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Food|#CookForJapan 設立によせて

2020年2月3日、一般社団法人CookForJapanの設立にともない、法人化を発表する記者会見を、カステリーナ横浜で開きました。

一般社団法人CookForJapanは、#被災地農家応援レシピ というTwitterから派生した料理人のグループ #CookForJapan の「天災など、被災した農家を応援していく」という取り組みはそのままに、公の窓口を作ることで、より広範囲な応援をすることを目的としています。

当日は、新聞や雑誌、webといったメディアの記者さんや、個人メディア(SNS、ブログ、noteなど)を持っている方々20人以上が集まっていただきました。

SNSという、少し前までは実体のない存在だった場所で行われていた取り組みを、リアルな媒体、リアルな人に来ていただけたのは、僕自身、とても驚きで、一般社団法人の代表理事であり、#被災地農家応援レシピ の言い出しっぺでもある神谷隆幸さんの影響力だけでなく、総勢15名のメンバーのこれまでの取り組みに対するご期待でもあるのかな、と思い、身の引き締まる思いでした。

料理人のみなさんに交じりながら、ひとり編集者という立場で、この取り組みに初期から参加しておりまして、今回の一般社団法人CookForJapan の設立にも携わっております。

具体的には、会見でも話したのですが、「クラウドファンディングを使ったレシピブックの制作」、「#被災地農家応援レシピを作る会 の継続的実施」それと、「 #CookForJapan 公式マガジン」としてnoteの立ち上げが、僕のミッションかなと。

#CookForJapan 公式マガジン」としては、今回のイベントのレポートを皮切りに、今週末2/7~9の長野県「長野アップルライン復興プロジェクト」と#CookForJapan のコラボディナー、ならびに被災地取材を合わせてた定額マガジンの発行などを考えておりまして、また改めてご案内できればと思っております。

#CookForJapan に願うこと

2019年の台風18、19号によって、長野県と千葉県は甚大な被害を受けました。その前年の2018年は西日本豪雨では、西日本や東海地方の非常に広範囲で長時間の記録的な大雨があり、台風21、25号が近畿地方を直撃しています。

日本にいる限り被災する可能性がある。そんなことを感じるほどに、私たちは毎年のように、災害の報せを聞いています。「2020年は災害が起きない」という保証はなく、むしろ楽観的な方があぶないのではないかとも思っています。

これまで多くの災害があったなかで、僕自身は被災地へのボランティアといったことはやってきませんでした。それは自分のなかで、「被災地にとって本当に意義のある行動とは何か」というのがずっとひっかかっていて、なかなか行動に移せなかったという理由があります。

復興」と一言でいっても、初期の瓦礫だったり、泥をかいたり、日用品を届けたりといった、ライフラインの確保の初期段階では、マンパワーが必要だと思います。しかし、それ以降の段階では、それぞの被災状況や、そもそも個人個人がどんな復興を目指すか、によって必要なものが違うのではないか、と思うのです。

たとえば、被災から時間がたてばたつほど、重機が欲しい人もいれば、ハウスを立て直したい人もいるでしょう。比較的被災を免れれたなら、まずは事業を再開させたいと急ぐ人もいるのではないでしょうか。

そうしたことを考えれば考えるほど、「復興」とひとまとめするのではなく、個別に対応していくべきなのではないか。だからこそ、誤解を恐れずにいえば「被災地の人たちにとって、もっともありがたいのはお金なんじゃないか」と思うようになっていくわけです。

じゃあ、いったい何が自分にできるのか。そんなこと考えていると、日本で経済活動する一人の人間として、目の前の自分の仕事をいつも通りしていることの方がいいのではないかと思いも募り、もちろん心を痛めながらも、行動には移してきませんでした。

#CookForJapan という名の経済サイクル

#被災地農家応援レシピ から始まった #CookForJapan の取り組みは、料理人が出したレシピを作りたい消費者が、被災した農家から産品を買う。そして、料理人のレシピを通じて、飲食の価値を上げる。「料理人のレシピを作る」という行為によって、小さいながらも経済を循環させることができる経済サイクルのことだと僕は思っています。

この取り組みは、被災地に行かなくても応援できるし、もっと言えば生活を楽しみながら応援することができる可能性を持っています。

しっかりとお金も届けられるのに、初期投資だったり、ランニングのリスクが三方にほとんどない。さらに、三者間で、経済がシンプルに回っていく。これは、継続性が高いコンパクトな取り組みじゃないか。

また、災害によってもっとも起きてほしくないのが、風評被害や購入自粛。もちろん、災害にあった産品を無理に使えとか、安心安全が担保されていないものを、多少は我慢して使え、といっているわけではありません。

じっさい、2019年の台風で被災した長野県のリンゴ農家たちが販売しているリンゴは、土に落ちたけどまだ食べられる、というリンゴではありません。土には食中毒の原因になる菌がいる可能性があり、そういったものの出荷はしておらず、災害を免れた地域のリンゴです。

ただ、2019年の被災直後も、なぜかスーパーからは千葉県産の野菜が消えました。一時は、流通の障害などもあったかもしれませんが、それ以降も、ホウレン草や小松菜といったものが、関東以外の産地のものになりました。

この原因は、いろいろありすぎて、書ききれないのですが、そのこと自体が悪いことだと僕は思いません。ただ一方で、そういった状況のなかで「被災地から産品を直接購入して、それでおいしい料理をつくって食べたい」と考える人たちにとって、まったく選択肢がないというのは、ちょっと残念だなとも思います。

#CookForJapan の取り組みは、スマホを使った産直アプリ「食べチョク」さんといったプラットフォーム企業と連携をしていて、実際の話「より多くのお金を農家に渡す」ための選択肢の一つという側面もあって、僕のなかでとてもすっきりと活動に参加できた理由です。

お金に使われるのではなく、使いこなすこと

こういうことを書くと、非難を受けると思うのですが、#CookForJapan 自体も長期に渡る持続的な活動をしていくうえで、経済活動もしっかりと考えていかないといけないかなと、僕個人的には思っています。

それと、もう目の前、3月初めから、レシピブックも本格的に考えていかないといけません。具体的な時間を捻出していくわけです。

それらは一つの課題として。

どんな内容にしたら、喜んでもらえて、また「Cook」してくれるのかなぁ。

クラファンだから、記念品みたいなものでいい」なんてまったく考えていません。「復興の応援だから、できるだけお金をかけずに作りたい」みたいな、こともなんか違うかな思う。やるなら、書棚ではなくキッチンに置かれる本にしたい。意義のある本ではなく、意味のある本に。

編集者として、とても楽しみな仕事に感謝しながら、やっていきたいと思います。

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江六前一郎|Ichiro Erokumae|Food HEROes代表
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