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中小企業がとるべき、3つの指針

求人広告(新卒サイト・転職サイト)において、中小企業は採用に苦戦しているというのが現状です。残念ながら、知名度や待遇などで大手企業に負けてしまい、閲覧数も応募数も芳しくありません。
また、転職サイトや代理店の営業・制作が、効果的な施策を提案できないことも多くあります。そのため、「転職サイトではうまく行かない。もっといえば詐欺だ」と思っている中小企業の社長・人事も少なくありません。

エージェント(紹介サービス)でも紹介が上がっていないのが現状です。エージェントも大手企業が高いフィー(紹介料)を出して(経験者や若手の)候補者を集めているため、中小企業にまで紹介が回らないからです。
ハローワークに出しても、求める人材からの応募はなく、リファラル採用(社員紹介)も一切上がらず、八方塞がりという中小企業が多いのではないでしょうか。

今回は求人広告にとらわれず、中小企業がとるべき3つの指針について紹介します

中小企業がとるべき3つの指針

大手企業と同じ戦略はとらない
中途採用と新卒採用はちがう
無名より悪名

まず、前提となる中小企業の定義から。中小企業庁では、中小企業の定義を以下のように定めています。

製造業その他
資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人
卸売業
資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人
小売業
資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人
サービス業
資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人

私は、IT業界では100人以下の企業の取るべき戦略について説明しています。上記のサービス業と類似するので、この基準が一つの指針になると思います。

大手企業と同じ戦略はとらない

まず大切なことは、「大手企業と同じ戦略はとらない」ということです。大手企業は知名度も資本力もあります。同じ戦略・手法では、大手企業が有利です。普通に求人広告を出しても応募が集まらないのはそのためです。

『小さな会社こそが絶対にほしい「化ける人材」採用の成功戦略』では、企業価値(企業規模の大きさ、または求職者からの知名度)の高低、採用活動力(採用予算)の高低で、4つのパターンに分類しています。
企業価値があり、採用活動力が高いのが大手企業の採用戦略――強者の採用です。中小企業はその反対――弱者の採用です。この図を見れば同じ戦略をとってはいけないことがわかるでしょう。

中小企業がとるべき指針は、大手が狙わない、あるいは優先順位を下げる人材の獲得です。たとえば、営業なら20代で会話がうまく、社長賞など表彰された経験を持つ人材は、すべての企業が欲しく、たいてい最上位の大手企業が獲得していきます。そこまででなくても、採用に失敗している中小企業は近い人材を求めがちです。

逆の立場になったとき、果たして自分の企業に応募するでしょうか。自分の強みを明確に言えない、強みを差別化できない企業は難しいと言わざるを得ません。
採用したいのであれば、同じ20代でも会話が苦手な営業を狙うのが一つの手です。一見、営業に向いてないと思われますが、そういう営業は真面目な傾向にあります。

求人広告営業のように、短期間で機転を利かせて話さなければならない営業は難しいかもしれません。ですが、商談が長期間になりやすいメーカー営業やMR、注文住宅営業ではどうでしょうか。真面目さ・実直さのほうが重要ではないでしょうか。
その代わり、提案書やFAQをマニュアル化するなど、その人が苦手とする領域をカバーする対応は必要です。その対応さえできれば、大手企業が欲しがらない人材は、あっという間に貴社で活躍する人材になります。

このように、大手企業と同じ人材の獲得戦略をとるよりも、大手企業が採用しない(優先順位の低い)、しかし中小企業で活躍できる人材を獲得するべきです。

中途採用と新卒採用は違う

中小企業でも新卒採用は成功しているという企業は少なくありません。しかし、そんな企業の多くは中途採用では苦戦しています。なぜなら、新卒採用は「具体性のないやりがい」を全面に出すことで採用できますが、中途採用ではその戦略は通用しないからです。
新卒採用は社会人経験のない人たちを対象にするので、「わかりやすいやりがい」に惹かれる傾向にあります。しかし、中途採用は社会経験を経ているので、より具体的な働きやすさ、自分にとってのやりがいや成長を求めます。

第二新卒であれば新卒と同様の戦略でも成功しますが、経験者の中途採用ではそうはいきません。
新卒採用で成功している企業は、その事実になかなか気づきません。「新卒では成功しているのに、中途ではうまくいかない」という言葉を、よく聞きます。新卒採用で成功している企業が、同じ手法を中途採用でも展開しているからです。
中途採用では、まず具体性が必要です。もっといえば給与や休日(残業や年間休日など)、福利厚生、仕事内容など。
この点については、下記のnoteでも記載していますが、いずれかの機会に詳細を語りたいと思います。

無名より悪名

「悪名」というと聞こえが悪いですが、無名のままでは採用はできないということです。知名度を上げるために、手段を選んではいけません。

たとえば、三陽工業株式会社という企業ではTikTokによる広報・採用活動を実施しています。最近、オジサンTikTokerとして有名になっています。
しかし、この企業でも最初はTikTokに好意的ではなかったそうです、役員陣が。それを押し切り、続けた結果、新卒の何名かはTikTokで企業を知り、入社を決めるようになりました。兵庫県明石市の中小製造業にも関わらず、です。

知っている企業と知らない企業の間には、大きな溝が横たわっています。その事実に、多くの企業は気づくべきです。特に中小企業は知名度の向上に真剣になるべきだと考えています。

「いい仕事をしていれば、求職者はきっと来てくれる」「知られていないだけで、うちは優良企業(良い会社)だ」と言うのは、その会社の自由です。しかし、Googleの検索結果然り、Web上で表示されない企業は、求職者にとっては存在しない会社と同じです。
今はTwitterやInstagram、YouTube、TikTokなど、手軽に始められるSNSが多く存在します。これらSNSを使わない手はありません。一度、恥も外聞もかなぐり捨てて、SNSで若者に合わせた広報・採用活動を展開してはいかがでしょうか。

ここで大事なのは、「若者に合わせた」広報・採用活動です。間違っても、50代・60代の役員の感覚に合わせてはいけません。間違いなく失敗します。40代ですら、20代・30代の感覚とズレています。できるなら20代の特命チームを作り、彼らに全権を委任すべきです。

まとめ

以上、3つの点を気をつけて行動するだけで、中小企業の採用活動は大きく前進します。
同じ中小企業でも、ベンチャー企業・スタートアップ企業は、すでに動いています。新しいビジネスを展開している企業も多いので、ビジネスやサービスそのものに惹かれる求職者も少なくありません。
しかし、設立何十年の中小企業は、既存ビジネスが多く、ビジネスにわかりやすい魅力がありません。板金のメーカーよりも宇宙ロケットを製造するメーカーのほうが面白そうと感じるのは、仕方のないことです。
「ウチは0.1mm単位の違いにも対応できる」と豪語しても、未経験の求職者にはピンときません。であれば、「うちの板金技術で、金属のバラを作ってみた」という動画をYouTubeやTikTokにアップしたほうが、何百倍も効果的です。

中小企業には中小企業の戦い方があります。戦い方がうまくハマれば、大手企業よりも採用できる可能性もあります。ぜひ、これまでの採用戦略を見直し、自分たちにしかできない戦い方を見つけてください。


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似非教授
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