友達は最後に私に何を言いたかったのかな
私には、umi no otoさんという友達がいる。
noteで知り合った友達だ。
とてもいい絵を描く。
umi no otoさんは、去年の夏、9月12日に亡くなってしまった。
がんの闘病の末だった。
私がumi no otoさんを過去形の友達と書かない理由は、今でも、ちょくちょく会っているからだ。心なのか脳なのかわからないけど、とにかくそこらへんで。
元々頻繁に会える距離にいたわけじゃないから、永遠の不在と不在の違いがよくわからない。
会っているうちに、人と会うことに、生きてるも生きてないも関係ない。そんな風に思ってきた。
ただ、心の中のumi no otoさんは、しゃべらない。少しだけ微笑んでいるように見える。
私は彼女に話しかける。
「ねえ、あの時、umi no otoさんは、何て言おうとしたの?」
彼女が亡くなる数日前、ライン電話が鳴った。
すぐに出ると、いつもの声のumi no otoさんだった。
思ったより元気そうだと安心して、私はいつものように長く話せるのかと思って、先にくだらない自分の話をしてしまった。
でも、話せる時間はあまりなかった。本当は全然なかった。
umi no otoさんと話した時間は、3分もなかった気がする。
それからずっと考えてきた。
ねえ、umi no otoさんは、何を伝えたかったの?
何を伝えたくて電話してくれたの?
ちゃんと聞けずに、ごめん
と。
彼女は、医師から、「やりたいことは今やるように」と言われたことがきっかけで、「自分はまだ何もしていない」という気持ちを持っていた。
そして、残された時間を難病の子どもたちや自分のようにがんと闘っている人のために活動をしたいと切望していた。
noteをはじめて笑顔になれたこと。がん・難病の人を笑顔にしたい。がん・難病の人・健常者関係なく、誰かを笑顔にすることで自分も笑顔になれる。
と、言っていた。
以前からnoteで親しくしていたumi no otoさんから、そのためのホームページをつくりたいと聞いて、編集者・ライターの経験がある私が手伝うことになった。umi no otoさんの娘さんやそのご友人とも力を合わせてホームページは完成した。とても喜んでいたな。
そういう縁だった。
もっとちゃんと聞けばよかった。
私は、傾聴を学ぼうと思う。
と、私は、今日、umi no otoさんに話しかける。
「以前から興味はあったし、そうありたいと思いながら、全然できなかったんだ。ちゃんと学んでみたい。
自治体でも傾聴のセミナーをやっていると調べた。
今年の応募は終わってしまったけど、でも、今日までに行動したくて、民間のボランティア団体で傾聴について学べるところに登録したよ」
umi no otoさんはしゃべらない。少しだけ微笑んでいる。
私には、umi no otoさんという友達がいる。
noteで知り合った友達だ。
とても強い人だ。
また、話しかけるよ。
ねえ、何を伝えたかったの?って。