大事なのは表現を変えて10回繰り返す!
同じような意味の言葉を繰り返してみる。
その効能は、社会心理学者の実験により立証された。
これは、ある民事裁判における陪審員に対して行なわれた実験で、「被告が無罪である」という証明の説得を調べた。
一度も「繰り返す」を使わない時の証明の説得力を基準にすると、3回のくり返しによって46%、10回のくり返しによって82%も説得力が向上する。
ただし、繰り返すにおいて、やってはいけない致命的な失敗がある。
それは同じ言葉を3回以上使うこと。
例えば、投資に関する言葉であれば、「投資説明会、投資の準備、学資保険、安定した投資商品、長期での投資」など言い方を変えてみる。
同じ意味と感情を繰り返し伝えることで、説得力が向上する一方、同じ言葉を何度も繰り返してしまうと、途端に相手は飽きてしまう。
これは夫婦間、あるいは教師と生徒のやりとりを思い浮かべれば納得がいく。
「これこれをこの手順でやって欲しい」と言われ、「はい」と答えた後、同じことを繰り返し言われたら、言われた方はイライラしてしまう。
また、全く同じ心の動きが文章でも起こる。
文章の中で「評論文」に分類されるものが難解で読みにくく感じるのは、「繰り返す」の原則から外れているから。
評論文は形式上、どうしても論の前提を説明し、過去の事例を紹介して、ようやく本題に入るという展開になっている。
その過程でどうしても、同じ表現が重複してしまう。
それも難解な専門用語が3.4回と繰り返されるので、一般の読者はそこで飽きてしまう。
大事なのは、表現を変えて10回繰り返すこと。
言い換えや類語によって、10回繰り返せるだけのバリエーションを持つことが大切である。