重症脳梗塞からの回復記8ー外食とチェーン店とお蕎麦
お蕎麦のチェーン店で食べること
お久しぶりのご挨拶
たいへんご無沙汰をいたしました。その間に、たくさんの方々に読んでいただけましたこと、心から御礼申し上げます。
私どもも、発病以来、めでたく?16年目を迎えまして、もはやかつての生活はどこへやら、今の日常がそのまま日常になっております(変な言い方ですが…..実感)。
おかげさまで、あれからも、暑さにもめげず〜、寒さにもめげず〜、コロナにもめげず〜、みたいな感じで、相変わらず出かけられる時は外に行き、ちょこちょこと外食も楽しむ生活が続いております。ありがたいことです。相変わらず体は不自由ではありますが。
気になるお蕎麦のチェーン店
さて、私たちの住んでる街に、おそばの全国チェーン店がオープンしました。夫婦ともども、お蕎麦、大好きです。これは行かなきゃ!と思いながらも、お店の前を通るたびに、あまりの混みようにちょっと気が引けていました。オープンしたての頃は特に人が集まりますけど、美味しくなければ徐々に集まらなくなる、ような気がします。でもこのお店は、いつまでたっても、駐車場は満杯です。
私たちにとっての1番のポイントは、車椅子で入れるのかどうか?です。少しばかりの段差はどうにかなるのですが、お店の中が小上がりだけだったりすると、あぁ残念!と思いながら帰ってくることになるわけです。
というわけで、外食に行く時は、かならず私が中の様子を見て、入れるか入れないか、を判断してから行く、というのが、我が家の慣習となっております。最近は車椅子で入れるお店が増えているので、誠に嬉しい限りです。
偵察を十分にした上で
ということで、先週の土曜日に一人で食べに行きました。入った途端、「OK!」という言葉がでました。椅子が固定されていなくて、テーブルの高さがそれほど高くないので、これだったら、夫も安心して食べることができます。その時にいただいたお蕎麦も美味しかったので、「ぜひ、いこー!」と夫を誘いました
夫も、最近は廊下に出ると蒸し暑いので、階段を降りるのも億劫で、出不精になっていましたが、「美味しいお蕎麦」に釣られて?いそいそと出てきました。ついでに、階段の上り下り、といういつものハードルをこなします。
まさに、「食欲は人生を救う」ですねー、実感。
いざ出動 ー お客さんが手伝ってくれましたー
さてお店につきました。車から出て車椅子に移り、お店のドアを開けようとしたら、帰るお客さんが何人か出て来られました。それに続いて入ろうとした時、ドアが閉まってしまうので、夫の車椅子を押しながらドアを開けようとして一人で四苦八苦していたら、さっき出て行ったお客さんが戻ってきて、さっとドアを開けてくれました! こういうの、本当に嬉しい!
「ありがとうございます!!!」という言葉に、「いえいえ〜」という爽やかな一言を残して、そのお客さんはお帰りになりました。ありがたい。
ということで無事に入れた私たちは、たのしく食券売り場の前で迷いつつ、夫はナスが入った温かいお蕎麦、私は冷たいお蕎麦を頼んで、椅子に座って出来上がるのを待ちます。
混んでる時さえ楽しく感じる
このお店は、「調理中」と「出来上がり」のところに注文した番号が出てくることになっています。なにしろお昼真っ最中なので、すごく混んでいます。私たちの番号はしばらく調理中のところにも出てきませんでした。でも、こうして経緯がわかるので、とくにイライラもしないで待つことができます。世の中便利になったものですね。
それからたぶん40分くらいは待ったような気がします。その間に、どんどんお客さんが入ってくるし、食べ終わった人が出て行きます。すごいな、人がいっぱいだな、と思いながら眺めているうち、ふっと思いました。
「あ、そうか。この活気がいいのかも!」
自分たちも「活気」を作る一人である
夫は短気なので、以前だったら、待たされたらイライラしてたと思います。でも、なにしろ「調理中」の掲示板のおかげで、だんだん自分の注文品ができてきているらしいところがわかります。それに、そうしてたくさんの人が出入りしている活気そのものが、もしかしたらお料理以上に大事なのかもしれません。車椅子に乗っかった夫自身もまた、その活気を作っている一人になります。
「ねぇ、これって、ほんとに社会の一部、って思えるよね。」
「あぁ」
こんな会話をしているうちに、手持ちの番号が呼び出されたので受け取りに行きました。目の前で、ずるっずるっとお蕎麦を食べている夫の姿は、なんともかわいい。日本食の、特にお蕎麦は、音を立てて食べてもいい、というマナーがあって本当よかったなー、って感じ。
メニューのコンプリートが次の目標
そしてお蕎麦はとても美味しかったのです。こういうチェーン店は、安い美味しいし。すっかり味を占めた私たちは、また来ようね、ということにしました。メニュー全部美味しそうなので、コンプリートしなきゃ。
こんな小さな目標でも、時にはがんばって立ちあがろうというきっかけにもなります。発症して16年も経過したら、生きてて楽しいと思うようになりました。食べてばっかりだなと思われることも覚悟の上で、また書いていこうと思います。