アンティーブ-路地の主 その地はリヴィエラまたはコート・ダジュール #5
路地を歩く楽しみは、気ままに縛られず歩けること。碁盤目状の整備された道は、わかりやすいけれど、迷いがありません。通り抜けられると思ったら行き止まりになったり、時には道が階段で上下に交差したりする路地を、(こっちの道はどうかな、あっちの道はどこに続くかな)と、探りながら歩くのが宝探しのようです。選択肢はいくつもあって、その時の気分次第。
(あそこに出よう)、と思っていたのにとんでもないところに出る意外性も路地歩きならでは。
細い路地から、切り取られたようなサイズの開けた空間を見るのは、のぞき見的な優越性があります。安全な場所から、外の様子をうかがう感じ。
そして、路地を歩いていると、きっと出てくるのです。もう、そろそろいてもいいんだけどなあ・・・ほらほらいました。突き当りの陽だまりににゃんこ。
気持ちよさげに居眠りしています。ゆっくり、ゆっくり脅かさないように近づいて、少し離れたところで見ていたら、おりてきてくれました。警戒して植木のかげではあるけれど。
路地とにゃんこ、お似合いです。
カンヌから二駅離れたアンティーブには、ピカソ美術館があります。海に面した崖の上の美術館から見た地中海は、真っ青でした。駅に向かうにはプロバンス市場を通ります。オリーブオイルとニンニクの匂いがたちこめ、店先のテラスはほぼ満席で、皆、ワインを飲みながらゆっくり食事していました。猫ちゃんにであったのは、この市場に出る前の路地でした。