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自分の人生をともに問うてはくれまいか/#3.ヨンデカタル
本を読んで感じたこと、考えたことをたまに書きます。
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「急に具合が悪くなる」
著 者:宮野真生子、磯野真穂
出版社:晶文社
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哲学者の宮野さんと、人類学者の磯野さんの往復書簡20通。
ふたりの人生を通した問いと考察を、ふたりが魂をかけたレベルで交わすという、過去に触れたことのない世界でした。
2か月とちょっとの間に、20通の書簡をやりとりしているんです。
会って間もない二人が、お互いの専門分野から、自分と相手のキャリアを考える。
ときに学術的に、ときに素直に。
悩むのではなく、考える。
「急に具合が悪くなる」まさにそのときに。
生きるということは、死ぬといいうことはどういうことなのかに、二人で体当たりしていく。
それはときに相手を受容し、鼓舞しながら、学びながら自分を抱きしめていくような世界。
私はそこに連れていかれました。
もし私自身に「急に具合が悪くなる」その日がきたら。
こんな友と、こんな時間が持てたら嬉しい。
目の前で対話するのとはまた違い、PCの前で自分に問い、書いては直すを繰り返し、送信ボタンを押す。
そのときの気持ちは、「期待」だったのではないだろうか。
相手の考察と、相手から再びよせられる問いへの期待。
私の人生を、ともに問うてくれる人は誰だろうか。
そもそもいるだろうか。
もしくは誰かの人生の最期に、「わたしの人生をともに問うてはくれまいか」と声をかけられたら。
その役割を降りることができるにも関わらず、降りずにのってみたいと思える人生を、私自身が歩めているかどうかだ。
言うまでもないが、それは決して輝かしいキャリアのようなものとは限らない。
その友に会いにでかける旅が、人生そのものなような気がしてくる。
私は、ともに人生を問う、ちょっとウザいぐらいの関係を求めているんだなぁと、ふたりの往復書簡から感じたのです。
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