木漏れ日は英語で?映画『PERFECT DAYS』で英会話
KOMOREBI: The sunlight that filters through the leaves of the trees.
こもれび。木々の葉のすきまから射す日の光
『Lost in Translation: An Illustrated Compendium of Untranslatable Words』(『翻訳できない世界のことば』(エラ・フランシス・サンダース (著), 前田 まゆみ (翻訳))によれば、日本語の「木漏れ日」という単語は英語にはないとのことです。
カンヌ映画祭で役所広司さんが最優秀男優賞を受賞した映画『PERFECT DAYS』には、この木漏れ日が幾度となく映し出されます。
※映画『PERFECT DAYS』予告編
監督のヴィム・ヴェンダースさん(Wim Wenders)はインタビューで、この木漏れ日が持つ意味を次のように説明しています。
役所さんが演じた主人公の「平山」が、最初に木漏れ日の存在を感じたとする場面です。映画の中には描かれなかったもう一つの物語、ビジネスマンだった平山がトイレ清掃員としての人生を歩みだすきっかけとなった出来事です。
かつて平山は裕福で影響力のあるビジネスマン、いわゆる「成功者」として生きていました。でも、彼はその人生をあまり謳歌していませんでした。満ち足りなさの中で、彼の人生は下り坂になって行きました。
ある朝、平山は悪夢にうなされて、酷い頭痛と共に目覚めます。安っぽくて見苦しいホテルの一室で、なぜ自分がそこにいるのか全く分からない。すると突然、風に揺れる葉っぱ越しに射す陽の光が彼を照らします。そして、壁に映るこの木漏れ日は、彼以外のどの人間にも向けられていないことに気が付きます。
[語註]
realize
気付く、〔~を〕悟る、〔~を〕自覚する、〔~を〕実感する
amazing
驚くほどの、すごい、素晴らしい
unique
ただ一つだけの、他に存在しない、唯一(無二)の
平山は仕事を辞めます。その仕事が自分を幸せにしないことに気がついたからです。自分に必要なのは、陽の光と風に揺れる木を見ることだけでした。それを見ると、しあわせな気持ちになりました。
いつでも木漏れ日が眺められることを約束してくれる仕事、公園のトイレ清掃員となります。平山は光と木々を愛でるだけの簡素な生活を始めるようになります。
映画『PERFECT DAYS』を観て、それまでは気にも留めなかった当たり前のような些細なでき事が、実は当たり前のことではなく、いくつもの奇跡が重なってそこにあるのだということを、あらためて思いました。
あなたは最近どんな映画に出逢いましたか?映画の感想をETC英会話のレッスンで先生と語り合ってみてはいかがでしょうか。
(*)参考図書
『Lost in Translation: An Illustrated Compendium of Untranslatable Words』Ella Frances Sanders (著)
『翻訳できない世界のことば』エラ・フランシス・サンダース (著), 前田 まゆみ (翻訳)