恵方巻き、美味しいね
私が子どもの頃の話。
妹は2歳だったかな?3歳だったかな?4歳か?
とにかく、小さくて、ツインテールをしても心許ない束にしかならない髪の薄さをしていた時の話。
我が家では毎年節分だけは忘れずにしている。
大層なイベントとしてというよりも、献立が納豆巻きでフィックスしてる日として。
書いた通り、うちの恵方巻きは納豆巻き。
ご飯も納豆も大好きだから太い長ーーーいのを、各自で作る。
それを、恵方を向いて黙って食べるのが節分。
「ご利益受けるには一言も喋らずに食べ切らなあかんねんで。」
ザ・真面目な幼少期の私は、言われたことは絶対。何がなんでも守る。
欲張って大きく作りすぎた納豆巻きを、黙ってもぐもぐもぐもぐ一生懸命食べてる時だった。
髪のうっすい妹が、
恵方巻きの尻尾から納豆とその糸をびよんびよん垂らしながら(しれっと大惨事)
「おいしいねぇ☺️☺️☺️☺️☺️」
満面の笑みで、幸せそうに話しかけてきた。
たぶん、喋っちゃいけないことはわかってるはずだったけど、
美味しいと思う気持ちが勝ってしまったんだろう。
まじめに黙って食べ切ることに集中してた私は、このあまりにピュアでストレートな失敗に思わず笑い声をあげてしまった。
つられて母も笑い、
さっきまでの張り詰めた静かな空間が、一気に色付いて、あったかい幸せな時間が戻ってきた。
とにかく笑った思い出なので、節分のたびにこのことを思い出す。
ご利益なんてちょっとくらい逃してしまってもいいじゃない。
美味しいものは美味しく、味わって食べよう。
この幸せを、一緒に食べている人と分かち合おう。
こんなことを思うようになったのは大人になってからだけど、
いつからか、私にとって節分は、幸せをかみしめながら、それを逃さないように黙って食べる日、になっている。
ちなみに、これで笑いを取ったことに味をしめた妹は、次の年からわざと「ママ!美味しいねぇ😏」「これ美味しいねぇ😇😇😇」と話しかけるようになりました。
(そして真面目で遊びのない私は、うるさい!静かにして!!!黙って食べて!!!と心の中で怒る、というのが2年くらい続きました)
(追記)
あれから約20年。
今年も家族で納豆巻きを食べました。
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