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Be strong
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夫が芸術監督を務める
Les soirs du piano フェスティバルで
今年も素晴らしい演奏を聴いた。
イタリア人ピアニスト、レオノーラ・アルメッリーニ氏は
前回のショパン国際ピアノコンクールの入賞者だ。
夫が何度もラブコールを送り
演奏会が実現した。
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リハーサルに夫は
娘と、彼女の親友ニナを連れて行った。
ニナのママはイタリア人、
マネージャーさんとのメールのやり取りでは
ずいぶん助けてもらった。
ニナもイタリア語はペラペラだから
リハーサルでも誇らしそうに通訳をしてくれたらしい。
私のピアノの生徒ちゃんでもあり
音楽が大好きだ。
さてレオノーラさん、
ショパンコンクールのインタビューで
見ていた通り、
とにかく明るくて感じが良い、
そして何という素晴らしい演奏!と
夫からメッセージが届いた。
私は仕事があったので
夜のコンサートに合流した。
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プログラムは2部形式で
シューマンの森の情景から
しっとりと始まった。
あたたかい音色にすぐに惹き込まれる。
プロコフィエのロミオとジュリエットでは
可愛らしさと力強さのコントラストに感動した。
そして2部は
ノクターン、ワルツ、バルカローレ、幻想ポロネーズと
ショパン尽くしでやはり圧巻だった。
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娘たちも、すごいすごいと頬を染めて興奮していた。
イタリア語のユーモアあふれる挨拶に会場が
さらに沸いた。
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そして主催者のお宅でのパーティーで
なんと娘のピアノを聴いていただくことになった。
シューマンの飛翔を弾き終わると
ソファーを叩いてブラボーと
拍手してくれたレオノーラさん、なんて優しい!
帰る時に
あなたは素晴らしいわ、
未来を信じて頑張って、Be strong!
と輝くような笑顔で言ってくださった。
ショパンコンクール入賞者からのBe strong 強くあれ、
と言う叱咤の言葉の重みは半端ではない。
ピアノが上手い子は星の数ほどいる。
その中で
ピアニストになりたいという夢を叶えるために
必要な強さは
様々な試練に負けないだけでなく
日々の地味な練習に耐え、喜びを見出せるかにも
よるだろう。
彼女のピアノへの愛に打ちのめされた夜だった。