東京、埼玉、茨城でエジプト料理🇪🇬コシャリを知るための10皿
先日、エジプト料理スフィンクスでコシャリのピラミッド盛りというのをやってもらいました。
どーん!これで6人前だそうです。今回、友人の誕生パーティーで、この山盛りな料理を食べたことをキッカケに、コシャリを突き詰めてみたいと思う気持ちが込み上がってきました。
さらに食べ歩き仲間のなむるるさんが、Xで色々とコシャリを語るのを見て、私も色々食べてみたくなってしまったのです!ちなみに、このなむるるさんがポストした店は7皿目で書いています。
というわけで、まずはコシャリの基礎知識。
コシャリとは、エジプトで有名なストリートフードで、お米のご飯にマカロニやスパゲッティなどのパスタ、ヒヨコ豆、レンズ豆などをミックスし、揚げた玉ねぎをふりかけ、トマトソースで味付けをする料理です。これに「ダッア」という酢とニンニクのソースや「シャッタ」という辛味ソースなどをかけて、味変したりして食べるようです。米やパスタという日本人の好きな要素や、複雑なスパイスを使わないシンプルな味付け、さらにB級グルメ的なミックス感など、日本人の好きな要素が詰まっている料理な気がします。
コシャリを日本語で調べると、まずピクシブ百科事典に掲載されている記事が出てきたのにびっくりしました!
「遊戯王」に出てくるマリク・イシュタールの好物がコシャリらしいので、その影響ですでに日本でも熱狂的なファンもいるの?
で、面白いのが、この料理の発祥の歴史です。大きく分けると2つの説があるようで。1つは、ピクシブにある通り第一次世界大戦時にイタリアやインドの影響で誕生しというもの。料理の名前も、インドの「キチュリ」から来ているというものです。
しかし、この「キチュリ」から派生したと言われる「コシャリ」という名前が、さらに古い文献にもあるため、もう1つの説があります。
それは、中東で13世紀頃からある「ムジャッダラ」という料理が変化したものではないかというものです。中東には、米とレンズマメを炊き込んだものに、甘く炒めた玉ねぎをのせて食べるこの「ムジャッダラ」という料理があります。確かに要素的には、似ているのでこの説もなるほどと思ってしまいました。
この料理は、13世紀にすでに書物に掲載されていた料理だそうなので、より歴史を感じたい人はこちらの説を取っているようです。
他にも、14世紀にかの有名な旅行家イブン・バットゥータがインドで「コシャリ」という記述を使っていたり、1853 年に探検家リチャード・バートンが著書「エジプトとヒジャズへの旅」の中で、スエズの人々の朝食としてコシャリについて書いているなど、色々コシャリに関わる文献はあるようです。
とはいえマカロニやトマトソースなど、明らかに近年に混ざったであろう要素があるので、現在のコシャリは近代に誕生したのでしょう。
私は、中東各国をよく旅行しているんですがエジプトは未訪。なので、初めて食べたコシャリは、まだ浅草にエジプト人のモーメンさんという方が「キメト」という店をやっていた2010年のこと。その時の様子が、今もその頃に私が書いたブログ(上のリンク)に残っているので是非一読を!現在この店は、オーナーも代わり有名なシーシャ屋さんになっています。
なので、私のベーシックコシャリは、この時のモーメンさんの味付けなのです。それはそれはとても美味しかったのです!
今回10店舗まわりましたが、どの店も個性があって楽しめましたが、このモーメンさんのものと比べどう感じたのか?そんな私のコシャリ10皿体験記となります。それでは、エジプトを代表するコシャリの10皿をどうぞ!
