川越宗一 『熱源』


◯特設ページ



◯著者会見


(西日本新聞:イチノセ)
デビュー作も琉球や奄美を題材にしていて、辺境を題材にするというのは、ご自身のルーツとなにか関係があるのかと思いまして、その点いかがでしょうか?
(川越)
...
個人的な興味として、文化であったり慣習であったりといったものが違う、別々のグループの人達が触れ合ったときに、融和していったりだとか、あるいは対立していったりとか、いろいろなドラマがあると思うんですけれども、そこに興味というものがあって、なのでそのような書き方になっています。



(報知新聞:キタノ)
川越さんにとって、小説を書く上での一番の「熱源」というのはどういうものなんでしょうか?
(川越)
僕個人の書く動機でいうと、こういう話が読みたいというのが一番大きいです。世の中に読みべき作品がないというのではなくて...こういう題材のものがないなと思う時があって、そういうのが読みたいんだけどない、ので自分で書くしかないか、書いてやろう
というのが一番のモチベーション、熱源ですかね。

僕自身は、歴史小説を書きたいと思っているんですが、
過去の歴史を通して、僕たちが今生きている現代というものを考えたいなというモチベーションもあります。
僕は今どういう世界に住んでいるんだろう、
どういう人がいて、
これからどうしていったらいいんだろう、
っていうのを考えたくて、いっぺん過去に視点を置いているというのがあります。なので、今自分が生きている世界を見ていきたいというのがモチベーションですね。



(司会)もし言い残したことがあれば、一言お願いできますでしょうか?
...
この小説の「材」に取らせていただきた時代に生きたすべての人々に感謝していますし、改めて尊敬の念を持っています。



◯受賞インタビュー_2020/06/28(追加)

そんなぼくを、社会の巧みな仕組みと、巧まざる懐の深さによる恩恵が、直木賞まで導いてくれた。ただただ感謝するしかない。だからこそ願っている。その恩恵がより広く、またぼくよりずっと困難に直面している人たちにも行き渡りますように、と。そして人材にまつわる「即戦力」や「実学」などという概念は、その人の将来の可能性を損なっているのではないか、ともひそかに思っている。なにせぼくは、人の役に立ったことがないのだ。

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