上京したての私を救ってくれた神宮球場。打ち上げ花火はいつもここで見る
ちょうど先週、東京ではいくつかの場所で花火大会が開催されていた。どこも4年ぶりということもあり、盛り上がっていたようだ。ちょうどその日に撮影の仕事があったのだけど、会う人みんなで「花火大会、行く?」と挨拶がわりに会話をしていた。
東京へ上京して1年目で、地方出身の学校の友だちと隅田川の花火大会に行ったのだけれど、あまりの人の多さで、会場にまで辿り着けず、人混みでぎゅうぎゅうになりながらビルの隙間から花火を見た思い出がある。今となっては「めんどくさいなあ」が優ってしまって、東京の花火大会は行かなくなってしまった。
東京に上京してから見る打ち上げ花火はもっぱら神宮球場で打ち上がる花火だ。といっても、神宮花火大会ではなく、ヤクルトスワローズの試合で打ち上がる花火だ。
わたしは上京してから、ずっとヤクルトスワローズファンだ。実家にいたころは父親が巨人ファンで、弟が野球を少しばかりやっていたこともあり、野球を観る機会はあったけれど、ジャイアンツはなぜだか好きになれなかった。
おそらく陰キャな私にとって太陽のような存在の長嶋監督を筆頭にスター選手が華々しく活躍するチームに対してあまり共感ができなかったのかもしれない。
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わたしが始めて明治神宮に野球の試合を観に行ったのは、20歳のころだと思う。(記憶が定かではない)
ちょうど村上春樹の本に出会い、エッセイで彼がヤクルトファンだということを知り、興味が湧いて野球が好きな友だちと試合を見に行ったのが始めてだったような気がする。
神宮球場に足を踏み入れて驚いたのは、客席と選手の距離間がとても近いこと。目が悪い私でも裸眼で選手それぞれを認識できるくらいだ。
その頃、誰が監督だったのか覚えていないけど、メジャーに行く前の青木選手がバリバリ活躍していた。
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その頃のわたしは、上京したばかりで、なんとか東京に馴染みたい、おしゃれで素敵な大人になりたいと、背伸びして、渋谷などの街に行ったり、買い物をしていた。美容室で、流行りの髪型にしたり、当時流行っていたブランドのお財布を買ったりしていた。でも、なぜだか心は満たされず、本当にこれが東京での生活というものなのかという正解もわからず、居心地の悪さを感じていた。
そんなときに、神宮球場でヤクルトの試合を観たとき、なぜだかとても心が軽くなった。
なんだろう。客席のみんながとても穏やかでのんびりしていて、負けていてもめくじら立てずに「まあしょうがないよね」という雰囲気がとても心地よかった。もちろん、席を立って、必死に応援していたり、選手に対して怒っている人もいたけれど、どちらかというと、みんなマイペースな人たちが私のまわりは多かった。
大好きな村上春樹のエッセイでも、そんなことが書いてあったな(たぶん)と、ふと思い出した。
球団によって、ファンの雰囲気に色があるのは知っていたけれど、わたしはヤクルトスワローズの神宮球場の雰囲気が心地よいんだなと思った。それと同時に、東京にいるからって、肩肘貼らずに、マイペースに好きなものを好きになればいいのかなとも思った覚えがある。球場によって自己肯定感が上がることなんてあるんですね。
そういえば、「長嶋や王は太陽の下で咲く向日葵。ボクは人の見ていないところでひっそりと咲く月見草みたいなもの」という野村監督の名エピソードがあるけれど、わたしもどちらかといえば、「月見草」の人間だと思う。そんなところも、もしかしたらヤクルトが好きな理由なのかもしれない。
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もうひとつ、神宮球場が好きな理由は思いもかけずに選手の顔を観ることができることだ。
試合が終わって、早めに球場を後にすると、クラブハウスに戻る選手を偶然観ることができるし、車で球場を後にするところを目撃できたりもする。わざわざ出待ちすることはしないけれど。負けたときに顔をお見掛けすると、なんだか気まずいような申し訳なさそうな顔をしていて、「選手だって人間だよな。一緒に明日からまた頑張ろう」なんて思ったりする。
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東京の大きな花火大会で花火を観るより、大好きな神宮球場で思いきり顔をあげて打ち上げ花火を観るのが、わたしにとっては夏の楽しみだ。来週の観戦予定の試合も打ち上げ花火のある日だ。何年ぶりだろう。
神宮球場の夜風はとても気持ちが良い。東京でこんなふうに気持ちよく夜風を感じることができる場所ってあるんだなと思う。
今年はヤクルトはなかなかに厳しい年になってしまったけれど、みんなちょっとずつ調子が上がってきている。(とはいえ、今日の試合も負けてしまった…)勝ってようが、負けてようが、大好きな神宮球場に今年もまだまだ足を運ぶのだろうと思う。
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