君臨するのは、恋。
様々な価値観を持ち合わせる多くの人間の波の中で出会い、
魅かれるようになることは奇跡にも近い。
誰かに魅かれれば、相手の一言が、相手の一瞬の表情が、相手の手から伝わる温度が、その一つ一つが自分の心に刺激を与える。
ワルツのような華やかさ。ノクターンのような憂い。レクイエムのような静かな祈り。
恋はいくつもの顔を持っているのだ。
舞い上がるような春。焦がれるような夏。満たされるような秋。心悲しくなるような冬。
恋に振り回されることに疲れる日もある。
恋に振り回されることに傷付く日もある。
自分のテンポを乱され苦しみたくないと避けるようにしていても、
それでも恋は簡単には消えてはくれない。
もう恋などしないと心に決めていてさえ、突如として強い決意さえも揺るがされるのだ。
ならば、どうするか。
もう一度、もう一度だけ、恋に膝をつくべきなのか。
傷付くかもしれない。打ちひしがれるかもしれない。かき乱されるかもしれない。
それでも、もう一度。
これが抗えず、逃れないものならば、
流れに身を委ね、膝をつくべきなのだろうか。