①スフィンクス(飯田橋)
ここは、元々東京都清瀬市の秋津にあった店の方が、仲間と一緒に大幅にグレードアップして作った店です。店内には、エジプトの装飾がいくつも施され、エジプトのテーマパークのような雰囲気を作りあげています。
そして、店の見た目だけでなく、シェフが秋津で培った腕を存分にふるい、様々な魅力的なエジプト料理を提供しています。
秋津の店は、数回行ったことがあり上記のフムスの回でもお世話になりました。メニューが豊富なのも店の特徴で、そのシェフが腕を振るうので様々な料理をここでは楽しめます。平日ランチには、なんと1500円でビュッフェをやっており、食べきれないほどの種類の料理が並びます。
見たことのないような十数種類の中東料理があり、様々なシチュー系の料理が充実しています。全部制覇するのは、ちょっと量が多くなりすぎて難しいくらいです。
メニューは、毎日違った料理を提供していますが、コシャリは毎回あるとのこと。マリナラソースのパスタみたいな見た目で提供されていました。
これでも、ビュッフェの半分の料理を制覇したのみ。今回は、コシャリを食べるのが使命なので、皿に3分の1ほど盛りました。右下の部分がそれで大きなマカロニが見てとれます。
よく見るとマカロニ以外にも、スパゲッティのようなパスタが入っています。豆は少なめで、米がそれなりに多いです。トマトソースはすでにかかっており、味付けされています。かなり優しい味わいです。
ビュッフェなので、サラダコーナーにあるガーリックソースをかけたり、他のトマト系でないカレーや煮込みを混ぜて食べるとアクセントや味変になって面白いなと思いました。というのも、大体このあと訪れる店は、食べる直前にトマトソースをかけるので、その辺りのフレッシュさは、ビュッフェでは味わえません。ちなみに夜に来て単品を頼むと…
こんな感じです。味は、大勢で食べたこの後に出てくるピラミッドコシャリと同じだとなむるるさんは、言っていました。そしてその6人前のピラミッドコシャリの写真が、以下となります。
まずは、トマトソース無しで出てきます。
テーブルでかけてくれるので、トマトソースはフレッシュです。
出来上がり!味付けは、当然ビュッフェと同じではありますが、やはりトマトソースが出来立てなので、夜に単品やピラミッド風で食べる方が美味しいと思います。あっさりサラサラで食べられるので、あっという間に食べ切りました。
ピラミッドスタイルは、何人前かを予めお願いすれば作ってくれます。店内の装飾は見ていて楽しいし、大勢を収容出来るレストランなので、パーティースペースとしても使えます。そこでこのピラミッドコシャリを注文すれば、盛り上がること間違いなしです!
②アブイサーム(神楽坂)
noteを書く上で、でいつもお世話になっている店「アブイサーム」。
過去には、フムス(8皿目)やバクラヴァ(6皿目)、マクルーバ(4皿目)の記事を書くに当たって食べさせていただきました。店では、アラブの料理をできる限りお手軽に提供したいというオーナーシェフのポリシーがあるので、本当にお手軽にアラブ料理を食べられます。
なので、コシャリの値段も650円!!この時代にあまりにも良心的すぎる!店主のお勧めもあって、チキン入りにしましたが、それでも850円です。
で、肝心の味も一級品です!一緒に食べ歩く友人でエジプトに住んでいた人がいるのですが、ここが一番エジプトで食べてたものに近いと太鼓判。確かにこの店のものは、ご飯、豆、パスタ、マカロニのバランスも良い上、味の整い方も綺麗に仕上がっている印象です。
ちなみに、ここでは辛さをキッチンで調整してくれる時もあれば、チリペッパーが出てくる時もありました。
また、この店が食べ歩き2軒目ということもあり、ついオーナーからチキン乗せ(ケバブ乗せ)をお勧めされたので、そちらを注文してしまいました。なので、本来の味わいではなくケバブソースもかかっています。
都心にありながらもコスパが良く、王道に近いコシャリが食べられる貴重な店なので、今後とも食べに行き続けると思います。
③エジプトレストランカイロ(西八王子)
さて、今回コシャリの10皿をやろうと思ったきっかけが、エジプト料理店が八王子市内に2軒もあり、しかもコシャリも提供していると分かったからです。ネット情報で調べたところ、こちらの店の外観が、中々味わい深いので行きたくなってしまったのです。この店が、10皿を書く後押しになったのは間違いありません。
お店は、エジプト人のご夫婦が経営。予め予約すれば色々なエジプト・アラブ料理も作ってくれるそうです。野菜などは、近隣の農家から購入したものを使って新鮮なのが売りなのだとか。
この日は3人で行ったので、まずエジプト料理らしい前菜を注文。こんな感じのエジプトサラダには、パクチーが入っていて中々素敵なアクセントで美味しかったです。
フムスとフール。どちらも、中々良いお味でした。特にフールは、エジプトでポピュラーな料理ということもあり、かなり良い感じの味わいです。コシャリの期待が高まります。そして…
出ました!コシャリ!…これは、なんか…チキンケバブ丼のような見た目。これで2人前とのこと。
混ぜればコシャリになるかな…おお、掘るとマカロニや豆が出てきました!
