☆田舎の物々交換という半永久的な循環と教育の話☆

相変わらず、月に1度“実家に帰って泊まる“
を地味に積み重ねている。

来月辺りから柿もぎが本格的に始まるので、
10月11月はきっと月に何度も泊まることになるだろう。

普段、佐渡の中では都会といわれている便利なところで
夫婦2人のアパート暮らしをしているのだけど、
そこでは決して味わうことのない体験を実家に帰ると
日常茶飯事に経験する。

その代表的なものが“物々交換”。

◯◯さんから◯◯もらって、
◯◯さんにお返ししたら、また◯◯もらって、
そうしている間にも、新たに◯◯さんが◯◯を届けてくれて…

そんなこんなで、父と母を見ていると、
物々交換で忙しそうに見えるときもあったりする。笑


そんな光景をたびたび目にしていると、
子供の頃は当たり前だったそれらのやり取りが
なんと豊かで幸せで、ありがたいことか
と沁み渡るように感じてしまうのは、

わたしがだいぶ歳を重ねたことと、
一度、そういった物々交換で成り立つ世界から
そうじゃない世界を味わったからこそなんだろう。


そして、そんないい歳になってきて、
いろいろ経験し、体験し、出逢って、学んで、刺激を受けたからこそ、
物々交換の世界や田舎の暮らしが教えてくれる
“教育的要素”の価値が計り知れないことも確信している。

今回は、田舎の暮らしと教育について書いてみたいと思う。


⒈物々交換その① ぶどうをもらって栗のお赤飯


今回の実家帰りで目にした物々交換のいくつかを
紹介してみたいと思う。

この他にもまだあった気がするけれど、
思い出せるものだけご紹介。



物々交換その①はぶどう。

この前もなんとかさん(わたしは聞いてもすぐに忘れてしまう)
からいただいたというぶどうを母からお裾分けしてもらって、
わたしのお腹にもすでにinしていたぶどう。

さらに、またいただいたというぶどうが
ダンボールにわんさかあった

さらにさらに、また別の方(Kのおじさん)からもたいそう立派なぶどうを
いただいたそうで、仏壇にお供えしてあった。

このKのおじさんは果物づくりの名人で、
どんな果物でも信じられないほど立派で美味しく育ててしまう。

年々、人間にとっても農作物にとっても
厳しい気候にエスカレートしていく中、
どんなに大事に大事に育ててもうまく実りを迎えられないこともある。

今年のぶどうも例外ではなく、
半端ない猛暑や梅雨が長引いた影響で、
出来はいまいちだったとか…。

そんな背景もあり、
シャインマスカットが一房130万という
市場最高値を叩き出したという情報を母から教えてもらった。

マグロじゃないよ、シャインマスカット。
ぶどうが一房130万円!!

ひゃーきゃーの世界でございます。

もはや芸術作品。


でも、そんな超超超高級シャインさまにも
負けず劣らず、いや…肩を並べるに違いない
Kおじさんの作られたぶどう。

張り裂けそうにぱつんぱつんの粒の大きさといったら!

一粒食べたら口の中いっぱいに果汁と果肉が広がって、
おのずと気持ちとテンションも幸福マックス。


こんなぶどうを“タダ“でいただけるなんて、
ただただありがたさを噛み締めるのであった。


お彼岸が近かったこの日は、
母が朝から栗のお赤飯を大量に蒸していた。
(栗の皮は前日わたしが剥いた!)

