意外と知らない時計の原理:機械式から原子時計まで
仕事の会議、待ち合わせ、あらゆるときに確認するのが時間ですよね。一日何度も腕時計を見る人も多いのではないでしょうか。
現代社会においてほぼすべての人類はこの時間の中で生活をしています。農耕文化により生まれたとも言われますが、私たちはこの時間というある種の呪縛から逃れることはできません。
さて、そんな時間を測っている時計についてみなさんはどのくらい詳しく知っているでしょうか?
生まれたときから身近にある時計はその名の通り時を刻んで私たちに現在の時刻を教えてくれます。定規やメジャー、体重計が無くても時計(PC、スマホも含む)がない家というのはまずないでしょうね。
あまりにも身近過ぎて考えたこともないと思いますが、普段の生活をする上では不変ともいえる時間はいかに計測されているのでしょうか?
今回はそんな意外と知られていない時計の原理についてざっくりと紹介していこうと思います。
時計にもいろいろある
一言時計といっても世の中にはいろんな種類の時計がありますよね。
古代から振り返ると、日時計から始まり、縄やろうそくの燃えた長さで計測する燃焼時計、重力を利用した水時計や砂時計が発明されました。
そして現代では、ぜんまいを用いた機械式時計や水晶振動子を使ったクオーツ時計などが一般的ですね。
今回は機械式以降の現代の時計についてその原理を一緒に見ていきましょう。
機械式
まず初めに時計と言えば思い浮かべるのがぜんまいを使った機械式時計でしょう。ぜんまいは螺旋を描くばねの一種で、使用者がぜんまいを巻くと、それが解けようとする力で規則的な運動を行います。
この規則的な運動を歯車を使って時計の動きに変換してやるのです。その具体的な原理はなかなか想像が難しいですが、機械式というだけあってまさに機械仕掛けの方法で時を正確に刻んでいるというわけですね。
水晶振動子
世の中には圧電体と呼ばれる物質があります。これはその名の通り電気を圧力に変えられる結晶のことを指します。このような圧電素子は電気を加えると結晶内で歪ができて、まるで結晶が大きくなったり小さくなったりするように動き出すのです。
そんな不思議な物質がどこに使われているのか?と思われるかもしれませんが、まさに時計の部品として欠かせないのです。
電気を通すとこの圧電体(圧電素子・振動子)は周期的にぶるぶると振動します。これが一定の間隔で振動してくれるため、その振動数を使って正確に時を刻むことができるというわけですね。
この圧電素子の中でも有名なものが水晶振動子です。他にも圧電素子の種類はたくさんありますが、水晶は最もメジャーな振動子の一つであり、時計のコア材料として重宝されています。
原子時計
原子時計という言葉を聞いたことがある人は少ないでしょう。ただ、この原子時計こそ私たちの1秒を決めているとても正確な時計になります。
原子時計の原理は非常に難しいですが、ここでは簡単にざっくり紹介するとしましょう。
原子時計は原子が光を吸収するという特徴を利用しています。
少し専門的な話をすると、原子はエネルギーを与えると基底状態と励起状態と呼ばれる状態を行ったり来たりすることができます。これは原子核の周りを回っている電子の位置が変わることで起こりますが、このとき与えるエネルギーというのが光なんですね。
そして吸収できる光の色は原子によって決まっています。どういうことかというと、赤い光は吸収できるけど、青い光は吸収できないなんてことが普通にあるんですね。その原子にあった光でないと吸収しません。
さて、その特徴がどうやって時間と関係があるのでしょうか?
実は光は電磁波と呼ばれる波(振動)であり、私たちの目で見える可視光の色というのはこの振動数が異なるともいえるんです。そのため、原子に吸収された光から振動数を割り出してやれば超正確に時間を測ることができるというわけです。
もちろん原子自体が運動して、その影響により吸収できる光の振動数が少し変わってしまうという問題もあります。
そこで、様々な方法で原子が動かないように空間中に固定してやることで、その測定誤差が減少して、より正確な原子時計として利用することができるようになります。
最後に
短期連載として調べてみる時間結晶と量子コンピューターの流れで光格子時計について勉強していましたが、ふとそう言えば普通の時計ってどいう言う原理なんだろう?と思い記事にしてみました。
名前は知っていても意外と原理まではわからないって人も多いのではないでしょうか。
ということで、今後も身近だけどあまり知られていない科学の面白い原理を紹介していきます。