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【MEBIUS WORLD】「死」を意識するからこそ、「生」が輝く。

【MEBIUS WORLD】
僕は、本と人との出逢いから、メビウスの全てを学んだ。
自分の気持ちが高まる物語(HI-story)、
それを人は歴史と呼ぶ(history)。


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◎「死」を意識するからこそ、「生」が輝く。
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「死を意識するからこそ、生が輝く」とは言うけれど、死を意識することで、死がフォーカスされ、死を怖れすぎてしまう可能性もある。

「大事なのは、どれだけ生きたかではなく、どう生きたかだ」
『天国で君に逢えたら』(飯島夏樹)新潮社


『この原稿、本になるかどうか読んでくれない?』

膨大な手書きの原稿の束を、知り合いから渡された。

内容は、末期ガンの飯島夏樹さんというプロサーファーの方が書いた、ガン病棟を舞台にした小説だった。余命の告知をされてから、「書きたい」という衝動に突き動かされて書いたという、一週間で500枚をも超える膨大な量の文章が書き殴ってあった。

構成も、内容も、相当、粗いものだったけど、何かパワーがあった。

小説など書いたこともないのに、出版の予定などもないのに、2冊目、3冊目もどんどん書き進めていると言う。

「残された子供たちに、売れる本を書いて、少しでも印税を残したい」

彼の心の中には、そんな想いがあったのだろう。

原稿は、切羽詰った彼の「執念」というか「怨念」というか「念」のようなものが詰まった塊だった。内容は、「自分の闘病記」ではなく、「手紙屋」という架空の職業をテーマにした小説。自伝的な話と、希望と笑いが詰まった話が入り混じって綴られていた。

数日で読んで、いろいろアドバイスした。

その後、彼と奥さんに逢った。

「子供が4人いて、好きなハワイで、最後は暮らす」という予定を聞いた。

末期ガンの人からイメージしていた暗さや深刻さはなくて、明るく楽しく、身体に残った沢山の手術の傷も見せてくれた。

実は、死ぬことへの不安から、躁と鬱を繰り返していたと、後から聞いた。

そんな素振りを周りには見せず、彼は作品を書き続けた。

彼の本は、その後、読みやすい形で出版され、ベストセラーになった。

彼のお葬式の話も、家族と親しい人で、大好きなハワイの海に、遺骨を蒔いたという話も、あまり悲壮感は感じなかった。もちろん、無念もあったかもしれない。悔しかったに違いない。
だけど、彼の死の話は、なぜか、清々しかった。

最後の瞬間まで、自分のために、家族のために、
好きなことを貫いていた、彼の「生」は、輝いていたと思う。

■「天国で君に逢えたら」飯島夏樹著

【エッセンシャル出版社・価値創造部】
エッセンシャル出版社の公式部活「価値創造部」。
自分を、人生を、世界を、学び遊びながら探求し、
「次代の物差し」という価値を創造していくプロジェクト集団です。

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