ぶどうのお返しにとKおじさんのお家にも父が配達。
その他にも、いつもいただいてばかりの◯◯さんのところと
いつもお世話になっている◯◯さんのところへも
栗のお赤飯は運ばれて行ったのであった。


⒉物々交換その② 野菜の苗を届けてお菓子とカタログ

先日、母が畑仕事をしていたら、
買い物に向かう知り合いのNさんに会って
会話に花が咲いたらしい。

Nさんは車ではなくセニアカー。
(田舎のおばあちゃんがよく乗ってるやつ)

セニアカーのため、速度はとろとろ遅くて、
町へ出るのも片道40分もかかるそう。

暑さが厳しかった今年の夏は、
買い物に出ることもままならず、
畑で取れた野菜や冷凍ストックでなんとかしのいでいたというNさん。

この日は2週間ぶりの買い物に出かけるところだったらしい。

母に言わせると、
野菜作りがとても上手で好きなNさん。

本当は野菜の苗なんかもいろいろ買いたいらしいけれど、
食料品を購入すると苗を積んで帰る余裕は
セニアカーにはもはやなく諦めるしかないとのこと…。

母が家に余っている苗を「いる?」と聞くと、
「ほしい!」と言ったそうで、
あとで届ける約束になったのだそう。

翌々日、母がNさんのところに苗と自家野菜をもろもろ
届けに行った。

Nさんのところから帰ってくると、
「お菓子をこんなにいただいた」
ビニール袋いっぱいもらってきた。

あと、Nさんが定期購入しているという野菜のカタログも。
(実はうちの母も野菜作りが好きでカタログを眺めるのが好き)

母は野菜のカタログの方がなんだか嬉しそうだった。

この日の3時のおやつはNさんからいただいた
「きんつば」をぱくり。

ほぼあんこの塊のきんつばは、
あんこ好きにはたまらない最高のおやつになった。


⒊物々交換その③ 9時まで郵送でその日に到着詰め合わせ便


新潟に母方のKおばさん
が住んでいて、
Kおばさんは毎年柿もぎ前などの農繁期が近づくと
大量のお菓子を段ボールいっぱいに詰めて送ってくれる。

農繁期に助けてもらうお手伝いさんに出すおやつ用として。

ごはんを食べる暇がないほど忙しくなる農繁期、
おやつを買いに行く時間も惜しいから、
Kおばさんの送ってくれるお菓子に毎年とてもとても助けられている。

今年もすでにKおばさんのお菓子は到着していた。

持病があるKおばさんは車もなく、
これまた買い物にもなかなか行きにくいらしい。

栗のお赤飯を蒸した朝、
「よし!Kおばさんのところにも送ろう」
と母は家の内外を行ったりきたりと大忙し。

せっかくならこれも、これも、あれもと、
お赤飯の他に梅の酢漬けや自家野菜もろもろ
詰め込まれたらしい。

午前9時までに郵便局に持っていけば
その日のうちに新潟のおばさんのところに届くということで、
ギリギリまで梱包して
母は急いで出かけて行った。

ぶじに間に合ったらしい。
ほっとした表情で戻ってきた。

おばさんちの晩ごはんの食卓に
栗のお赤飯がででーんと乗ったかなぁ
なんてこの日はぼんやり想像してしまった。

わたしは何もしてないのに、なんだかあったかい気持ちになった。
(あ!栗の皮は剥いた。笑)


