」の子供達の世代があっても良いのでは無いか?
戦後、3番目に人口が多い世代があっても良いのではないだろうか?
そのような世代がいれば、日本はこのような少子高齢化が極端に進んだ社会になってはいないのではないか?
しかし、実態として、そのような世代は無い。
「団塊Jr.」の世代は既に40代となっており、これから「団塊Jr.」の子供達の世代が誕生することは絶望的な状況である。
では、何故そのような状況になったのか?
「団塊Jr.」の世代が子供を産んでいないのでは無いか?
乱暴に言ってしまえば、その通りである。
正確に言えば、「団塊Jr.」の世代は、「子供を産むことが出来なかった」のである。
かく言う私も昭和48年生まれであり、実は「団塊Jr.」である。
そして、私達「団塊Jr.」の世代は、平成という時代に翻弄された世代、と言っても過言では無いのである。
バブルが崩壊する1991年までの間、戦後の日本は経済成長を続け、ついには世界で一番の経済大国になった。
しかし、バブル崩壊後、日本経済は衰退の一途を辿った。
そして、ついに当時中間管理職であった「団塊の世代」を対象にした「リストラ」が始まったのである。
バブルが崩壊した1991年という時代は、私達「団塊Jr.」の世代は、高校生か高校を卒業したばかりの頃であり、その殆どはまだ就職していない頃であった。
そして、その数年後には、日本人がそれまで経験したことの無かった「就職氷河期」が始まったのである。
私達「団塊Jr.」の世代は、高卒も大卒も全く就職出来ない時代になってしまったのである。
たとえ東大や京大などの一流大学を卒業していても、要領が悪ければ就職出来ない時代になってしまったのだ。
一生懸命勉強をして、良い大学に行って、良い会社に入れば、一生安定した生活を送れる、と言われ続け、激しい受験勉強をくぐり抜けて来た「団塊Jr.」は、その常識を根底から覆されてしまったのである。
同世代の人口が多く、非常に厳しい受験戦争を勝ち抜いても、結果的に就職することが出来なかったのである。
「団塊Jr.」を直撃した就職氷河期は、「団塊Jr.」の安定した未来を奪い去ってしまったのだ。
そして、その時代の変化について行けなかった者達は、その後、暗黒の時代へと突入することになる。
これが所謂、「ロスト・ジェネレーション」、つまり「失われた世代」と呼ばれる世代が、日本にも誕生することになったきっかけである。
つまり、「団塊Jr.」は、「ロスト・ジェネレーション」でもあるのだ。
「ロスト・ジェネレーション」となった「団塊Jr.」は、職を求めて「アルバイト」を探したり、「派遣会社」で職を待つ状況に陥ってしまったのである。
明日が見えない状況の中、就職出来なかった「団塊Jr.」達は徐々に生活が苦しくなって行く。
そして、職が見つからず、お金に困窮した当時20代の若者であった「団塊Jr.」達は、お金を「消費者金融」で高い金利で借りることになる。
この当時、「消費者金融」の業界が活気づいていたのはそのためである。
この時、「団塊Jr.」の借金のための担保は「親の財産」、つまりバブルを経験した「団塊の世代」の土地や預金や「リストラ」された時の退職金が、借金の返済に充てられることになった。
「団塊Jr.」の20代は、戦後の日本経済が根底から覆った、時代の犠牲になった年代だったのだ。
とても「団塊Jr.」が結婚出来るような時代では無かったのだ。
「団塊Jr.」が30代になる頃、2002年頃から、緩やかな景気回復の兆しが始まり、正社員になれなかった「団塊Jr.」達は派遣会社に就職し、派遣社員として製造業などで安い賃金で働くことになる。
しかし、2008年、「リーマンショック」による世界的な不況が、派遣会社で働いていた30代半ばで働き盛りの「団塊Jr.」達を襲うことになる。
さらに、製造業を中心として、派遣労働者を直接雇用することを迫られる「2009年問題」も控えていたため、大規模な派遣契約の打ち切りが発生してしまった。
