「言葉」を選んだフランス料理
編集顧問をしている「シェフレピ」が10月1日大幅リニューアルをしました!
サイトもリニューアルしていますので、覗いてみてくださいね!
リニューアルの目玉は、新しく料理講座形式で、毎月料理キットが届く「ステップアップ」のラインの追加です。これまでの2ラインとあわせて3つのラインができあがり、現在の料理スキルや目指したいゴールに合わせて複数の選択肢を用意できたといえます(まだまだ選択肢は極めて少ないですが)。
▶レギュラー(初級~中級)
【初回利用20%OFF】これまで発売されたシーズナルのなかから、初めてでも作りやすいキットをセレクト。まずはシェフレピ試してみたいという人にピッタリです。
※これまでの「スタートプラン」を名称変更しました。
▶▶シーズナル(中級~上級)
月ごとに変わる特集にあわせて毎月3~4種類の新キットを発売、お好きな料理が選べます。作って学んで、食べてもおいしい、シェフレピの魅力を存分に楽しめます。
※こらまでの「シェフレピ」に名称をつけました。
▶▶▶ステップアップ(β)(初級~中級)
1人のシェフが、テーマにそって数カ月間継続して料理を教えてくれます。キットはスタート月からひと月ずつ発送(全5回シリーズの場合5カ月目で終了)。回数を少なくしたショートコースもあります。
詳しくは、こちらのプレスリリースをお読みいただければ(何と投げやりな)!
言葉で調理を定義したフランス料理
ステップアップの最初のコースがTwitterで人気のh.b.シェフの「フランス家庭料理で学ぶ料理の基本」で、さらには、シーズナルのテーマが「フランス料理」だったこともあり、9月はフランス料理(しかも伝統料理、地方料理)にどっぷりつかった1カ月でした。
僕自身としては、シェフレピといサービスは「おいしい料理を楽しく作って食べる」という価値の向こうに、「料理を学ぶ」「各国の食文化を学ぶ」という教養的なものがあることで、サービスに奥行き生まれ、それがほかのミールキットや料理教室と差別化できると思っています。
つまり、料理単体を作ってみて「おいしかった」「うまくできた」「このレシピは普段でも使えそう」という体験や知識、情報などを得られることが大事なのは変わりないのですが、その向こうに「へぇ、フランスの料理ってこういうことを大事にしているのか」とか「イタリア料理と日本料理って、似ているところかがあるな」みたいなことまで感じてもらえると、料理によって広い世界を知れたりすると思うのです。
そういった意味でフランス料理(外食料理)のオリジナリティって何だろうと考えたときに、僕は「言葉によって作りだされる料理」ということかなと思いました(言葉ではない料理といえば、日本のように食材に由来の料理、鰹節と昆布で出汁をとるとかがあげられるかなと思います)。
たとえば、食材を切るという行為をみても、「何㎝のダイス状にカットして」ではなく、フランス料理は言葉を使って定義します。
Wikipediaにまとまっている数だけでも30種類もあります。一部、日本の料理にもある切り方がありますが、フランス語にしかないものもあります。かなり細かい差でも言葉が分かれていて、たとえば同じみじん切りでも、アッシェ、シズレ、ブリュノワーズ、マセドワーヌなどと呼び方が違い、覚えるのも一苦労です。
今回の全5回で毎月届く定期便でステップアップ「フランス家庭料理で学ぶ料理の基本」では、で肉や魚を焼いたり、ウサギ肉を煮込んだり、ポトフを作ったりとしていきます。そのなかでも「煮込む」とひと口にいっても、スタートから液体で煮だす「ポシェ」や、食材を炒めてから液体で煮出す「ラグー」「ブレゼ」など、名前をつけて区別しています。
このように調理法の名前が違うということはおもしろいところだし、かなりフランス料理らしいポイントだよなと思っています。
調理用語とネットスラング
そういった意味では、フランス料理は他の国の料理とは違ってあえて「言葉」を選んで料理の歴史を進めてきた国といえます。
そこには、フランス独特の啓蒙思想であったり、サロン文化であったりと、言葉であったり、議論や会話によって文化を作ってきたという背景もあるはずです。
そのあたり、理屈っぽいところが、僕は好きなんだと思います。
また、その言葉を知っていれば、どんな国の人でも、厨房内のコミュニケーションができるというのも、フランス料理が世界の料理になった大きな要因でもあります。
そう考えると、料理批評や、ミシュランのようなレストランガイドが、きちんと成り立っているのも、言葉によって評価ができるからこそですよね。
今回商品ページやインタビューを編集するにあたって、ステップアップでは、加熱料理、シーズナルでは、出汁のとり方についてその「言葉」を使いながら編集しようと考えました。
一方で、その言葉自体はある意味「秘伝の呪文」「暗号」のようなもので、うがった見方をすればインターネットでしか通用しない「ネットスラング」のようなものでもあります。部外者を寄せ付けない閉鎖的コミュニティを作ったりもしてしまうので、注意も必要です。
そこで編集者のポイントとしては、定義された言葉を使いながらできるだけ、平易にわかりやすい説明を加えてまとめています。以下の2冊には本当お世話になりました。
「フランス料理を学ぶということは、言葉を学ぶことである」ということが、レシピの向こうに感じもらえたら、編集冥利に尽きるかなと思っています。
ぜひ、シェフレピでフランス料理の奥深さを体験してみてください!