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東証の記者会見が、おおむね高評価だった理由

2020年10月1日、東証のシステム障害が発生し、その日に記者会見を行いました。これまでのシステム障害の記者会見と異なり、IT界隈ではおおむね好意を持って受け止められています。

例えば、辛口で有名なXTECHの木村氏も、最後に苦言を呈しているものの、これまでの極限暴論にないほど、好意的に取り上げていました。

もちろん、機器の故障という、これまでの問題とは質が違う、ということもあります。しかし、一番のポイントは記者会見の時点で、経営陣がシステム障害の原因を理解し、今後の対応まで含めて整理されていたことでしょう。

他のシステム障害系の記者会見は要領を得ない、後日伝える、といった、記者会見を開く意味を感じさせないものばかりでした。なにより、経営陣がITを理解していないな、と感じさせ、ガバナンス不在を露呈させるものばかり。

これまでの記者会見は、経営していない経営陣の姿しかありませんでした。その姿が視聴者を落胆させてきました。

しかしながら今回、十分とは言えないまでも(他社と比べると十分)、経営陣が主導している姿を見せたので、視聴者から好感を得たのでしょう。

同時に、記者陣のIT知識不足が露呈した会見でした。すべての質問を見ていませんが、質問の内容は大きく分けて「システム障害の詳細」「取引の影響について」「対応の妥当性・根拠」「そのほか」といったところです。

特に「システム障害の詳細」については、質問というより記者の理解のための質問が多いように感じました。経済系メディアが多いためでしょうが、技術系も取り扱っているメディアもあるはずです。(視聴した限りだと、TV系の記者は技術系の質問は諦めていたように見えました)

きちんと技術的な知見に基づいて追求できずに、何を記事にするのだろうか、という疑問を感じました。

個人的な感想としては、東証の株は上がったけれど、記者陣の株は下がった、というところです。

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