ご飯がとても多いのが分かります。そして、かけてあるソースが所謂ケバブにかけるソース。辛味の追加をお願いすると、ケバブの辛味ソースが追加されます。これは、なかなかB級グルメ感が激しい!
しかし、豆もマカロニ(大きなペンネだったが)も入り、しっかりコシャリはしていました。日本では、すでにケバブ丼が定着しているので、日本のB級グルメとエジプトのB級グルメとの融合という意味で、活気的なコシャリかもしれません。これはこれで全然美味しいので!
ただ、本来の現地っぽいコシャリを食べたいと思ってくると、ちょっと変化球的な食べ物ではあります。ケバブソースがかかり、ご飯多めなので、もったり重いのでお腹の満足度のかなり高い料理です。
④ナイレックスケバブ(八王子)
続いて、同じ八王子市の中心部にあり、これまたエジプト人の方が経営している店です。八王子には、エジプト人が多いのかと聞いてみましたが、そんなことはないらしいです。たまたま、2軒あったということのよう。ちなみに先ほどの店とこの店は、かなりの距離があります。
こちらは、いかにも屋台という感じの狭い店で、普通ならケバブだけ販売していれば良いのではという感じなのですが、あえてコシャリも提供しているのです。「エジプト料理の店だぞ!」という心意気を感じました。
こちらが、そのコシャリ!冒頭にも書きましたが私のコシャリ原点は、浅草のモーメンさんのものがデフォルト。この店構えとこのコシャリは、まさしくその原点に近いものでした。
その味わいも、まさにその時食べたコシャリの思い出に近いもの。あっさりした上品なトマトソースに、王道な形の小さなマカロニ、エジプト定番のシャーレイヤ(バーミセリ)入りご飯、オニオンもしっかりで、豆の量もひよこ豆とレンズ豆も適量で、どの食材も満遍なく楽しめる感じなのです。かなり気に入りました。
しかし問題は、これまでの3店で一度もちゃんと出て来ていないシャッタ(辛味ソース)とダッア(酢とニンニクソース)です。あっさり食べられて、美味しいことは美味しいのですが、あっさり過ぎて途中で飽きてしまうのです。やはりB級グルメらしく味変の2つのソースが欲しい!
で、辛味の方は、店の奥で追加味付けしてくれました。ここの辛味ソースは、結構辛めなので、ほどほどと言った方が良いかも。
しかし、せっかくここまで美味しいのだから、シャッタとダッアをデフォルトで用意していれば「最高のコシャリだったのでは!」と、とても惜しいなと思ってしまいました。
ちなみに、エジプトならではのそら豆のコロッケ「ファラフェル(ターメイア)」も注文。サンドイッチにしないで、ファラフェルだけを頼んだら、たこ焼きのような見た目になって出て来ました。辛味ソースとケバブにかけるソースがかかっていて、なんとも可愛らしい。
見た目、完全に日本の屋台料理のようですが、味わいはしっかりエジプト・アラブな味わいで、こちらもとても美味しかったです。この店が、駅近にある八王子市民は、とても羨ましいです。
⑤Arabian Restaurant & Cafe Bar Oasis(千駄ヶ谷)
さて、ここで先ほどからちょいちょい出ている「シャッタ」と「ダッア」がちゃんと出てくる店の登場です。それもそのはず!ここは、あの錦糸町にある知る人ぞ知る日本を代表するコシャリの店「コシャリ屋コーピー」(いよいよ次の6皿目で紹介!)の系列店なのです。2023年10月にオープンしたばかりの店です。
そして、千駄ヶ谷・国立競技場という場所柄、「身体の美と健康にこだわり、美味しく楽しくお洒落な気分を味わえる」というコンセプトがHPに書かれていました。
店頭にエジプトとサウジアラビアの国旗が飾ってあることからも分かるように、アラブ各国の料理も楽しめます。また、ハラルやベジタリアンにも対応したメニューとなっています。
色々な料理があるので目移りしましたが、今回は一人で訪問してしまったので、コシャリ一択です!ランチで大盛り無料にしました!
