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ナショナルテスト/分子模型の活用【Day65】
任地32日目。
ナショナルテストを11/14に控えているためか、授業がハイスピードで進んでいく。
今日はカウンターパートとナショナルテストについて話をした。
ナショナルテストは小学6年生、中学3年生(高校に関しては聞き忘れた)にとっては、どの学校に行けるかが決まるかが重要なテストである。
全学年がテストを受けるのだが、中学校では1週間かけてテストを行うようである。
その後、ルワンダ中の先生たちが首都キガリに集まり、採点およびテスト結果の分析、報告に追われるようである。
テスト結果によって、良い学校とされるパブリックスクールか、学力の低いとされるデイスクールかが決められるようである。
パブリックスクールの場合は寮生活になり、勉強により集中しやすい環境になる。一方で、デイスクールは毎日通わなければならないため、家が遠い生徒だと通学が大変になる。
私の学校はデイスクールなので後者である。
正直な話、子供たちは勉強があまり好きではない。ナショナルテスト前ではあるが、あまり切迫した雰囲気を感じないのである。
小学校と中学校が連携しているのだが、小学校6年のナショナルテストで良い点を取るとパブリックスクールに通えるため、点数を取れなかった子たちが中学の方にやってくるのだ。
ルワンダでは小中学校の授業料が無償である。カウンターパートと話している中で、ルワンダではナショナルテストが小学校の段階からあるため、学力の差が日本以上にシビアであると感じた。
もちろん、お金をかければ学ぶ環境の充実が増すのは日本と同じである。
ホームステイをしていた時に、6年生の子どもがいたのだが、土日は勉強に追われ、家庭教師がやってきて授業をしている様子を何度か見かけた。
家庭の収入状況と親の学びへの理解、子ども自身の勉強する意義の理解が彼らの将来と貧困の差を広げているように思った。
また、別のカウンターパートとは“何故彼らは勉強しないのか?”という議論をした。
その理由として、将来を見据えていないことや勉強する意義の理解ができてないことが挙げられた。
ここではキャリア教育というものがないので、身近な大人たちがそのお手本となる。
彼らに学びの大切さを伝えていくのも大切であると思ったのと同時に、何故勉強が大切なのか、将来どんなことをしたいのかを一緒に考えていくことの大切さを考える良い機会となった。
勉強する習慣のない彼らにどう勉強させていくのか。
彼らが勉強したくなるような仕掛けを先生たちがと色々と考えていきたいところだ。
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中学3年の化学の見学に行くと、有機化学の授業を行なっていた。
生徒の顔を見ていると、かなり退屈しているように感じた。
それもそのばず、アルカン、アルキン、アルケンの話をしているのだが短時間の間でどんどん内容が進んでいく。
黒板に式だけつらつら書かれていてもなかなか理解がしにくい上に、ハイスピードで授業が進むので生徒たちを見ているとポカーンとしているかすっかり授業に飽きている生徒が多い。
その様子を見かねて、図書室掃除中に見つけた分子模型を引っ張り出してきた。
後ろの席で、模型をせっせと作っていると授業をしていたカウンターパートがやってきた。
この学校のいいところは、すぐ取り入れることである。
メタン、エタン、エテン、エチレン、シクロアルカンの分子模型を作成したのだが、それを使って早速説明してくれた。
2クラス目の授業では、最初から分子模型を取り入れていたこともあり、先ほどのクラスより生徒の反応が良かった。
シクロアルカンの構造式が若干間違ってはいるが、分子の結合の様子を模型を取り入れた授業をしてくれた。
授業が終った後に、“Haru!授業がとてもしやすかったよ!この模型のおかげで授業がよく進んだよ!”と言ってくれた。
実験器具や視覚的教材があるが、授業に上手く取り入れていないのも1つの課題であると感じた。
同時に、見学している中で彼らが生徒に何を伝えようとしているのかを汲み取りつつ、それに対応した教材を提供したり、作成したりするサポートの方法も良いのではないかなと思った。
実験の場合は先回りして準備していかなければならないが、カウンターパートたちとコミュニケーションを上手く取りながら、ティーチングアシスタント兼実験助手的な役割になれればと考えている。
自分でやってしまう方が早いのだが、そこをグッと堪え、彼らの横か一歩後ろからサポートできるよう心掛けたい。
(2019/10/3)