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10年以上前に付き合っていた人に年一度報告会をする不思議な関係。


年末になると会う人がいる。
10年以上前に半年ほど付き合ったことのある人だ。
ざっくり言うとそういうことになる。

なんていうか、
もうそういう関係では全くない。

尊敬している。応援もしている。
私のことも尊敬してくれている。


その後のことをお互いに報告会をする。
いろんな気付きの話をする。

その人は本当にすごい。
人間力、仕事の結果を出すところ、人望の厚さ。
もう手の届かないところに行ってしまった感がある。好きとかではなく、遠い存在。

付き合っていた時、
私からさようならをした。

『私がいなくても生きていけると思うから』

という、なんとも凄まじい台詞を私はその人に吐いて別れた。最低だ。
だけど、その時は本当にそう思ったのだから仕方ない。そう思うしか進めない。

何でもできてしまうその人は
スケジュール管理をしっかりしていて
早朝はマラソン、革靴をピカピカに磨き、
本をたくさん読み、ホームパーティーもよくしていた。ご飯も作ってくれた。

ふと、
私の必要とされるところなんて何にもないな。と思ってしまったのだ。
それに、私はその時大きな会社で勤めていて
ぐるぐると身動きが取れない時だった。
辞めたい。だけどやめられない。
寂しくて癒されたかった。

その人は、どんどん先に行ってしまうようで
私の知らないところへ行ってしまうようだった。

この時のその人の気持ちが、今ならわかる。
無我夢中で働かなければならない時期がある。
その時は、私は同じステージにいなかったから
その彼の気持ちはわからなかった。
寂しいだけだった。

無我夢中の時期の人には
寂しいという彼氏彼女の気持ちは
伝わらないかもしれない。
伝わっていたとしても、
無我夢中に必死に、
せねばならない時期が
あるのかもしれない。

一緒にいる人にとっては
合わない、って思ったり
寂しいって思ったり
必要とされていないと思ったり
自分なんていなくても大丈夫なんだな、
なんて思っちゃったりする。
それが一つの分岐点になったりする。

転職したばかりでその人は
無我夢中だったと言う。
別れた後も2年くらいは仕事に慣れるまでに
余裕などなかったと言っていた。
毎朝5時には起き、6時から仕事をしていた。


本当は、決して一人でなんでもできて
生きていけるような人ではなかったはずなんだ。
そんな時に別れてしまってごめんなさい。
そう伝えた。

うん。そんな風に思ってくれてたんだね。
そういうことだったんだね。
落ち着いて腑に落ちたように聞いてくれていた。

その人にトラウマを持たせてしまっていたのではないかと考えて考えて伝えた。
伝えるべきかも考えた。
今更なんだけれども
本当にあなたのせいではなかった、と。


今ならわかる。
人は必死になっている時に
次のステップを2段も3段も
足を上げて跳ね上がろうとする。

私は待って。待って!って思ったり
道が違う。合わない道だ。と思ったりしていた。

寂しかった。
だから依存して欲しかったのだと思う。
私の中身に自信がなかったから。


これって。
ついこの夏の
私と元カレではなかったのだろうか。

その当時のその人が今の私になり、
その当時の私が今の元カレだったのでは。
これは都合の良い置き換えだろうか。

夏に過ごした《夏のせい》の
元カレは寂しかったから
そばにいてくれる人が欲しかった。
その時、後で知ることになる
もう別れようとしている彼女がいたから
私のことを好きではなく、
それだけだったのでは。

冷静にそんなことを思った。

もう好きじゃないです。
合わないと思います。

そう言った元カレの言葉。

考えていることに共感できたことがたくさんあるけれど、今進むべきことやするべきこと、せねばならないことが私には山ほどあった。

元カレは寂しいだけだったから
いくらでも次に探せるのだと思った。

大晦日に急に会うことになり
会ってみて改めて感じた。
そこになんの感情も湧かなかった。

彼の言葉全てを信じることは難しかったけれど、
急に投げ捨てるように放った言葉は
本心だったのかもしれないな。

時が経てば元カレの弱さも
自分の弱さも
全てお互いの弱さだということがわかってきた。

補うことをしなかった。
育むことができなかった。

ただ今はもう、それだけでいいんだな。
それ以上考える必要はなくなった。

もう、お互いを許そう。

別れて少し経ったあの時、そう言えてよかった。
私は私をあの時に許せたと思う。

だから、そこからどんなに痩せて泣いて憎んで
好きと嫌いを繰り返し、元カレ発作が起きても

これで良いんだ。今はこれでいい。

そう自分を許して認めてあげられたから
今の自分がいるのかもしれない。

もう相手がどうとかじゃなくて
自分との戦いだったんだな。

たくさん話を聞いてもらえて
たくさん書いて恥ずかしい自分を曝け出すことで
私は空っぽになり、目覚めていける。

私にとって、すごい発見だった。
私は新しい自分になったと思った。

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