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幸せを運ぶデリバリーは、きっと、未来への布石。

飲食店がお休みせざるを得ない状況が続いています。そこで働いている皆さん、そしてお店で使われる食材を生み出す生産者さんが大変な思いをしています。テイクアウトを始められているお店も多く、なるべく利用したい、少しでも役に立ちたいと思うけれど、これまで頻繁に伺っていたお店のほとんどが東京にあり、神奈川に住んでいる私は、大好きなお店のテイクアウトをすることがなかなかできないでいました。

そんな時、奥田政之シェフ率いる山形県庄内を本拠地とするイタリアンの名店「アル・ケッチャーノ」が「東京ゴースト アル・ケッチャーノ ~日本の畑と海を繋げる大作戦~」と銘打って、普段お店でしか味わえないお料理を宅配してくれるサービスをスタートしたニュースが!!

配達は基本23区の限定エリアのみで、私の住まいは配達圏外でしたが、事前に問い合わせをしていたら、近くまで配達があるとのことでたまたま寄ってもらうことができました。

受け取って、まずは届いたものを並べてみました!

この日のメニューは時計まわりで右上から、
◆アンティパストミスト7種(山菜のルッコラペースト和え、カニとロメインレタスのナッツオイル、クヌギ鱒のマリネ、ブリのプロシュート、生ハム、米沢の鯉、山形野菜のピクルス)
◆アルケのバーニャカウダ
◆庄内豚の赤ワイン味醂煮をバルサミコ酢で覆わせて
◆ピッツアマルゲリータ
◆タコの吸盤とジャガイモの少し辛いフレーグラ
◆(真ん中のお肉)山形牛のコンフィ ※オプションでした

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これをレストランのようにお皿に素敵に並べられるか不安でしたが、娘と盛り付けてみると、センスないけど、それはそれで楽しくて。

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届いてから、わずか10分くらいで豪華ディナーコース完成!
お店で食べているのと同様、どれを食べても笑顔になれる、素材を活かした淡くてホッとする味わい。なんて幸せなんだろう……。

山形の食材をふんだんに使っているメニューなので、ワインは山形のかみのやまメルロとシャルドネを合わせました。ああ、これまたなんて優しい味わいなんだろう……。農家さんたちの顔を思い浮かべながら、自宅だから、いつも以上にゆっくりじっくり味わうことができました。

もちろん、お店で食べるのが一番。でも、気づいたことがあります。
デリバリーには、また別の幸せがありました。

届くまで、楽しみに待つ幸せ。
自分でお皿に盛り付けて楽しむ幸せ。
自分のペースで、ゆっくりと味わえる幸せ。
たくさん飲んで食べても、電車に乗って家まで帰らなくていい幸せ。

そしてまた、プレゼントとしてもこれ以上ない幸せのおすそ分け。今回は実家にも届けたのですが、老夫婦はこの状況下でこの2か月間、ほとんど出かけていなかったので、久しぶりに美味しいものを食べたようで。食後に「ああ、なんて幸せ 。コロナになんて負けてられないね。」という前向きなメールが。普段、レストランには行けない人たちも、デリバリーなら味わえるわけで、これは画期的なことです。

そしてまたこのデリバリー企画は、奥田シェフ自身も、作るだけでなく届けているという涙モノの企画で、たまたま私の配送エリアは奥田シェフ担当で、ご本人にお届けいただき、感動。相当疲れているだろうに、こちらまで幸せにしてしまう、満面の笑顔。シェフに家まで届けてもらうなんて、そんな体験、一生忘れられないと思います。

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ちなみに、シェフの隣に写っている庄内ナンバーの車は、9年前の東日本大震災の際にも、大活躍した車だそうで、まさか、またこんな形でフル稼働するとは思っていなかった、と……。 今は庄内から出てこられて、東京近辺のアパートを借り、この活動をされています。

奥田シェフが先日、facebookで皆に語りかけてくれたこと。

10年前に東日本大震災がありました。
「ひとつだけでは何か起きたらなくなるから、リスクは分散しないといけない。」そう考え、お店を全国につくり、いろいろなタイプの幹部と共に弟子を育てながら、10年頑張ってきた。
しかし、コロナ問題。
この10年で正解だと信じ、作り上げてきたことが正解ではなくなった。
(中略)
覚悟はできた。
店はなくなっても仕方がないけど、
後悔はしないように全力で故郷やお世話になった方々の食材を使い
お客様のことを考え、安全安心環境で料理にして届けて
飲食の未来と弟子の未来をつなげる可能性を探る。

産地、従業員、お客様たのために、今はもちろん、この状況が終わった後のことも必死に考えている。コメント欄に書かれていた奥田シェフの「今日の正解は、明日の不正解」という言葉を見て、美味しさの幸せに浸っていた私に、いい意味で緊張感が走りました。

そこまで書き連ねられた言葉の数々、そしてその覚悟がより一層、胸に突き刺さりました。現況は厳しく、今は誰にとっても変化の時。「今日の正解が、明日の不正解になっている」ことばかりが連続して起きている状況ですが、きっとここで変化を遂げることができれば、「今日の不正解が、明日の正解」になるのだと確信して進むしかありません。

どうか、奥田シェフやスタッフの皆さん、そして全国の飲食店の皆さんにとって、今の頑張りが未来への布石になりますように。私もまた、飲食店のデリバリーやテイクアウトをこの状況下の楽しみにしながら、今を一生懸命生きようと思います。

【5/8追記】5/8の日経MJ「うまい飲食ビズ」コラムで、この活動が「産地守る宅配」として紹介されていましたので、リンク先と記事を添付しました。https://r.nikkei.com/article/DGKKZO58811170X00C20A5HE6A00

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【ご参考】
全国、北海道から沖縄まで、デリバリーやテイクアウトができるお店が簡単に探せるサイト #Save Restaurants があります。ゴールデンウィークでご飯作るの疲れちゃった……という皆さま(私も)、テイクアウトやデリバリーを利用して一緒に飲食店さんを応援しましょう!

https://save-restaurants.info/

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