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病院で習ったからね。

学童には、私を質問責めにしてくる子がいる。

「あれは何?」「なんでそうなの?」
「これは英語で何て言うの?」

息を継ぐ間も無く、
ありとあらゆる質問をしてくる。

そんな彼女と、ある日のやりとり。

注)以下に出てくる「固定級」と「通常級」は
簡潔に説明すると、
「固定級」は特別支援教育を
必要とする児童のための学級で
「通常級」とは、定形発達児童の学級のこと。

「先生は子供の頃、友達いた?」
「うーん、あんまりいなかったな」
「なんでいなかったの?」
「私は、〇〇ちゃん(その子の名前)みたいに
おしゃべりが上手じゃないから、
人に話しかけられなかったの。
〇〇ちゃんは、いつも先生にお話してくれて
お話上手でしょ?」
「うん。病院で習ったからね」
「え、そうなの?」
「うん。私最初全然言葉を喋れなかったから、
5歳の時にお母さんが病院に連れてってくれて、
そこで喋り方を習ったの。
それで、その時、小学生になったら、
固定級に入るか通常級に入るか
っていう話になったんだけど、
最初は固定級に入らなくて、
でも2年生の3月から、
やっぱり固定級に入ることになったの。
(その子は今小学3年生)」
「そうだったのねー!
固定級と通常級、どっちが楽しい?」
「固定級‼️だって、この前
おっきなシャボン玉作ったんだよ!」

そこで席に戻る時間が来てしまい、
話は終わった。

この会話、非常に印象に残った。

自分が昔全然喋れなかった、という事を
こんなに淡々と話せるなんて凄い!
過去にできなかった事を、
マイナスの事として捉えて、話すのではなく、
良くも悪くもない、ニュートラルな事実として
捉えて、話す。
そして病院で習ったからできるようになった、
という事もまた、淡々と話す。

固定級に行く/行かないという話も同じ。
固定級は、特別支援教育を
必要としているから行く、という事で、
それ以上でもそれ以下でもないけれど、
その事を蔑んだり恥ずかしく思ってしまったり
する人は、まあまあ居る。
でも彼女の場合には、
きちんとニュートラルな事実として
捉えて話している。
親御さんがお家できちんと、
ニュートラルな事として
この話題を扱っていることが、うかがえる。

しかも、個人的には彼女が今、
自分に合っている「固定級」という場所で、
自信をもって「こっちの方が楽しい!」
と即答できる状態であることが、
本当に本当に、嬉しい。

子供には、楽しいと感じられる時間を
たくさんたくさん味わって
育ってもらいたいと思っているし、
楽しいと思える時間が源となるから、
人生で出会う困難な状況に立ち向かっていく
エネルギーが湧いてくるのだ。

そんな気づきをもらえた、ひとときのお喋り。
ありがとうね。

私は、文章を書く時、だいたい自分の経験から書きます。したがって、いただいたサポートは、今後も様々な経験をしにいくことに使わせていただきます。