⒋ビジネスの基本は与えること

ビジネスの基本は“まず自分から与えること”
なんて言われたりする。

自分もビジネスのかけらみたいなことをするようになって、
年々この言葉の偉大さ、深さを痛感する。

でも、実家に帰って、毎回出合う物々交換のやり取りを見ていると、
ビジネスの“ビ”の字も触れたことのないであろう
両親の暮らしの中には

与えることから始まる循環が絶えずぐるぐるしてる
ことに気づく。


与えることって、
ビジネスの世界だけに通用する成功の秘訣なんかではなく、
豊かに幸せに生きる上で欠かせない人生の秘訣なのかもしれない。


もちろん田舎ならではの
人付き合いの難しさや面倒くささもあると思う。


それでも、何が起きるかわからないこれからの時代、
人と人のつながりって何にも代えがたい資産なんだなぁ
なんて思ったりしたのであった。


⒌移動する家族の時代


5、6年ほど前になるだろうか。
わたしの人生観、教育観に相当なインパクトを与えてくれた
謎の人物が言っていた。

「これから、移動する家族が増えてくる」

当時は、まだまだリモートワークなんて言葉もなくて、
決まった場所(会社や学校)に決まった時間に行くという
働き方や学び方が普通だった。

“移動する家族“なんて、ごく一部の人たちの話で、
自分とは縁のない世界のことだと聞いていた。

でも、面白いもので、言葉や価値観を知ると、
そういった情報や動きや人が目や耳に入ってくるようになる。

その後、デュアルライフ(2拠点生活)なんて言葉が広がり出したり、
夏は北海道、冬は沖縄で過ごすご家族に出会ったり、
子供たちにとってより良い教育環境に移住する人の話を
わんさか聞くようになる。

本当に“家族が移動する”のが当たり前になってきた。

ぶっちゃけ、今の時代はどこにいたって仕事ができる。

であれば、都会にいる必要はなく、
田舎で静かにのんびりと、自然の中で暮らした方が
人は本来の力を発揮できる気がするし、
何より心と体がそうすると心地よいことを知っている。

そして、教育に関していえば、
幼少期(小学校卒業くらいまで)は
自然の中で遊び尽くすことがどれほど大切か
これはもう科学的にも証明されていること。

この時期、五感をフルに働かせて、
見て、聞いて、感じて、触れて、嗅ぐ経験が
脳の発達や身体機能を最高に伸ばしていく。

間違っても、お受験なんかさせている時期じゃない。

この時期にしか伸ばせない力がある。
この時期にしか身につけられない感覚がある。


⒍佐渡×教育のポテンシャル

昨年、「女性のための社会学講座」を佐渡で開催した際、
講師の神谷さんがおっしゃってた。

佐渡は最高の教育環境ですよ。
 こういうところで子供たちをのびのび遊ばせて育てないとダメです。」

もうね、ほんっと嬉しかったし、
「そうなのそうなのそうなんだよ〜!!」
と、万歳したかった気分。

ほんと佐渡は子供を育てる上で最高の自然環境。
ただ、大人の環境はどうかというと、そこに問題がある気がする

・佐渡が最高の環境だと思ってない、気づいていない人が多い。
・佐渡には働くところがないと悲観&否定的な人が多い。
・勉強ができる子=いい子の価値観の人が多い。
・子供を見守る、受け入れるより口出す、変えようとするスタンスの人が
 多い。
・日々の田舎の暮らしの中にある豊かさではなく、都会の便利さやおしゃれ
 感に憧れさせるような価値観がある。

あくまで、わたしの個人的な感想ととらえてくださいね。


この大人たちの価値観やスタンスを変えていくことができたら、
もうほんとに“佐渡は子供たちの楽園”になると信じてる。

(これがなかなか難しいんだけどね…)

家族が理想の環境を求めて移動する時代、
佐渡の自然豊かな環境は
暮らす上でも教育の観点からも
最高に価値あるアピールポイント。

そのポテンシャルをもっともっと知ってもらいたい。



佐渡では島外出身の人のことを“旅のもん”という。

別に旅行者に限らず、
島外からお嫁に来てくれた人、
移住してきてくれた人のことも“旅のもん”っていう。

人口がどんどん減少している佐渡。

旅のもんと島のもんが
新しいものと古いもののどちらも敬いながら、
この島で調和して、融合して、創造していけたら

どんなに楽しい世界が広がるだろうとわくわくする。


佐渡の教育で何か力になれたらなぁ…。
面白いことやりたいなぁ。

不登校対策とかやってる場合じゃない。
学力向上のためとか言ってテスト増やしてる場合じゃない。

そっちの世界じゃなくって、
この島全体をダイナミックに生かして学ぶ、
そんな世界(教育)をやりた〜い!!

なんだか、最後はわたしの叫びでフィニッシュという、
お粗末な結びとなりごめんなさい。笑

長々、お付き合いありがとうございました^^

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筆文字えりちゃん

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