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高円寺「小杉湯」は現代のひとの暮らしに寄り添う銭湯だった

昨日、高円寺の「小杉湯」に行ってきたのですが…最高な銭湯すぎてびっくりしました。

私は温泉が大好きで、その延長で銭湯もそこそこの経験値があると自負していますが、なんと私至上No.1銭湯に躍り出ました

お湯が良い、とかそういう話もあると思いますが
1)「良いお風呂体験」の見本市的な存在になれている
2)今の時代の人の生活とちゃんと向き合って、自分たちなりの「銭湯」を 再構成している感じがした
みたいなところがめちゃくちゃに素晴らしいな〜と思いました。2なんて、完全にデザイン・編集の領域の仕事だなと。

そもそも「小杉湯」とは?をご説明すると、昭和8年創業の外観は大変レトロで歴史を感じる銭湯です。IKEUCHI ORGANICのタオルを使ったりと、界隈では有名ですね。

色々な取り組みをされていることは知っていましたが「しょせん銭湯は銭湯だしねぇ」と温泉信者の浅はかな私は思っていたわけです…!!(ほんとすみません)

「良いお風呂体験」の見本市

小杉湯でまず驚くのはお風呂本体以外のモノへの力の入れかた。

IKEUCHI ORGANICや木村石鹸はわりと有名ですが、脱衣所で「なんでこれを使ってるのか」っていうメッセージつきで想いを伝えてくれます。

…っていうか、バスタオル40円って、やっす!!

すごいのはここからで、シャンプー類・消臭剤などまでしっかりこだわりを発揮して来ています。

「手ぶらで来れる銭湯」を目指してるらしいんですが、正直自宅で風呂入るより豪華。ちなみにドライヤーはナノケアです。最高かよ。

銭湯って、広い湯船につかれるというだけで自宅のお風呂よりも優位と思いきや、その前後の体験って圧倒的に自宅に負けてしまうわけですが…ここまで細やか&ポリシーを持ってやっていれば「家より小杉湯のほうがいいわ」ってなるよなぁ。

さらに、小杉湯が「どういうお風呂ライフ」を提案していきたいかも明確ですし「あっ、このアメニティ素敵だからうちでも取り入れようかな」となるんだろうなと思いました。

現代のひとの暮らしに寄り添う

そしてさらに驚くのが平日16時なのに人が異様に多いこと。あれ?休日だっけ?と錯覚するレベルでカランが埋まってます。しかも、年齢の幅も広いんですよね。

いわゆる地元密着型の銭湯って年齢層高くなりがちですが本当に子供からおばあさんまで幅広くいました。

このへんは思い立った時にいつでも行ける感(手ぶらOK・営業時間は深夜1時45分まで)の他に、お風呂のエンタメ性も一役買ってる感あります。

お風呂ですが、名物のミルク風呂のほかに週替り・日替わりでもやっていて、毎日違うお風呂を楽しめるようになっています。

さらにイベントと絡めたり、Twitterが楽しそうでひたすらにズルいんですよ…(以下、私のチョイスゆえ酒ネタ多めです)

おそらく近隣住民の皆様の中では「今日の小杉湯」という、日々をちょっぴり楽しくするエンタメになってるんだろうなぁと思います。

これ、簡単なことのように思えますがすごく難しいことだと思います。

銭湯というひとつのコンテンツだけで365日毎日「今日の小杉湯どんなだろう」を提供しつづけないといけない。すごい。

見てみると銭湯でライブやったり、お掃除イベントやったり…とありとあらゆることをやっているなぁと思います。これ、「銭湯って音反響するから意外とライブにいいんじゃね?」とかいう発想から来てると思うんですが、そんなの銭湯と毎日ちゃんと向き合わないとできないよなぁ…と思うのです。

あと、ダメ押しなのは待合室。
私が行った時は待合室も混んでたのでツイート拝借させていただきますが、超いい感じの待合室があります。居心地よいです。

ここで牛乳飲んだり、漫画読んだりできるんですが

風呂上がりに並んで牛乳飲む父子とか…

風呂上がりにmac開いて動画編集してる髪の毛の色がすごい若者とか…

風呂上がりに静かにお水を飲みながら涼むお姉さんとか…

とにかくいろんな人が思い思いに「風呂上がり」を過ごしていて。なんというか「あぁ、この人たちの日常に小杉湯という存在はすでにアタリマエになっているのか」と悟ったのです。

昔の銭湯って、おそらくそういう存在だったのだと思うんですが、いつしか人の生活が変わり「家のお風呂のほうが快適」「わざわざ行くの面倒」「行ける時間に空いてない」みたいなボタンの掛け違いが生まれてしまったんだろうと考えていて。

小杉湯はちゃんとそいういうすれ違いをひとつずつ、丁寧にこぼさず向き合ってお客さんを迎え入れて来たんだろうなぁと。

その結果が待合室のくつろぎ感に表れているように感じました。

いやーーとっても良い銭湯体験でした。お客さんを愛している感すごい。

また伺います!

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吉田恵理/編集者
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