見てください!ついにデフォルトで「シャッタ」と「ダッア」の登場です!ただ「シャッタ」は、ちょっと濃い目の辛いソースで、「ダッア」はニンニク感はあまり感じませんでした。それでも、この2つのソースを使って食べることが出来るのは、嬉しい限り。欲を言えば、もう少し多めにあったら良かったなあ。
見た目も流石に王道な感じのコシャリです。では、いただいてみましょう!
さすがのバランスの良さ!まず、ご飯がもったりしていないので食べやすい。レンズ豆の味わいもしっかり楽しめます。ただマカロニは、他の店に比べて少なめでした。写真でも分かるようにマカロニが切られて入っています。そのため、マカロニの食感は少な目です。
あと、この店の特徴として、トマトソースの味つけが濃い目な気がしました。と言ってもコシャリならではのあっさり感はあるので、とてもバランスがとれています。なので、シャッタやダッアがなくても飽きずに満足出来る味わいでした。
値段も、ランチでミニサラダ・スープ付き/大盛り無料/コーラ付きで800円と格安なので、かなりお得感があるかと思います。
あまりにお得だったので、エジプトのデザート「オムアリ」も注文。以前、じょいっこさんが大好きと言っていたので、食べてみたくなりました。
記事を読むと、私も一緒に行った秋津時代のスフィンクスで食べてたんですね。なので、これ見て思い出しました。
パイ生地をオーブンで焼いたものの間にナッツや干しブドウなどを入れて、ミルクや生クリームを入れてオーブンで焼くものなんですが、以前スフィンクスで食べたものはグラタン感が強かったです。こっちの方は、オーブンで焼いたパイに近い感じ。手間がかかっているだけあって美味い!
ただパイ生地しっかりでミルキーな味わいは、結構なガッツリ感!コシャリ大盛りのあとには、ちょっと重いかも…腹パンになりました。
⑥コシャリ屋コーピー 錦糸町店(錦糸町)
さて!今回のこの10皿をやる上で絶対にかかしてはいけない店、それがこの錦糸町の名店「コシャリ屋コーピー」です。
その存在は、出来た当初から知ってはいたものの、私はなんと初訪問。というのもこの界隈には、海外からの移民の方の魅力的な店がいくつもあるので、ついついルーマニア、ロシア、ベンガル、モンゴルなど、別の店に足が向いてしまっていたのです。
で、店は雑居ビルの2階になります。3階も系列のシーシャ屋さんのようです。HPに行くと、先ほどのOasisやこのシーシャ屋さんのリンクが貼ってありました。
ちなみに店の中では、コシャリ屋コーピーのテーマソングのようなものが常に流れているので、気分はめっちゃコシャリになります。(笑)
何はともあれ、まずはベーシックなコシャリを注文!こんな感じで、トマトソースは別皿で出て来ます。かけて混ぜてから食べてくださいとのこと。
混ぜました!すると他の店では、あまり見慣れない黒い麺状のものが入っているのに気づきました。これは、揚げたシャーレイヤ(バーミセリ)かと思われ食感がプラスされて良い感じになっています。あと、Oasisで入っていた切ったマカロニと普通のマカロニの2種が入っています。もちろんパスタや豆など、コシャリに必要なものが存分に混ぜ合わさっています。何か具材に対するこだわりを感じて、ワクワクしながらいただきました。
コシャリの味はというと、あっさり目なトマトソースで、すべてのバランスが綺麗におさまっています。先ほどの具材が色々あることで、食感がまた素敵です。そして、あっさり味なので…
味変です!ちゃんと「シャッタ」も「ダッア」もテーブルやカウンターに置いてあります。「好きなだけかけて!」と言わんぱかりです。やはり、味変があった方が良いです。
シャッタも、他ではケバブソースだったり、東南アジア系の辛味ソースだったりしましたが、この店のはサラっとした感じの辛味ソースで、それも好印象です。ダッアは、ほとんど酢だなと思ったら、この写真見ると下の方に何かが沈殿しています。これ多分ニンニクですよね!ちゃんと振ってからかけるべきだったとめちゃ後悔しました。
で、味変も出来て、かなりの満足度だったので…
2皿目行ってしまいました!卵とチーズ入りになります。店の1番人気というのが気になってしょうがなかったのと、他の店ではない創作系の味がどんなものか食べてみたかったのです。
基本のコシャリにとろけたチーズが結構しっかり絡みつき、上には温玉がボンと乗っかってます。B級感がガッツリ増しています。
トマトソースをかけて、混ぜます!
