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Life|100日後を考えるクセ

雑誌の編集者として長く仕事をしていると、つい3カ月後(100日後)のことを考えるクセがついてしまいます。

雑誌だと、4月に企画を考えているものはだいたい7月のテーマ。企画会議で検討して、取材2週間、編集1カ月、印刷・流通10日くらいが目安で、そそうすると、だいたい発売は6月中頃。たとえばカレーとか夏のBBQ飯とか、トンカツ、焼肉、焼き鳥とかスタミナ系、夏のリゾートレストランとかを考えているんじゃないかぁ。

6月中ごろで夏のテーマとか、ちょっと早くない?

そんなことを思われるかもしれませんが、雑誌は旬のテーマより、ちょっと先取りの方がいいんです。たとえば、いまだったら新緑の箱根とか、5月病をどう乗り越える?とか、そんなテーマだったりすると、人は「知りたいかも」って感じる(と思う)のです。

どこの業界も先の状況を読んで、新しいサービスを提供していくということをやらていると思うのですが、雑誌はとくに販売期間が短くて、一瞬で売り切らいないといけないことから、季節感や社会情勢に敏感になっていないといけないわけです。

一方で、目の前で編集しているものは、2、3週間後のものなどもあり、ビビッドな感性も必要だったりと、意外と先を読んで、編集者は今に対応するという高度な力を使っているように思います。

100日後には、人材の越境が起こっている

そんななかで、今もやっぱり100日後のことを考えて、今何をしたらいいのかってことを頭の中でをぐるぐるとめぐらせています。

100日後のみんなは、どんな気候のなかで、どんな気持ちで生活しているんだろう。

100日後の社会には、どんな問題があって、その問題を解決できているのか? 今ある課題は、どうなってるんだろう。

ちょうど7月だと、夏にさしかかってくるなかで、今のようにリモートを続けていくと、家庭用の冷房代金が爆上がりなのと、換気をしなくなるので、またもや店舗が3密で危なくなるな、とか。冷房の冷え性が出てくるかも、とかも考えるとでてきますよね。

それと、いよいよ企業の倒産とか増えてくるなかで、再就職、新しい雇用をどうやって作っていくのかも課題として今から考えられます。

僕はその頃には、「人材の越境」が起こってくると思っていて、たとえば僕にとって身近な飲食店で考えてみると、飲食業を辞めようと考える人が出てくると思います。

その場合は、その瞬間は閉店なり転職になるのかもしれませんが、長い目で見れば早い決断、名誉の撤退と言えるのではないかと思います。

その上で、そういう決断を後押しするような、飲食のスキルと活かして、他の業種と掛け合わせたハイブリッド料理人を生むフォローアップ事業とか準備してもいいかもな、とか考えたりしています。

たとえば、野菜ソムリエだったり、京都検定のような付加価値をつけてプロデュース業を始めたり、料理Youtuberを目指してお笑い養成所に入ったり、お笑い芸人に弟子入りしたり、単純に料理の知識を活かして企業に就職したり。

あとけっこう現実的だと思っているのは、料理人でありベビーシッターの知識(いわゆる認定ベビーシッター)だったり、ホームヘルパー、家政婦のような知識をもって、その家庭のキッチンを守りながら、掃除・洗濯、スタイリングまでやってくれたりしたらかなり需要があるんじゃないかなぁと思っています。

そういっている僕も、編集者として職業を越境していかないと思っているので、飲食業に特化した文章講座を始めようと準備したり、LINEの管理運営をしてみたり、動画を作ってみたりと、まだまだ総じて「編集」の仕事を抜け出ていませんが、なんとか越境できないかと、もがいています。

文章講座に向けてのプロトタイプ、ベータ版って感じで、使いやすさとかわかりやすさとか、いろいろ試行錯誤しています。

#おしえて消費レシピ でバズった料理人の関口幸秀さんのツイートをLINEでbotにして検索できるようにして(ぜんぶのツイートを応答に反映という、超アナログ設定)、公式LINEでリリースしました。ちなみに、SEOの勉強にめちゃめちゃなってます。

星野源さんの #うちで踊ろう の動画に、先ほどの関口さんがトマトパスタを作ってレシピ動画でコラボしています。

料理人付き編集者の存在が試される

僕は、料理ではなく、料理人に興味を持ったということもあり、「料理人付き編集者」という職業を新しく作ろうと考えました。

当初は、個人の発信をサポートしていくようなことを考えていたのですが、いまはちょっと変わってきて、料理人の方々が、「料理だけでない表現の場」をもったり、「料理人という職業がもつ個性を普遍化させることで、社会課題を解決できないか」、ということを考えています。

予測できない未来だからこそ、予測した未来を行動によって実現させるというスリリングなゲームに参加できるという楽しさも大いにあると僕は思っています。

100日後のことを考えて、今できることをやっていきたいな、という4月3週目の僕の決意。

でもまた、2週間もたったら、考え方も価値観もかわっていくんだろうなぁ。そういう、振り子の振り返りがメチャメチャ早い時代を僕たちはいま生きているのだと思います。生き抜くには、それに対応していかなければいけないのです。

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江六前一郎|Ichiro Erokumae|Food HEROes代表
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