【一杯の味噌汁】
母の日のプレゼントを持って実家を訪れた日。
ふと、ダイニングテーブルに目をやると寝坊した父のために
作った朝食が並べられていた。
その料理を見て、父の手料理と思っていたら・・・
母が作ったと聞きとても驚いた。
母がこんなに色とりどりの朝食を作れたなんて
何年ぶりだろう
うつになってから洗濯こそ続けてこられたけど
料理を作ることはなかなかできなかった母が
何種類もの料理を父のために作ったのだ。
それは朝4時半に起きて。
「お父さんのマネして作っただけだよ」という母。
すかさず私は「マネしたってなんだってお母さんすごいよ!!」
興奮しながらそんな声をかけた。
母のうつが重症化してから6年
母の手料理というものを食べていなかった私は、
図々しくも「お母さんの味噌汁が飲みたい」と一杯の味噌汁を
いただいた。
少し薄味の一杯の味噌汁は、それぞれの具材の味が引き立てられて
とても温かく美味しかった。
お母さん、産んでくれて育ててくれてありがとう。