ジャンク感マシマシな見た目に変わりました。(笑)卵とチーズが混ざった米とパスタ、美味しいに決まっています。ただ温玉とチーズという日本っぽい強い旨みが足されてしまうので、エジプトから日本にかなり引き寄せられた味に変わってしまったかなと思いました。コシャリとしては、ベーシックの味わいの方が好きです。
しかし2杯目には、堪える重さです!ただ、ここでダッアが大活躍!かなりな味変となり、控えめな重さになりました。食べていて日本からふたたびエジプトへ帰っていく感じがしました。
コシャリ屋というだけあって、コシャリだけでかなりの種類のメニューがあります。で、メニューを見るとなんとここでもピラミッドコシャリが!しかも写真を見ると値段もお手頃で予約が必要ない!ということで、友人1人と再訪しました。
どーん!
いやあ、これで2640円でコーラもついてきて、オニオンとトマトソースはお代わり有りなんですから太っ腹です。2〜3人前くらいの量だと店の方は言ってましたが、今回2人でかなり腹パンになりした。
でも、本当にこの店のコシャリは、スルスル食べられる上、味変完備だし、オニオンとトマトソースまで調整できるので、最後までずうううっと美味しく食べられます。
あと、このサイドについてくる紅生姜(一番左)が素晴らしい仕事をしてくれるのも発見でした。このへんもラーメンみたいなB級感が良きです!
とにかくメニューには、コシャリ以外にもラクダ肉など珍しい料理も豊富で、さらにバーとしても使えます。今後も錦糸町に来たら訪れたいと思いました。ちなみに、さらに大きな超ピラミッドコシャリや、鳩料理などもメニューにはないですが予約いれればやってくれるそうなので、次回是非、それらを頼んでみようと思います。
⑦アヤキッチン(茨城県坂東市)
冒頭でなむるるさんが食べた「メニューにはないけど作れる」店がこちらです。実は、この店を是非アピールしたいというのも、今回この10皿を書いた理由の一つです。
こちらの店、日本のアラブ料理店の中でも珍しく、近隣に住んでいるっぽいレバノン、シリア、エジプト、イラクのアラブ人が集まり、普通にアラビア語が飛び交っていたのです。私にとって好きな料理&国の人たちばかり!
現地の人が訪れるだけあり、当然、現地に負けず劣らずの美味しさ!フムスやババガヌッシュなどのメゼは、かなりの本格派なのです。
キッベやサンブーサ、もちろんアラブを代表する料理ファラフェルも提供しています。たまらんです!
他にもメニューには、書いていないベシャメルというエジプト版グラタンのような料理もあったりします。ちなみにメニューには、カプサやマンディといった湾岸地域のアラブ料理の定番から、ハラールのピザなど、色々な料理を楽しむことができます。お酒はないです。
オーナーは、日本語が流暢なエジプト人の方。コシャリは、メニューにはないですが予約すれば確実に作れると説明を受けました。予約なくても大丈夫な時もあるようですが、確実に食べたい方は是非予約してください。
また、店の方の中には、日本語が不自由な方もいますので、そこはなんとか頑張って英語やアラビア語を駆使して予約してみてください!
