プロダクト内容で転職するエンジニア・ゼロ説
なぜ、プロダクトを求人で訴求してはいけないのか
自社サービスを展開している企業は、求人においてプロダクトを訴求しがちです。しかし、実はプロダクト自体に魅力を感じて転職するエンジニア(あと企画も)はほとんどいません。
なぜなら、エンジニアでプロダクト(もう少し言えばビジネス)に興味がある人はいないからです。
いない、と断言しましたが、そういっても過言ではないほど、エンジニアはプロダクトやビジネスに興味がありません。彼らの興味は「どんな技術を使っているのか」「どれだけ成長しているのか(イケているのか)」ということ。
だから、Amazonや楽天、メルカリが募集するとエンジニアが殺到するのは上記を期待しているか、あるいは安定性を期待しているかです。
人は性能で商品を買わない
ここで重要なことは、消費者はもはや性能だけでは商品を買わないということです。たとえば自動車やスマホは、どの企業の製品であっても性能に大きな差はありません。消費者の指向性や生活スタイルによって商品を購入しています。
同じように、求職者は企業のプロダクトで転職を決めているわけではありません。自分の将来のキャリアや今の働き方(ワークライフバランス)を考えて転職します。
今、エンジニア求人は「フルリモートワーク」が人気ですが、これも働き方の選択によって起こっている現象です。
そんな求職者に「うちのプロダクトはすごい」と言っても、ニーズが異なっているので響きません。あえて響くとしたら、「当社のプロダクトは業界No.1」=「安定していそう」というイメージです。
ほしい情報を適切にとどける
こう書くと、「じゃあ、エンジニアは安定だけを望んでいるのか」と言われそうですが、そうではありません。
大切なことは、エンジニアが何に興味を持っているのか。
彼ら(特に優秀なエンジニア)は将来も価値を持つスキルや技術的な好奇心です。にもかかわらず、製品・サービス内容を訴求するため、エンジニアが望む情報を乖離が生まれるのです。
パソコンのスペックを知りたいのに、「これはNEC製です。これはHP製です。大手メーカーだから安心ですよ」とセールスしているようなもの。スペックを気にする人はスペックを満たしていれば、富士通でもmouseでもGALLERIAでもいいんです。
スペックを無視して、メーカー名でセールスしているかぎり、お客様は商品を購入しません。同じように求職者は応募しません。
プロダクトに限らず、求人広告では求職者の欲しい情報と企業が訴求する情報に乖離があることが多く、応募が獲得できない原因になっています。しかし、有名企業ほどプロダクトに固執する傾向があります。
「我々は知名度がある」と言いたいのでしょう。それは間違っていませんが、伝えるべき情報が間違っています。
エンジニアが欲しい情報は、そのプロダクトはどんな技術が使われているのか。この機能を実現するために、こんな技術を使って実現している。こういうアルゴリズムで実現している。そういう情報がほしいのです。
もちろん、どこまで開示できるかは難しいですが、カジュアル面談の話のネタとして使うと、優秀なエンジニアほど食いついてきます。求職者がやりたいことと合致し、条件も納得できるものであれば、間違いなく入社を決めます。
求職者が知りたい情報はなにか。
もし、求人広告を含めた採用活動でうまくいかないのであれば、改めて考えてみてはいかがでしょうか。
よろしければ、サポートをしていただけると嬉しいです。サポートが今後の活動の励みになります。今後、求職者・人事担当などに有益な情報を提供していきたいと考えています。