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♯1 『よあけ』 ユリー・シュルヴィッツ 作・画 瀬田貞二 訳(福音館書店 1997年)

あけましておめでとうございます!

1月3日、2022年初めての新月なので、ずっと発信したいなぁと思って足踏みしていた「絵本のこと」を書き始めたいと思います。
どうして?は『よあけ』の紹介のあとにつらつらと綴りました。

♯1 『よあけ』 ユリー・シュルヴィッツ 作・画 瀬田貞二 訳(福音館書店 1997年)

「よあけ」って理屈なしに美しい。そう感じるのは私だけではないのではないでしょうか?

新しい1年がはじまる静かな高揚感が、この『よあけ』に重なる。
独特の静けさと、夜が明ける瞬間の圧巻の美しさ。周りの香りすら感じられそうなほど繊細な描写。幾度となく手に取っている絵本ですが、最後のページをめくった瞬間は、ハッと息をのんでしまう。

ユリー・シュルヴィッツは、1935年ポーランドのワルシャワ生まれ。4歳で第2次世界大戦にあい、転々としたのち、1959年にアメリカに渡ったそうです。
東洋の文芸・美術にも造詣が深く、この絵本のモチーフは唐の詩人柳宗元の詩「漁翁」。

シュルヴィッツのバックグラウンドを考えると、『よあけ』のテーマには平和への願いが込められていると思うのです。でも、それを嘘っぽい言葉で描くのではなく、限りなく削がれたからこそ追体験を可能にする言葉と美しく繊細な絵で表現している。

本屋さんにも並んでいる1冊だと思うので、ぜひ手に取ってみてください。

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「意外!」と言われることが多いのですが、わたしは小さい頃にたくさんの絵本に囲まれて、読み聞かせをしてもらって育った子ではないのです。
でも、偶然が重なって、大学でイギリス文学を専攻し、絵本を翻訳していらっしゃる教授との出会いに恵まれて、大人になって絵本に出会い直し、その世界に夢中になりました。

昨年「絵本が好き」を深掘りしていく中で、わたしは自由自在に、制限なく、想像力を働かせることが好きだということに気付きました。
「絵本」のシンプルで凝縮された言葉と心を込めて描かれた絵を通して、その場に行ったような気分になったり、物語の中の人に気持ちに重ねてみたり…そんなことがおもしろい、好きなんです。
だから、映画(映像から得る情報は受け身の感覚がある)よりもドキュメンタリー(紛れもない事実に解釈の幅が少ない)よりも、文学。大学院時代に文学研究にのめり込んだ理由でした。言葉から読み手の解釈がいくらでも広がるからおもしろい。それが飾っていない絵本の言葉だとなおさら

けれども、大人の感性は所詮大人の感性で、子どもには到底叶わない…!小さい頃に出会えたらよかったなぁと思うことも多々あります。

とかなんとか思っていたところに、約9割のママが「つらい!」と回答「読み聞かせ」を楽しくするアイデア9選に出会って、拝読しました。

ただでさえ目の前の子どもを育てて目まぐるしい日々。そこに溢れかえる情報で「絵本の読み聞かせが子育てにいい」と言われている > じゃあやってみるか > 子どもが聞いてくれない!時間がなくてできない!>「つらい!」
そんな構図が見受けられました。

最初は、9割もの人たちが!!と衝撃を受けましたが、確かに絵本の読み聞かせが、have to(=ねばならない)になってしまったら、絵本を楽しむってとてもハードルの高いことだな、と納得。

まだ私は子どもがいません。なので、「大人目線」になってしまうことは避けられないかもしれませんが、ママ・パパになる前に「絵本って面白いかも…?」と思う同年代の人が増えたら嬉しいな、という思いでぼちぼち更新していきたいです。

いつか自分の子どもが生まれたら、一緒に楽しんだ記録を追記していきたいなぁ…なんて今は大きな夢も抱きながら、はじめの一歩です。


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