さて、コシャリです。やはりトマトソースは別途出て来ました。
スフィンクスのピラミッド盛りと同じく、テーブルに置いてから店の人がかけてくれました。
ソースの色合いが鮮やかで、コッテリしてそうですが、意外にアッサリ目な味わいです。錦糸町のコシャリ屋コピーよりやや濃い目かな。
具材のバランスは良いですが、パスタ(スパゲティっぽい)が多めです。マカロニよりも多く入っています。ご飯にはシャーレイヤ(バーミセリ)が入っていて、レンズ豆とひよこ豆もそれなりです。
味わいは、やはり途中で飽きがきました。そして、ここもシャッタとダッアが出てきていない!もうコシャリを食べ慣れてきたので、店の人にシャッタとダッアはないのかと聞いてみました。するとアッサリ…
「あるよ。」
と答えが返ってきました。なぜ最初に出してくれない!
で、出て来たシャッタは、ここではかなりネットリ濃厚で、相当な辛さ。少し入れるだけで十分なもの。チュニジアのハリッサのような感じ。
そしてダッアは、ニンニクがものすごくしっかり効いています!これは、今までなかった味わい。そして、これをかけて食べてみたら…
なんという美味しさ!
正直、ここまで美味しさが変わるとは思ってもみませんでした。ジャンク感が強くなり、ものすごく美味しくなっている!なむるる氏に言わせれば、二郎系のジャンク感に匹敵するとのこと。
確かに、天下一品(私はあまり二郎行かないですが、天一は月一ベースw)で辛子味噌入れるか入れないかでかなり変わる。これは、絶対入れた方がいいやつ!気づくのが遅い!きっと他の店のポテンシャルもすごいのだろう。
しかし、どうもエジプト人の感覚からすると日本人にはニンニクきついから良くないだろうと、出さないようにしていたみたいです。なので日本人にも、コシャリに絶対ダッアを一緒に出してあげてと助言しておきました。
蛇足ですが、この店は、予約すれば5人(もしかしたら4人だったかも)以上でマクルーバも作ってくれます。上記の記事の時には、まだこの店が誕生していなかったので書かれていませんが、この店のマクルーバはかなりレベル高いので機会があれば是非!
同じマクルーバの別アングルもどうぞ!
とにかく、都内とは違った日本では珍しい現地感漂うエジプト(アラブ)料理店なので、私のこれを読んでいる方なら絶対好きになること間違いなし!是非!訪れて店を盛り上げていって欲しいです!
⑧ネフェルティティ西麻布店(六本木)
さて、都内を色々と調べると、なんと六本木にもエジプト料理店がありました。逆にこちらは、かなり老舗なエジプト料理店。かつては、目黒にもありましたが現在は統合されて、この六本木にある西麻布店のみです。
こちらもスフィンクス同様、店内がエジプト仕様になっていて、雰囲気抜群です。で、私、ずっと勘違いしていました!ルクソール(閉業)っていう店が以前、都内に何軒かありました。そこと同じだと思ってました。で、そっちは、エジプト風な料理だったと思います。飲み屋&シーシャの要素が強い店なのかなあと思っていたので、ここもずっと訪れていませんでした。
ネフェルティティは、そんなことはなく、エジプト人の方が運営されている本格的なエジプト料理店のようです。ただお値段は、場所柄それなりにするのと夜のみ営業となります。
見た目も洒落た王道っぽいコシャリが出て来ました。
ちなみに、この店の注文方法は、メニューA(前菜的なもの)とB(メイン料理)というのがあり、その両方から1品づつ注文しないといけないというルールがあります。コシャリは、メニューAにあるので、それと一緒にメインも1品注文する必要があります。
混ぜる前までは、他と同じ感じかなあと思いましたが、ここのコシャリには、ご飯がほとんど入っていませんでした。豆が多めで、オニオンたっぷり、マカロニ多め。味付けもあっさり系。で、そんなコシャリにも関わらず、味も食感もとても良かったです。これには、ちょっと驚きました。
ご飯がなくても、十分イケる料理なのです。意外な発見!ご飯が入ないことでB級感が減り、その分なんか洒落た感じになっているかも。
しかし、ここでもシャッタとダッア問題勃発!
