教育格差とイノベータ⑤
「教育格差に対して支援そのものを不要にする」という改革アプローチに「イノベータ育成」が処方箋のひとつになりえないか の第5回です。
今回は「5章 学びのイノベーション」で掘り下げてみます。
現在の一般的な学校教育では、イノベータが育ちにくいと筆者は主張しています。
いったいなぜなのでしょうか。
高校は大学へはいるための教育を重視、大学では社会で必要とされる論理的思考や批判的思考、文章能力のレベルを上げることが困難であるという話は、どこかで聞いたことのあるようなある意味一般化されている内容ではないでしょうか。
一方で、外部環境の変化に学校教育がついていっていないといった論理展開を筆者はしています。これらは妙に納得感のある新しい話ではないでしょうか。
なんだかおかしな話です。裕福な家庭が十分な教育を受けることができるというのが教育格差の1つであるならば、そもそも一般の学校教育がイノベータを生み出すことにあまり貢献できていない現状では、格差とは何だろうかということになります。
もちろん、そもそも学校教育はイノベータ育成に主眼を置かず、様々な知識を習得するという点では格差というカタチになって現れてくるケースはあると思います。
とすると、学校教育とは距離を置いた教育や経験からイノベータが生まれてくるという経路があるならば、その点では格差はないのかもしれません。
では、相対的に格差が少ない義務教育の中でイノベータが育つような改革はできないものでしょうか。
フィンランドの例は参考にすべき一例かもしれません。
筆者は新旧の学習文化の比較の中でイノベータを育成する教育機関の特徴を以下にまとめています。