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お金じゃなく信用を使ってスタートしよう
「CRFTSMAN × SHIP」と「HINODE」という自分にとって2つの大きな料理のイベントを終えて、自分自身が貯めてきた信用を一気に使えるいいタイミングだったなと感じています。
お金を稼ぐな、信用を稼げ。 ――『革命のファンファーレ』西野亮廣
『革命のファンファーレ』は発売後すぐに読んだから、2年前のことになるんだな。その時には、「俺には信用なんてあるのかね」なんて思っていたけど自分が持っている信用は意外とわからないもので、ようやくこの歳で周りの人に引き出してもらうものなんだなっていうことをすごく感じました。
信用の実態は人に引き出してもらって初めて気づく
自分への信用が、自分ではわかりずらいというのは「CRFTSMAN × SHIP」のイベントで実感したことです。
じつは、このイベント初めてってこともあり集客にかなり苦労しました。東京を代表するこれだけのCRAFTSMANを揃えたんだから、お客様殺到じゃない? って最初は思っていましたが、商売はそうは簡単じゃないんですよね。
原因を考察をすると、わかりやすいフードフェスではない学び系のハイカルチャーイベントなのに、フードフェス寄りの発信をやっていたこと。じっさい「CRAFTSMAN × SHIP」の前の週に、同じ会場の国連大学で開かれていた「パンフェス」で3時間で150枚チラシを配ったけど、そこに載せていた詳細にアクセスするQRコードを読み込んでくれたのは3人だけ……。
読者を思い描きながら本を作っている、なんて思っていたのですが、まだまだまったく伝えたい人の顔が見えていないな、と痛感しました。
どうしたら集客できるんでしょうか? って色々な人に聞きましたよ。当然。「限定商品とかあるの?」「どんな食べ物がでるの?」っていう質問される。ようはわかりずらいってことなんですが、でもこっちは、そういう既存のイベントをマネして楽しくやりたいわけじゃない。次のフードコミュニティのあり方を提案したいわけだから、後ろに戻るようなことはしたくないわけです。
そこでようやく考えるんですね。つぶやけばビッグウェーブを起こせるインフルエンサーなわけでもないので、「江六前の言っていることに耳を傾けてみよう」と、今までの信用のなかでしっかりやっていかないといけないなと。簡単にチャチャッと体裁よくまとめるようなことではなく、しっかり深く考えてやる。そういうことを7年間料理雑誌やってきて得られた信用で、今、多くの人と繋がっている(と信じている)のだから。
信用を使うということは、発信の所在を明らかにするということです。「江六前がなんかやろうとしてるんだったら、話だけでもきいてやるか」っていうところからスタートする。
「CRAFTSMAN × SHIP」の取り組みは、これからのプロダクトづくりに必要な向き合い方だと自信をもって勧められるものなんだから、来てもらえれば、ぜったいに信用を失うようなこともない。そういう自信もあった。
結果は後半の円座のフリートークは時間が収まりきらないほど盛り上がり、多くの人にご満足いただいたと思っています。「また次回の開催決まったら教えてください」と言ってもらえたのは、また信用を使うチャンスをいただけたということ。信用を戻していただいた、しかも利息付きで。これは、うれしかったなぁ。
そうやってようやくわかるんですね、スマートにお客さまを集められるようなインフルエンサー気取りたい、っていう「なりたい自分」になってみたいと思ってもそこにはまだ全然信用はなくって、結局は自分がもっている信用のなかでしか、最初の一歩は踏み出せないんだということを。
信用をフルベットした「HINODE」
「CRAFTSMAN × SHIP」の2週間後には20代の料理人によるポップアップレストラン「HINODE」を投げ銭システムを使ってやると決めていたので、HINODEは自分の信用をもっと全面的に使ってチャレンジしようと決めました。すぐにHINODEの挑戦を体験してもらいたい人に直接連絡をして、企画をしっかり説明したうえでHINODEにきてもらうことにしたんです。自分の信用をフルベットしてやろうと。
だから今回、28名中23名が、僕が呼んだお客さまです。もう、責任の所在は明らか。「CRAFTSMAN × SHIP」で得た信用も、全賭けです!
信用のリスクをとったHINODEを、「未来ある若い料理人の取り組みバンザーイ」で終えることもできるし、「料理がなっとらん!」の大説教大会にすることもできた。でも僕はやっぱり賛否両論の方がいい(正確には賛よりの両論ね)から、どんな人をどれくらいの割合で呼ぶのかはものすごく神経を使って、かなり戦略的に考えました。
そこらへんのデザインは自分としてはかなりうまくはまったと思っている。投げ銭額も、じつは、自分で当初これくらいかな、と考えていた額になっていた。
自分の編集力を、自分で褒めてあげたい(笑)。
信用を使って、さらに投資してもらって信用を増やす
何かイベントを始めたいと考えている人へ。始めるにはお金は必要ありません。信用だけで十分です。
信用があれば、お金を前借り(事前決済)するこができます。じっさい「CRAFTSMAN × SHIP」も事前決済にしたことで、当日の試食の数が管理できて、ロスが少なく運営できました。どうように、信用を思いっきりお金にできるクラウドファンディングだって、いわば前借りです。
そのかわり、自分の信用を思いっきり使わせてもらうためには、その時点の自分がまわりの人がどんなことを自分にもとめているのかを理解して、それにまずは応えていくことが重要です。
僕の場合は、「CRAFTSMAN × SHIP」をやったことで「飲食業への新しい取り組みの提示」が、僕とまわりの方との間にある信用取引条件であることがようやくわかった(40歳すぎてもやってみないとわからないものなのです)ので、HINODEをその信用取引条件をクリアできているイベントにする必要があった。それが「投げ銭システム」。そしてその条件がクリアできているんだから、思いっきり信用を使ってやり切ってみる。
信用の条件なんてわからないよ、っていう人もいるかもしれません。
僕の場合、投げ銭の額を上げることが目的だったら、もっと年齢層を高くしたし、浪花節な演出もできたと思う。でも、それは僕はやりたくないし、それおをやったら、自分の信用を落としたと思う。
なりたい誰かをマネをするのではなく、自分の美学というか、信念というかそういうもので最初は動いてみる。すると、それが結果的に自分の信用の実態を知る手っ取り早い方法になると思うんです。
HINODEが終わって、ほぼ全員のお客様から「いい企画なんだから、継続してほしい」「次回も行きたい」と言っていただけました。僕自身もその通りだと思っていて、継続していかないと意味がいないと思っています。
これは、もうか完全にみなさんからのエールです。「お前なら次もやってくれるよな」という、信用の投資。
求められているステージのなかで、結果をひとつづつ出して、ふたたび信用の投資につなげていく、次のアクションで賭けられる信用を増やしていく。
信用はお金では買えない、とはよく言ったもので、2つのイベントを通じて、信用の実体化、信用の使い方、投資のしてもらえる信用作りを学ぶことができました。
お金は使わないと増えないように、信用も使わないと増えないんですよ。
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![江六前一郎|Ichiro Erokumae|Food HEROes代表](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/117668942/profile_3f80d4b7ceb0d6cf04ae817a3f0a87c6.jpeg?width=600&crop=1:1,smart)