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目に見えなくても


「嘘くさいなあ」とよく言うけれど、嘘には本当に匂いがするのかと思うほど、嘘をついている人は「嘘臭い」

怒鳴って怒ったりする表現で、「雷が落ちた」なんて言うけれど、本当に雷が落ちたように視界の端が白く揺れ、雷が落ちたような音が響く。

こんな言葉を作った人、絶対繊細さんだなあ。素敵だなあ。なんて。

でも、そう感動していた背景には嘘をつかれた経緯があって。怒鳴られた経緯があって。
繊細な言葉を見つける素敵な時間には、必ず素敵な時間が流れているとは限らないのだ、とため息を吐く。

ため息を吐いて、今日、ちゃんと呼吸できてなかったのだなあと思った。息をためてもいいことなんてないからねえ。なんて、苦笑いしながらコーヒーを飲んでほっと息をつく。

ああ、また息を吐いた。

嘘をつくとか、怒りをぶちまけるとか、ため息をつくとか、ほっと息を吐くとか。
人間、何かを外に出さないと生きていけないんだな。

内に内にと貯めていたら、きっと貯めていた箱がいっぱいになって、壊れて、全部全部出ちゃうんだな。だからいろんなものを少しずつ外に向けながら、優しい言葉や思いだけをそっと胸にしまいながら、優しく生きていこう。

なんて、いろんなことを思った。


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