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大人の真夏の大冒険〜序章・とんとん拍子〜


 タイミングが合っているときの物事は、とんとん拍子に進んでいくと思う。


 ゴールデンウィークに箱根旅行の計画を立てたときは、たぶん行けないんじゃないかなぁという気がしていた。いつもどこかへ出掛ける予定を立てるときは日付間近で決めるし、あのときもそうだったけれど、それにしても行ける気がしなかった。
勘というやつだろうか?
巡りたい美術館も泊まりたい宿もいくつかあって時間が足りないし、とにかく混むだろうと予想して取り止めた。


 8月の旅行は、なぜか行けるだろうなぁと思った。グーグルマップで調べると、車で片道約10時間はかかる。青森までの、大人の真夏の大冒険。遠すぎて、自分が耐えられるのか。お尻は痛くならないか。どんな旅行になるのか。さっぱり予想できなかった。それでも、行ける気しかしなかった。


 オートバックスやスーパー、Amazonで、長距離ドライブ向けのクッションやクーラーボックス、ペットボトル、チオビタ、お菓子のプチシリーズ4つなど、色々と買い込んで旅行に備えた。当日は0時出発。すべて真っ暗闇の中だ。わくわくとドキドキを胸に抱きながら、こっそり車に乗り込んだ。
明るんでくるまで、DJが編曲した音楽を爆音で流し走り続けた。目はランランにさせていた。
赤ともオレンジとも言えない太陽が昇り始め、わたしはミラーレスカメラを構えた。なかなか使っていないから、ここぞという機会だと思ったのだ。
でも、目で見たままのようには撮れない。写真を確認しても、イマイチ。スマホで撮ってみても、イマイチだ。
太陽の神々しさ。眩い光。写真に残せるものじゃない。ときどき、きれいな景色を見て「絵みたい」と感動することがあるけれど、目でみている景色が現実で本物なのだ。


これは本物だ。目で見るもんだ。




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