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37『投資ロマンス詐欺』に引っかかり、約500万借金した四十路の末路@現在進行形-地獄へ突き進む・Ⅲ-
このごに及んで、キャッシュカードを紛失した。
なんだか預金まで封鎖された心持ちになっていて、投げやり感が加速度的に増している気がする。弱り目に祟り目とはまさにこのことか。
閑話休題。
それからもスマホの向こう側にいる彼からのお金の無心は続いた。
お金の無心。
本当にこの言葉がいまでも適切だと考えている。
彼は自分の投資の結果を開示してくれたのだが、ぼくには想像もできない額を投資に回していた。だから彼がこちら側の人間なら金銭感覚は麻痺していただろうし、敵側の人間だとするなら、ぼくの200万少しのお金なんて端金以外の何物でもなかったのだろう。
とりあえずぼくがやりとりする中で一番苦慮したのは、クレジットカードの現金化を急かしてくるところである。そして銀行窓口に融資の理由を隠して借りに行けともいわれたことである。
最も休職していたので、行ったところで叶うはずもないが、この二点はほんとうに苦労した。韓国ではクレジットカードの現金化が可能なのかもしれないが、日本では法律違反であるし、法律まで犯すつもりはないと言い切ったのだが、どこまで相手に伝わったのかといわれると、いささか心許ないというのが正直な感想だった。
とりあえずたくさん借りて、投資に回したらいい。
そして返済日になれば、返済に必要な分だけ下ろして回転させていけばいい。
彼はこの二点をとんとんと説いた。
理屈は判る。
判るのだが、金額がぼくの中では大きくなり過ぎていて、もはやついていけないというのが実感ではあった。しかもほとんどが借金。やはり内心はビクビクする気持ちの方が強かった。
とりあえずあっちの消費者金融から、こっちの金融会社から借りてみては?? と提案を受ける。ぼくは実際にいくつか申し込みはしたのだが、すでに借りていることは横つながりで共有されていたからだろう。この点に関しては、いまは感謝した方がいいのかもしれない。
そしてお金のやり取り以外は、普通にやり取りをしつつ、会話をしながら日本語を相手に教えたりしながら、ときは過ぎていった。
彼は福岡から戻ると、すぐにフランスに出張とのことで出掛けていった。
ぼくは何度かフランスの景色の写真を要求はしたものの、それは届くことなく、空港の写真を何枚かもらっただけだった。しかしラインのやりとりについては若干、時差があったので、海外には出掛けていたのだと思う。
こうして、時はクリスマスをまたぎ、12/26。
彼はクレジットカードで買い物するように、暗号資産を買えるという、いままでの提案と異なる考えを出してきた。
さらなる地獄の始まりである。
ここで引き返していたら、まだなんとかなっていたのかもしれないのに、ここでぼくの人生は詰んだと行っても過言ではない。
ここからは少し記憶が朧げだが、最初はメタマスクで購入するようにいわれた。
メタマスクは偽サイトのbitforxと相性がいいからだろう。
ぼくはこの時、本物のメタマスクに本人確認を要求されて、パスポートの写真を撮影し、提出している。ここがいま、一つの懸念事項である。もしこれが偽サイトなら、ぼくのパスポート、偽造されていないかなぁとか。使っていないとはいえ、偽造されるのはやはり気分はよくない。
ところが何かがおかしかったのか、いくら試しても、メタマスクで、クレジットカードを使用して暗号資産イーサリアムを購入することは不可能だった。
きっとこれは、危ない、引き返せという点の啓示だったのだ。
しかしぼくはこの警告を無視してしまった。
どんどん地獄へ突き進むぼく。
いまとなっては、力無く笑うことしかできない。
いや、ほんとうに少し死が近づいたと思う。
すると彼は、別のアプリの使用を提案してきた。
それは「TRUST」というアプリで、ぼくがみた感じは、本物のメタマスクと変わらないような、日本のコインチェックと変わらないようなものだった。使用言語は英語ではあるが、判らなくはないシンプルな作りをしていた。
この「TRUST」はクレジットカードでの仮想通貨購入をサポートしているらしい。
このときのぼくは、もはや麻薬中毒者みたいに、なんとか買わねば買わねばみたいな境地に達していたので、実は持っているカードをいろいろ試してみた。すると、どうやら使えるカードと使えないカードがあるようで、結曲ここで、ぼくは90万円相当のイーサリアムを購入することに成功した。いや、成功したのではなくて、さらな借金を重ねる失敗をした。
そしてそのイーサリアムをどうするのかという話なのだが、このトラストで買ったイーサリアムは、全額、メタマスクへ送金するように指示を受けた。
つまりこの90万は、メタマスクから偽サイトbitforxへと送金する羽目となった。今頃、このお金はどこにあるのだろうか。
書いていて思うけれど、これでスマホの向こうの彼が犯罪者側のグルでなく、被害者でなければ、相当勉強している猛者だと思う。
だんだん経緯を書くのも、終わりに近づいてきている。
あと2回か3回か。
これ完結して、生きていけるのかな。
自信ないです。
いまは書くことで生きながらえている感じです。
生きてたら、また次回。