すでにシャッタとダッアは、必須となっていた私は、躊躇なく店の人に「ダッアないの?」と知った風な感じで頼んでみました。すると、店の人がタバスコを奥から持ってきます。
「何?!」
と思った瞬間、怒涛のようにかけてきました!辛いの苦手な人だったら、多分辛すぎ!くらいな勢いでかけてきます。思わず、「あ、そのくらいで!」と止めにかかりました。
アメリカの辛味ソースが容赦なくかかったエジプトB級グルメ…しかし、食べてみると何気にすごく合う!!
それもそのはず!タバスコは、辛味と酢の両方を混ぜたソース。コシャリにかける2つのソースに近いわけです。多くの店が、辛味ソースしか用意していない中、このタバスコのチョイスは中々素晴らしいものがあります。確実に味変が行われ、最後までとても美味しく食べることができました。
ちなみにメニューBからは、値段安めのシシカバブを選びましたが、エイシ(パン)が自動的についてきたので、全体的にそれなりな金額に落ち着いてしまっていました。正直、コースにすれば良かったとすごく後悔です。飲み物やデザートなどもついてくるので、そっちの方が断然お得だと思います。
⑨アジール(荻窪)
さて、ここからが大変でした。いつも10店舗を想定して書き始めているのですが、その想定していた店の情報が古かったり、今はなかったり、まだオープンしていなかったり、と今回想定がかなり甘かったことに、9皿目で気づきました。
なのでこの店は、ネフェルティティを食べた頃に見つけました。でも、おかげでこんな素敵な店に出会えたので、行き当たりばったりも良いものです。
店の看板を見るとGARGERYというビール推しのようです。このビール飲食店に限定して提供されるビールで、注文が入った分だけ樽詰めして直送される特別なビールのようです。
そして看板の上には、コシャリの文字が。この店では週替わりの料理メニューがあり、この日は前日に友人がコシャリのことを聞いてくれたおかげで、このメニューになったようです。
こちらが、そのGARGERYのエステラ(ペールエール)。リュトンというオリジナルグラスで、ガラス製の台座の穴に入れることで成り立つグラス。特別感があって良き!
店長が気さくな方で、私と同年代。昔、1年くらいバックパッカーをやっていたそうで、エジプトはかなり長い間滞在していたそうです。そこで、コシャリを食べていて気に入ったので、この店では週替わりメニューの定番としてコシャリを作っているそうです。
さて、そんな店長のこだわりコシャリが出て参りました。なんと、ここでもタバスコが!そして、この店の特徴として、イギリス系の料理などを提供していることから、ダッアの変わりにイギリスのヴィネガーが登場!?
ちなみに、常設メニューには、イギリス料理の定番コテージパイがあり、これはマジでお勧めですので是非!他にもフィッシュアンドチップスもありますよ。
さて、コシャリのお味の方はというと、王道のあっさり系です。特徴としては、ひよこ豆の主張が強い気がしました。コシャリ屋コーピーに近いかな。
オススメとして出てきたサラダも、アクセントになって良い感じ。インド風のサラダをアレンジしたものだそうです。ピクルス的に食べられます。
この店、一見イギリス贔屓なので、そちらに多く目が行きますが、料理はかなりコスモポリタン。またバーの割には、結構しっかり目な料理が揃っており、味も良いし、店の方が気さくに話しかけてくれたり、旅話しで盛り上がったりして、とても感じの良い店でした。荻窪来たら、また寄りたいと思っています。
⑩エジプトきっちん(埼玉県さいたま市)
最後の店も、どこにするか悩みました。
この店も候補の一つとして、結構前から気にはなっていたのですが、テイクアウトなのであまり調べずにいました。で、最後になって調べるとコシャリの写真もアップされているのです!
エジプトの名前を冠した店の方が、個人的に好印象だったので、ここを10皿目に決めました。思い切って電話すると、コシャリは1週間前に予約が必要で4人前以上で作れるとのこと。もう躊躇している余裕はない!
