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固定残業代は違法ではないが、思わぬ落とし穴がある

今回の主張は「固定残業代が導入されている場合、残業代や賞与は思っているよりも少ない」ということ。

以前でも説明したとおり、固定残業代という制度そのものは違法ではありません。しかし、正しい運用がされているのか疑問であるとお伝えしました。

今回は正しく運用されていても、想像外のことが起こることを説明したいと考えています。

それは「固定残業代に規定されている以上の残業をした場合、思ったほど残業代がもらえない」ということです。これはどういうことか。

月給・月収、年俸・年収の記事でもお伝えしましたが、月給とは「基本給と諸手当(固定)」を合わせた金額のことです。固定残業代は諸手当(固定)に含まれます。

しかし、問題は残業代が一般的に「基本給をもとに算出される」ことです。例えば、月給25万円(基本給20万円+固定残業代5万円/20時間分)の場合、20時間を超えた残業代は基本給20万円をもとにして算出された時給換算になります。

それがどのくらいの差になるかといえば、以下のとおりです。計算は月160時間労働として考えています。

月給25万円の場合:時給1562.5円  →10時間残業すると、1万5625円
月給20万円の場合:時給1250円  →10時間残業すると、1万2500円

10時間の残業で2500円ほどの違いになります。普段もらっている月給と比べて、残業代が少なく感じるのです。

同じように、賞与も基本給をベースとするため、月給25万円(基本給20万円+固定残業代5万円)の場合、賞与3カ月分だと60万円になります。固定残業代なしの月給25万円の場合、75万円になるので、その差はかなり大きくなります。

賞与の場合、固定残業代を含めた金額で算出する、という企業がごくわずかに存在します。しかし、ほとんど存在しないと言っても過言ではありません。

再三にわたり申し上げている通り、固定残業代制度は違法ではありません。ですが、見逃されがちなデメリットまで考えないと、思わぬところで落とし穴に陥ることがあります。

転職する際は、メリット・デメリットを考えたうえで、応募・入社をしてください。

なかには、そのくらいのデメリットがあっても、自分のやりたい仕事であるケースも存在します。固定残業代で固定残業代を超える残業代や賞与が多少低くなってもよい、と思っている方もいるはずです。

一方で、高い給与を目指して転職した方の場合、この事実は裏切りや詐欺にも等しい事実です。そうならないためにも、面接で特に賞与が何を基準に算出されるのかを確認されるべきでしょう。

固定残業代は絶対避けるべきではないものの、何を求めているかによって、その重要度は変わります。あなたの転職の目的に合致するかの判断に役立てば幸いです。

よろしければ、サポートをしていただけると嬉しいです。サポートが今後の活動の励みになります。今後、求職者・人事担当などに有益な情報を提供していきたいと考えています。