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クルーズ客船のクルーの特殊な雇用形態について分かりやすく説明&今後の雇用について
どーも、クルーズ客船で働くEriです。
今回は、タイトルにもあるように、クルーの特殊な雇用形態を分かりやすく説明していきますよ。
その前に!
まずは、現在のクルーズ客船業界について把握していきましょう。
動画でもお楽しみいただけます↓
現在のクルーズ客船業界について (2020年6月後半)
この先2年は、新造船ラッシュだった
コロナの影響に大打撃を受けてるクルーズ業界、実は2020年~2022年にかけて、35隻のオーシャン(海)とリバー(川)のクルーズ船が建設中、もしくは処女航海を果たす予定でした。
そのうち26隻は、1,000人以上の乗客を運ぶ中型~大型のクルーズ船で、 11隻はメガクルーズ船で、乗客収容人数は、4,000人以上です。
※ちなみに現在300隻以上のクルーズ客船が世界にあると言われています。
コロナの影響で運航が再開できないクルーズ客船
クルーズ客船は現在、コロナの影響で、全てのクルーズ客船が営業停止しており(一部のリバークルーズのみ運行)、復帰の予定もどんどん先延ばしになっているのが現状です。
クルーズ客船の乗組員の雇用形態
※日本のクルーズ会社は色々と独特なので、ここでは外国のクルーズ客船のおはなしをしていきます。
クルーの雇用形態は、基本 ”コントラクト(契約)”
クルーズ客船の雇用形態には、基本的に”正社員”というものはありません。
クルーは、クルーズ会社とコントラクトを結び、1つのコントラクトが終わるたびに次のコントラクトへと更新します。
”ちゃんと”仕事をしていれば、契約は自動的に更新されますので、個人が辞めると言うまでは続けられます。
ちなみにコントラクトが更新されないケースに色々ありますが、代表的なのはコチラ
● 仕事のパフォーマンスが驚くほど悪い
● ケガをして仕事が出来なくなった
※治ればまたコントラクトがもらえます
● 病気の治療の為、仕事が続けられない
船上という特殊な環境のため、ドクターは常駐していますが、全ての治療のスペシャリストではないので、健康な身体でないと新しい契約は貰えず、そういった面では保証のないリスクのある職業であるともいえます。
※とはいえ、リストラは陸で働いてても起こりますが。
ほかにも色々ケースはありますが、ここも話してると深く長くなってしまうので、サクッとここら辺にしておきます。
コントラクト”契約”の期間
1回のコントラクトは、船会社、またポジションにより、かなり幅があり、2カ月~9カ月です。
一つ、例を挙げて説明します。
バーで働くマッスル君の1回のコントラクトが5カ月間だったとします。
マッスル君の乗船日は1月1日で、乗船して5カ月働き、6月1日に下船します。基本的に休暇は2カ月なので、次にマッスル君が船に戻って来るのは8月1日です。
マッスル君の働くクルーズ会社は、船を2隻しか所有していないため、この先、約1年間の大体の予定は決まっており、都合が悪い場合は同僚と上司と相談して変えることもできます。
ただ、病気やケガなどで、同僚のコントラクトに変化があると、小さいチームになればなるほどその影響を受けやすくなるので、決まってたスケジュールが月単位で大幅に変更されることは珍しくありません。
コントラクトの期間は、クルーズ会社や、ポジションによって大きく変わると言いましたが、クルーズ客船によって、その”あり方”もかなり違います。
例えば、大手のクルーズ会社、カーニバルクルーズや、ロイヤルカリビアンは、なんとそれぞれ26隻も船を所有しています(2020年)。
こういった大手のクルーズ会社で働くクルーは、コントラクトの度に、前回と違う船で働いたり、自分のコントラクトがだいたい何カ月かは知っていても、乗船日や下船日を、前もって知らされない場合が多いです。
レストランスタッフ、アマビエちゃんを例に挙げて説明します。
アマビエちゃんは、先日1月1日に下船しました。これから約2カ月間、家でゆっくり休暇を楽しみます。
ですが、アマビエちゃんはこの時点では、次のコントラクトが、いつからなのか、また、どの船にどの港から乗船するのか知らされていません。
さて、1月後半、クルーズ会社からメールが届き、3月1日にマイアミから乗船が決まりました。このときにコントラクトも添付されており、契約を成立させるために、このコントラクトにサインをし、返信して、契約成立となります。
その後会社から、航空券や、前泊するためのホテルの情報などが送られてきます。
アマビエちゃんは、予定通り3月1日に乗船し、このコントラクトをスタートさせます。
アマビエちゃんのコントラクトは6カ月なので、大体6か月後に下船することは知っていますが、何月何日に、どの港から下船するかはこの時点で知りません。
さて、コントラクトの中盤に、下船の予定が決まりました。下船は8月20日、オーランドからです。人が足りないため、今回のアマビエちゃんのコントラクトは6カ月と20日になりました。
ちなみに、コントラクト中に何らかの理由で他の船への移動もあったりします。わたしの友人は6カ月間のコントラクト中に、3回も船を移動して、大変そうでした。
これらは一般的な例で、キャプテンや、マネージャークラスの”オフィサー”と呼ばれるランクの人たちは、船が固定されていたり、スケジュールも大体決まっています。
余談ですが、わたしの乗船する船のキャプテンのコントラクトは、2カ月乗船、2カ月休暇です。
さてさて、だいたいクルーの雇用形態が分かってきたところで、思いませんか?
