ファーストタトゥに入れるもの
ちょうど一年前、タトゥを入れた。
それまではちょっとやんちゃなイメージだったタトゥ(刺青という呼び名の方がその雰囲気がもっとあるかも)。
日本よりはタトゥをしている人を目にすることの多いメキシコでも、なんとなーく長きにわたり躊躇してきていたのです。
でも、参加してみたいと思っていたリトリートのそれはそれは素敵な女性たちが、ファッションのように、でもなにか自分の大切なもののように入れているのを見て、「よし、入れよう!」と決めた。
入れると決めきるまでにも、なんとなく入れるならこの文字を入れたいと思っていたものがあった。
それは自分の名前だ。
名前だからと言って、日本人の私が他の国の人のように漢字で入れるのもなんか違う(見た目で選ぶのか、よくわからない漢字入っていることもあるし…!)。
せっかくなら住むメキシコのスペイン語で名前の意味を入れることにする。
私の名前は「美穂」と書く。
その昔、学校の宿題だったか何かで自分の名前の由来を調べましょうみたいなのがあって、両親に意味をたずねたんだけれど、
「そうか、私の名前にはそんな意味が!」と感動するような答えではなく、「えー、それでは何もなさすぎて書けへん…」と思ったように記憶している。
覚えているのは「自分の名前に『子』がついてるし、『子』がついてない名前にしようと思ってん」と母が言っていたこと。
なるほど、わたしにも妹にも『子』はついていない。
(お母さん、ごめん!もちろん他にもいろんな思いで考えてつけてくれた名前だとはわかっております!)
それで時々困ったのが、日本語の名前や漢字に意味があると知っているメキシコの人たちが「名前にはどういう意味があるの?」と訊いてくること。
「うーん、あんま言うほどの意味はないねんけどな」と思いつつ、漢字のそのままの意味を伝えようと「『美』は美しいって意味で、『穂』は稲穂の穂」と最初のうちは答えていた。
そうすると、「『美』はビューティー。なるほどなるほど、いい意味だね」となるのだけれど、「稲穂の『穂』とは?」となっちゃう。
それで回を重ねるごとに「稲穂の『穂』とはだね、雨の日があっても風の日があっても、穂をたれず倒れることがないから『強い』って言う意味もあるよ」と、どこかできいたことを勝手に説明しだした。
そしたらなんか、すごくいい名前だなと改めて思えてきたのです。
「美しく、強い」
今この瞬間からそうありたいし、これからもずっとそうでありたい。
すごく自分の根幹から、心から、そう思う。
それで、初めてのタトゥには「美しく、強い」とスペイン語で入れることに決めた。
Bella y fuerte
それからは足に入れたタトゥを見せて「これが名前の意味。いつもこうありたいと思って」と簡単に伝えられるようになった。
ありがたいことにそうするとみんなお世辞でも「すでにそうだよ」と言ってくれる。
そんな一言をもらえるだけでとっても幸せな気分になる。
そして自分がちょっと自信をなくしそうな時も、そのタトゥを見て思い出す。
「危ない、危ない、忘れるところやった。私はBella y fuerteやんか」と。
うん、いいファーストタトゥを入れられたなと1年経っても大満足です。