ということで、その電話の1週間後に行って参りました。とにかく店(というか住宅)の前の通りは狭いので、車で行った場合この路地手前の分かれ道にスペースがあるので、そこに止めて行くと良いです。店の方も、そこ止めて大丈夫とおっしゃってたので。(そこにキッチンカーが止めてある)
家の前には、メニューも置いてあります。あと、私がコシャリを頼んだからか、この日さらに5名分頼めるようになってました。やっぱりパスタや豆とかまとめて作りますよね。
グーグルマップには、店からの情報がアップデートされているようで、この日サイトを見ると、コシャリが出来ると書かれていました。
「出来立てのうちに食べてくださいね!」
と言われたのですが、同じ埼玉県のなむるるさんの家で食べることにしていたまでは良かったのですが、道路が渋滞で3、40分もかかってしまった。。。まあ、でもそこそこ温かいうちに食べられました。
ちなみに、流石に4人でコシャリだけだと寂しいので、おつまみケバブもおかず用に2皿注文。コシャリは一つ1100円になります。
さて、蓋を開けてまず驚いたのは、オニオンの大きさ。おそらく今までのコシャリは、ほとんどオニオンフレークを使っていたかと思うのですが、ここは、店がちゃんと炒めて作ったもののようなのです。なので大きい!カリカリとまではいかないですが、そこがまたなんとも家庭的で良い。
ただ、味はやや濃いめでオイリー。この炒めた油とトマトソースも油が効いてホームメイドのようなので、今までににないくらい全体的にオイリーさを感じました。
ひっくり返して見ると、下の方にあっさりしたパスタやマカロニが。なので、これで混ぜて食べるとオイリーさが丁度良い感じに落ち着きます。逆にこのオイリー感は、コクがあって美味しく飽きずにいただけます。ちなみに、ここもご飯少な目でした。
辛味ソースは、しっかり付いてきました。ただ、これも他ではみなかったオイリーな辛味ソース。ここは、オイルを使うのが得意な店なのかもですね。
それにしても、いわゆるシャッタ(辛味ソース)って店によって全部違うのが普通なのでしょうか?結局10皿以上食べても、日本におけるこのシャッタとダッア問題はよく分かりませんでした。
で、ダッア(ニンニク酢)はなかったので、今回はなむるるさん宅で作ってもらいました!美味しい!やはりダッアをかけた方美味しい!特に濃い目のコシャリは、爽やかさが増して美味しくなること間違いないです。必須にした方が良いと思う今日この頃です。
で、おかずケバブは、普通に美味しいケバブでした。エジプトなのでシャワルマになりますかね。ご馳走様でした!また何かエジプト料理の食べ比べする時あれば注文しに行きたいと思います。
あとがき
さて、10皿食べてみてどうだったか?
正直、3皿目のエジプトレストランカイロと10皿目のエジプトきっちん以外は、そこまで大きな差は感じなかった。で、基本、どこもハズレなしで美味しく食べられるというのが、大まかな感想です。
店によって、食材の多い少ないはあるので、食感は、店によって千差万別ではあると思うが、味付け的には、基本トマトソースのあっさりしたものというのが定番のようですし、味変を考えたらそれが正解だと思います。シャッタとダッアが、もしなければタバスコもありだと、8、9皿目の店は教えてくれました。これは発見でした!
そして、これだけ食べてみて思うのは、やはりダッアをかけて食べた時の感動です。7皿目の味変の美味しさは忘れられません。
しかし、日本は、まだまだコシャリが浸透していないんだなあというのが、今回周ってみた感想です。過去にキッチンカーやスーパーなどでも販売していた時期があったのですが、その旬が今は過ぎたあたりなのかもしれせん。
昔、弁当のコシャリを出していたロピアというスーパーで定員に聞いたところ、また復活するかもとのことでした。その時は、ブームが巻き起こってくれてると嬉しいな。
では、また次回の10皿でお会いしましょう!最後の写真は、モーメンさんのコシャリ弁当です。ちゃんとシャッタとダッア両方ついているのが見てとれますね。
カフェ・バグダッドさんが提案された「世界を知るための10皿」という企画に乗り、様々な国の料理を取り上げていきます。料理を通じて、移民の方々や、聞きなれない国に親しみをもってもらいたいと考えてます。今後はYouTube「世界のエスニックタウン」と連携した企画をアップしていきます。