『茄子とトマトの肉味噌炒め』と、レシピを書くことの話
料理を仕事にして14年。
料理教室で働いていたところから数えると15年だ。
料理家の仕事は、食品メーカーなどの商品を使用したレシピ開発、食材やレシピについてのコラム執筆、雑誌やテレビなどのメディアにレシピ提供をしたり、撮影時の調理担当、または出演をしたり・・・と多岐にわたる。
そのうちの何をするかはもちろん人にもよるが、必ずあるのがレシピを書くこと。
何気なく普段作っているものや新たにトライする料理を、家庭で作れるように分量を計り、文字に起こす。
私は家のごはんは計量せずに、調味料はジャーッと鍋やフライパンにに回し入れる人なので、「おいしかったし、レシピにするか」と試作して計量すると「あれ?」となることも多い。
それを食材や調理法と合わせて理想に近づけ、起こしていくのが仕事で、とても大事な部分だと思っている。
しかし、そんなことよりも毎回悩むことがある。
それは「レシピ名」の付け方だ。
本でいうとタイトルにあたるこの部分に、毎回頭を捻るのである。
私は中学生になってもバービー人形で遊ぶのをやめられなかったほど、物を擬人化するクセがある。
例えば、バスタオルをベランダに干す。
3枚干した内の1枚、さらにその一箇所だけ、洗濯バサミの種類が違うと、そのバスタオルに申し訳なくなる。
そして申し訳なくなるということは、一つだけ別の種類の洗濯バサミに対して失礼ではないかと、思い悩む。
じゃあ、洗濯バサミを統一すればいいじゃないか、と言われればそれまでだが、実家からの荷物に新しい洗濯バサミが入っていたら、仲間入りさせずにはいられない。
そして、今回のレシピである。
「茄子とトマトの肉味噌炒め」。
え、にらは?にらはレシピ名に入れなくていいの?かわいそうちゃうん?
しかし、「茄子とトマトとにらの肉味噌炒め」にすると、長すぎる。
レシピ名の付け方には基本決まりがない。
あえなく、にらには失礼なことをしてしまった。
これは全くもって優しさとは呼べない。
ただ、私の弱さだ。
これからは強い気持ちをもって、レシピを作っていきたい。
『茄子とトマトの肉味噌炒め』
茄子、トマト、にらを豚ひき肉の肉味噌で甘辛く炒めます。
オイスターソースも加えてコクあり。
そのままおかずとしてはもちろん、
ごはんやそうめん、冷やしうどんにのっけてもおいしいです!
『茄子とトマトの肉味噌炒め』の材料(2〜3人分)
『茄子とトマトの肉味噌炒め』の作り方
1、なすは乱切りにし、水にさっとさらして水気を切る。
トマトは8等分のくし形に切る。
にらは5cm幅に切る。
しょうがは皮をむいてみじん切りにする。
【A】は混ぜ合わせておく。
2、フライパンになすを入れて、ごま油(大さじ1)をまぶす。
中火で焼き、焼き色がついて火が通ったら、一旦取り出しておく。
3、同じフライパンに(1)のしょうが、ごま油(大さじ1/2)を入れて弱火にかける。
香りが立ったら、豚ひき肉を入れてほぐしながら中火で炒め、火を通す。
4、フライパンの余分な油をペーパーで拭き取り、(2)のなす、合わせておいた(A)を加えて、均一に混ぜながら炒め合わせる。
5、トマトを入れてさっと炒めたら、にらを加えて全体を炒め合わせ、こしょうをふる。
器に盛り付け、好みでラー油をかける。