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36『投資ロマンス詐欺』に引っかかり、約500万借金した四十路の末路@現在進行形-地獄へ突き進む・Ⅱ-

(承前)

 着実にぼくは地獄へ向けてのトンネルを採掘していた。
 この時の気持ちってどうだったのだろうか。
 ラインでしか知らない人に会えたらいいな、だったような気もするし、休職中ゆえ、少しでも経済的に楽できるなら、楽がしたいな、だったかもしれない。そんな何千万もいらない。年収の半分くらい手元にあればそれでいい、くらいには考えていたかもしれないけれど、それってそんなに壮大な欲だろうか。

 世の中、理不尽だと思う。

 誰かに相談できたらいいのだけど、お金の相談をできる人はかなり少ない、というよりいない。今回は仮想通貨ということもあったし、出会い方も出会い方だし、そもそも誰に話していいのかも判らなかった。しかし話したとして、今の借金まみれ自己破産寸前の結末を変えることはできたかと問われれば、やはり謎である。

 ぼくは夢中で、地獄行きの穴を掘り続けていた。

 結局ぼくはどうしたかというと、使っていないバンクイックのカードの限度額100万円を使うことにした。

 さらに!!

 在籍確認をしていない(しているのかもしれないけれど)、SMBCカードでなんと審査が通ってしまったので、そこで150万工面して、トータル250万を用意した。

 バカである。
 自分の返済能力を超える借金をする人間は、我ながらバカである。
 生きているに値するかと問われれば、ごめんなさい、少し疑問である。

 実はSMBCの審査を申し込むとき、他のカード会社にも審査を申し出ていた。

 理由は機械の向こうにいる彼に唆されたからだ。
 銀行の直接融資でないあたり、なぜかかなり難色を示していたが、カードで借りられるならそれでもいいよ、みたいな感じであった。

 当然、一気に申請をしたので、断られた会社もあった。
 一社、実名を挙げさせていただくと楽天カードローンである。
 ここは先に書いているが、その後の展開としては残念な対応をされたところであるし、その割に抗告書を送ったところ、経緯を知りたいからといわれて、より詳細な資料を求められたりで、今現在、あまりいい印象は抱いていない。

 しかしこの時の対応については、しっかりしていたと思う。
 ただこの時の「しっかりしていた」は当時のぼくの「心境に沿った対応ではなかった」と反意的な意味になってしまうのだが。

「たまぞうさん、在籍確認しましたが、休職されているようですよね。ですので、弊社としては貸せません」といわれた。
 その前の電話では「融資枠は30万円可能です」と言っておきながら、あとで翻意されたので、このときはブチギレかけた。

 しかしいまにして思うと、唯一、まともな対応をした会社ではあった。

 閑話休題。

 12月7日のことである。
 このとき、ぼくはトータル250万円を用意して、そのうちのほとんどの額をイーサリアムの購入に充てた。220万ほどだろうか。少し手元に残していたお金も最終的には吸い取られるが、このとき、本能的にはやばいと考えていたのかもしれない。

 さて、ここでかつて書いたことを思いだしてほしい。
 この詐欺サイトには「イベント」なるものが存在している。
 そう、いくら入金したら、いくらか膨大な利息のごとく、ドルがもらえるというやつだ。(それはもちろん見せかけである。詐欺サイトだもん)

 その後、購入したイーサリアムは悪の手下、「bitforx」に吸いとられしまった。そしてその偽サイトで、偽物の取引をして、それなりの利益を得た。結果、ぼくは累計15000ドルを達成することができた。

 ぼくとしては、正直、ここで降りてもよかった。
 
 というより、降りていたら、その後の二次被害は防げていたのだ。

 実際、半年ほどは生きていけるだけのお金は手に入れられそうだし。

 しかし、スマホの画面の向こうにいる彼は、さらにささやく。
 いまとなっては、それは甘くない、悪魔の囁きである。

「さらに次のイベントを申しこんで、利益を増やしませんか」

 ぼくは百万を超えると、もう全ての数字が同じに思えるようである。
 実際、金銭感覚はどこか麻痺していた。

 なんとかなるかもしれない。
 ……ドキドキしながら、ぼくは次の30000ドルのイベントを申しこんだ。
 およそ450万。ぼくの一年の年収。

 そしてぼくはこのとき、誤って50000ドルのイベントを申しこんでしまった、
 これはあとあと、矛盾が生じてくる揉め事のひとつになるのだが、ぼくはこのとき、「間違えて50000ドルのイベントを予約したからキャンセルして欲しい。イベントは30000ドルだけにして欲しい」と使えないコールセンターに伝えたところ、なんと快諾してもらえたのだ。

 そして、このイベントの申し込みこそが、ほんとうの地獄の始まりだった。
 ここまででも冒険していた心地でいたが、これまでの出来事なんざ、冒険でもなんでもなかった。

 足下には抜け出せない、どろりとしたヘドロのような地獄がどこまでも広がっていた。きっとそんな感じだったが、もちろんその時のぼくはそんなこと、考えてもいなかった。

 ちなみにサポートセンターのアドレスは「gignexx.top」
 ……あれ??
 bitforxはどこにいったの??

 以下、生きてたら続きます。
 生きてたら、お付き合いください。

追記
人生嫌になった。
キャッシュカードまで落とした。
ぼくに死ねということですか、これ。


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