この大規模な派遣契約の打ち切りと、それに伴う派遣業者による労働者解雇・雇い止めにより、「団塊Jr.」達はまた職を失ってしまったのだ。
所謂、「派遣切り」である。
そして、アルバイト等も若い人材を求めていたため、「団塊Jr.」達は完全に職を失うことになる。
職を失った「団塊Jr.」達は、結婚資金を貯めることも出来ず、僅かな預金や退職金を切り崩しながら、生活をすることになる。
ところが、2010年、グレーゾーン金利の見直しが行われ、消費者金融でお金を借りていた「団塊Jr.」達は、消費者金融に対して払い過ぎた利息の返還訴訟を始める。
僅かではあるが、まとまったお金を得る事が出来たのだ。
それは、弁護士や司法書士にとって非常に大きな収入源となり、今でも払い過ぎた利息の返還訴訟は続いている。
「団塊Jr.」の30代は、世界経済や政治に振り回された、社会の犠牲になった年代だったのだ。
30代になり結婚を考え始めた「団塊Jr.」は、結婚をしたくても、今を生きるので精一杯の生活をしていたのだ。
「団塊Jr.」が40代になる頃、定年延長した「団塊の世代」が大量に退職する時期を迎えた。
「2012年問題」である。
これと、その前年に発生した「東日本大震災」により、未曾有の人手不足が発生する。
また、安倍政権の発足による「アベノミクス」も追い風となり、徐々に景気が回復する。
「失われた20年」の終焉である。
これにより、職を失っていた「団塊Jr.」が何らかの職を得ることになる。
しかし、「団塊Jr.」も既に40代。
本来、様々なスキルを身に付けているはずの年代にも関わらず、それまでの不遇な人生により技術やスキルも無いため、給料の安い単純作業を強いられることになる。
そして、それは現在も続いている。
最近、コンビニやドラッグストアやファミレス等で、40代の男性を見かける機会が増えていないだろうか?
彼らの多くは、「失われた20年」を必死に生き抜いた「団塊Jr.」達なのである。
就職出来なかった「団塊Jr.」達も既に40代半ばであり、未だに自分一人が生きるのに精一杯である。
結婚をしたかったが、そのような状況に恵まれなかったのだ。
「団塊Jr.」の女性も、それまで同世代の男性に恵まれず、結婚することが出来なかったのだ。
40代半ばを過ぎると、妊娠は困難になる。
今から対策をしたところで、「団塊Jr.」の子供は増えないだろう。
早い段階で、「団塊Jr.」達への雇用対策や、結婚や出産への補助の拡充がされて来なかったことが、今となってはとても悔やまれる。
「団塊Jr.」達は、これから後期高齢者になる途方もなく膨大な人数の「団塊の世代」を支えるので精一杯だろう。
所謂、2025年問題だ。
そして、このまま更に少子化が進めば、「団塊Jr.」達が高齢者になる頃には、今の若者達が膨大な人数の「団塊Jr.」達を支えることは不可能だろう。
この時代は、多くの「団塊Jr.」達にとって不遇の時代だった。
そして、それは最期まで続くだろう。
これから20~30年もすれば、膨大な人数の「孤独」な「団塊Jr.」達が社会に溢れるのだ。
人手不足の今の時代、今の若者達がキチンとした生活基盤を築き、子供を産まなければ、彼らも私達「団塊Jr.」の二の舞になってしまうだろう。
私達「団塊Jr.」は、今までの不遇を振り返り、若者達が安心して子供を産み育て暮らせる社会基盤を築き、私達のような不遇を防がなければならない。
「団塊の世代」は「逃げ切り世代」とも言われる。
私達「団塊Jr.」は逃げ切ることは出来ない。
極端な少子高齢化という現実から逃げ出すことは出来ないのだ。
私達「団塊Jr.」はもう何も出来ないかもしれない。
しかし、少しでもマシな老後を目指すためには、若者達のために足掻き続ける必要がある。
考えろ!
動け!
働け!
私達「団塊Jr.」には、もうそれほど社会で活躍出来る時間は残されていないのだから・・・。
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