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幻想的すぎる絶景!? 緑に飲み込まれた幻の廃村を探す(東京都・倉沢集落)

心ゆくまで鳩和荘を堪能した我々は、いよいよ幻の廃村「倉沢集落」を目指すことにした。

ネットで拾ったあやふやな情報を頼りに、都道411号線を西にひた走る。30分ほど行くと、右手に「日原森林館」と書かれた看板が見えてきた。

傍らには、「⇦倉沢のヒノキ」と記された看板も設置されている。

この「倉沢のヒノキ」が、廃村を目指すうえでの、当面の目印となる。
Googleマップにも表示されるので、便利なものである。

目印となる看板。これが見えたら車を降りる(以下撮影はすべて/北山)
看板近くに杖が置いてあるので、借りると吉

我々は、少し引き返したところに車を停めさせてもらうと、都道脇から山へと続く細い階段を上りはじめた。

しばらくは獣道のような一本道が続くので、道に迷う心配はない。
途中でベンチも設けられているので、休憩することも可能だ。

ただ、舗装されていない道には大きな石が転がっており、大変歩きにくい。
早くも体力を消耗しつつあった私は、コンビニで買ったおこわを頬張ると、さっと緑茶で流し込んで体力を回復した。

幅の狭い階段が廃村の入り口

30分ほど休まずに歩くと、突如「倉沢のヒノキ」が出現する。

都内最大のヒノキということもあり、天高く枝を広げた姿は壮観である。
我々は一度立ち止まると、小銭を積んで探検の成功を祈願した。

ーー無事に廃村に辿り着きますように。

なお、ヒノキを囲う石垣の上にも道が続いているが、この時我々が選んだのは、石垣の下から奥へと続くルートである。

石垣の上の道がどこに通じているのかは、まったく解らない。

倉沢のヒノキ。地元では「千年の大ヒノキ」とも呼ばれる

倉沢集落を目指すうえでの一番の難所は、この倉沢のヒノキを過ぎたところにある。

急な山の斜面に、ギリギリ大人一人が通れるくらいの細い道が続いている。
手すりも崩れ落ちており、足を踏み外せば大けがをしかねない。靴選びには十分注意して欲しい。

集落の入り口となる道。不安になるが、そのまま進んで良い

難所に時間を取られつつ、倉沢のヒノキから10分ほど歩くと、突如テラス状に開けた空間が現れ、歩いて来た者をはっとさせる。

私は、思わずその場に立ち尽くした。
目を凝らすと、少し先に鍋が転がっているのを見つけた。近くには野営跡のようなものもある。

慌てて走り寄ってみると、鍋はかなり古いものだった。
昨日今日廃棄されたものではないだろう。

「ここが廃村なのかな?」

そう思ったが、だとすれば期待外れだ。
家々の跡などは確認できない。古びた日用品が、いくらか散らばっているだけだ。

少々不安な気持ちになって、後ろにいる部員を振り返ろうとした。

ふと、山の斜面が目に入って、私は思わず言葉を失った。

まるで古代遺跡のような石組みの住居跡が、はるか斜面の上まで続いていたのだ。

息を飲む光景。集落は斜面にへばりつくように形成されていた。まだまだ奥がある

――間違いない。
ここが、倉沢集落である。

はっきりと間取りが分かる住居跡
貯水槽か。水を引くのも一苦労だったに違いない

さわさわと揺れる木々の葉音に、胸が大きく高鳴るのを感じた。
この廃村には、いったいなにが遺されているのだろう。(円)

古代遺跡のような民家の跡。正方形のコンクリ部分は玄関だろう

北山:1994年生まれ。ライター。「文春オンライン」、「幻冬舎plus」などに寄稿。文系院卒。専門は村落史だった。最近は生き物系Youtuberばかりを見ているので、コオロギくらいなら余裕で食べられる気持ちでいる。署名は(円)。

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