この仕事の無い期間クルーの給与はどうなってるの?
クルーの雇用形態にも関わる話なので、少し触れておきましょう。
コロナで船は停止してるけど、クルーってお給与貰えてるの?
基本的にクルーの給与は月給制で、働いた分だけ給与が出ます。
ちなみに!基本的に週7日勤務です。
”休み”?なんですかそれは?食べ物ですか?
ちなみにちなみに、基本10時間労働は当たり前でございます。
この1日の労働時間ですが、会社によっても異なり、わたしの会社では1日最大10時間までしか働けません。
以前働いていた某大手〇ー二バルクルーズでは、最大13時間まで、、、1日10時間は働くようにシフトが組まれるので10時間は越えますね。
辛くないかって?慣れてきます、不思議と。でもコントラクトが終わって家に帰ると1週間くらい”何もしない期間”が必要なので、疲れが溜まってるのでしょうね、きっと。
そこに+残業手当もありますが、そこは日本のブラック企業と一緒で、あってないようなもんですね。あと、夜間働くクルーには深夜手当も別途出ます。
ただ、マネージャークラスになると、12か月ペイといって、休暇中も働いてるときと同じ給与が出る場合もあります。
少なくともラグジュアリークラスのクルーズ客船は、クルーを大事にしてくれるので、そこは手厚いです。
ここで本題の、クルーズ客船ずっと運休してるけど、クルーの給与は?ってとこ
働いた分だけ給与が出るタイプのクルーはずっと無休?
12か月ペイの人は、この期間ずっと給与貰ってるの?
っていう疑問がわいてきますが、そうではありません。
わたしも全てのクルーズ会社の事情を知ってるわけではないので、それを踏まえてこんなケースがあります。
まず、わたしの会社ではクルーを一斉解雇しました。マネージャークラスのオフィサーもみんな、みんなです。※船にはメインテナンスなどのために、一定数のクルーが必要なので、そこは含みません。
そのかわり、働いてないですが、2か月分の給与がもらえます。手切れ金!?
ただ会社からは、またクルーズが再開したら、同じポジションで同じクルーを呼び戻すということでした。12か月ペイの人は給与も高いので、さすがにずっとは払い続けられないですよね、、、
他の会社では解雇はされないが、給与が出ないところもあります。ま、解雇されなくても仕事が無いんじゃ同じことですがね。
今後のクルーズ業界の雇用は?
各クルーズ会社は、最初は6月からクルーズ客船を再開するとしていました。それが7月、8月とどんどん先延ばしになり、現在では9月一杯まで運航しないと決めてるクルーズ会社もあり、様々です。
ただ、クルーズ客船が戻ってきたとしても、ソーシャルディスタンスなどを考慮して、おそらく100%の稼働率にはしないでしょうから、その分船上で働くクルーの人数も減ると思います。
ワクチンができて、それが世界中に行き渡らないと以前のようにはならないでしょう。
ですが、冒頭にはなしたように、もう造船してしまった、または途中の船は多く、それには莫大な費用が掛かっているため、必ず完成させて運航するでしょうし、悲観的なお客様だけでなく、クルーズを楽しみに新しい予約を入れるお客さんは多いので、クルーズ業界はまた活気を取り戻すと思います。
平均的なクルーズ会社では、クルーズ船のお客様2人に対して、クルー1名の割合で運航しています。つまり、2,000人の客を運ぶクルーズ船を運航するためには約1,000名のクルーが必要なのです。
今回の災害で、多くの復職を切望していますが、陸で都合の良い仕事を見つけて、もう船に戻らない人もいるでしょうし、新しい船をオープンさせるにあたって”人”が必要なので、仕事は見つかると思います!
クルーズ客船にお客さんとして乗りたい方、または働きたい方にとっては辛抱の期間ですが、一緒にクルーズ客船が復活することを祈りましょう!
私について ‐ABOUT ME
海外留学を経て、外国籍のクルーズ客船のクルーとして7年間勤務しています。趣味は海外旅行。
海外やクルーズ客船で働きたい、旅行が大好きという方向けに情報を発信していきます。
Noteで情報発信をすると同時に、YouTubeでも情報発信をしています。
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